第6話 デイリーミッション

朝ご飯を食べ終わり、皆がくつろいでいる中、僕とエルイは出かける。


「んじゃあ、罰ゲーム行ってくわ」


「ああ、しっかりお勤めしてくるんだぞ」


「僕は犯罪者か?」


そんな会話をし、家を出る。外は、5月とは思えないほど日が強く、かなり暑い。


「さっさとポイントを集めに行くぞエルイ」


「なんで、こんな暑いのに私が付き合わなきゃいけないんですか」


「1人じゃ寂しいだろ? それに、ポイタメのことをあいつらに話してないしな」


「なんで、話さないんですか? 別に話してもデメリットとか何も無いですよ?」


そうなのか? だとしても……


「こういう感じのラブコメってな、特殊な力を教えないもんなんだよ」


「私には分かりかねますね」


嫌がっているエルイを無理やり連れて街へ繰り出す。


****************************


「それで松山さん。一言にいい事と言っても今日は何をやるんです?」


「今日は普通よりもポイントが多く貰えるデイリーミッションをしようと思う」


デイリーミッション、普通よりも倍近くポイントが貰える。……が、今までは内容が酷すぎてやる気が起きなかった。


例えば昨日のだと、水島にキスしろと北条にキスしろと川崎にキスしろという、毎回こういう訳の分からないものを、出してくるのだ。だからこそ僕はやってこなかったが、今回は迷子の子供を助けるとものがあったので、それをすることにした。


ちなみに、他の2つはいつも通り酷い内容だったので割愛しよう。というか、これ人を助けるためのアプリのはずなのに、なんでキスをするとポイントが貰えるのだろうか……。


「それで、なんのデイリーミッションをやるんですか?」


「迷子の子供を救うやつが10000ポイント貰えるからこれをしようかなと。貰えれば所持ポイントマイナスじゃなくなるから地獄に行かなくて済むし」


「迷子の子供なんて、そんな簡単に見つかりますかね?」


エルイの言った通り、闇雲に探してもそう簡単にいるはずも無い。


「確かに言いたいことは分かる。だから、僕らは今毎日1人は迷子が出るであろう大型スーパー「下松」に向かってるんだ」


大型スーパー「下松」、この地域を代表するスーパーで、かなり広く毎日何かしらの迷子のお知らせが流れている場所だ。


ここに、数時間張り込めばすぐに迷子放送が流れてきて、それを先に僕達が見つけて迷子センターまで連れていくという寸法だ。


「そんな場所があるんですね。私はちゃんと考えがあって向かってたことに驚きました」


「エルイってさあ、ほんとに僕のことなんて思ってるの!?」


「もちろん、ヘタレ女たらし鈍感クズ男子高校生ですけど?」


「思った以上に酷い言われようだな……」


そうこう喋りながら歩いていると、下松に着いた。


「んじゃあ、中で歩きながら放送を待つついでに迷子の子一応探しますか」


僕の横にエルイが立ち、一緒に歩く。これを傍から見たら、デートに見えるのだろうか……それは無いか。妹との買い物程度にしか見えるはずもないな。


無言で店内を徘徊して1時間。迷子放送はかからないし、迷子の子供など誰1人として見当たらなかった。


「なあ、エルイ。ちょっとフードコートで休憩しないか?」


「別にいいですよ。私もちょうど喉が乾いてきた所なので」


そう言って、僕とエルイはフードコートの端の方の席に座り込む。


「なんか買ってきてやるよ。何が飲みたい?」


「それなら、タピオカが飲んでみたいです。この間テレビでやってたので」


「お、おう。分かった」


この間……? タピオカが流行ってたのかなり前だった気するけどそれでいいのか?


僕が飲む訳でもないので、タピオカミルクティーを買ってエルイに渡す。


「ほら、買ってきてやったぞ」


「ありがとうございます」


エルイは受け取った、タピオカミルクティーを20秒足らずでで飲み干す。


「美味しかったです」


「流石に早すぎないか? そんな事をしてたら太るぞ」


「安心してください、天使は太らないので」


次の瞬間、どこからともなく2本目のタピオカミルクティーを出し始めた。僕が買ってきた意味……。


「そういえばですけど……松山さんが理想としてるラブコメについて少し話しませんか?」


エルイは突然そんな事を言いながらマジマジとこちらを見る。


「いきなりどうしたんだ? エルイって僕の理想のラブコメに全く無関心じやなかったか?」


「少し、興味が湧いたので聞きたくなりました」


僕の理想のラブコメか……確かに、どうするのが理想のラブコメなのかエルイには話してなかったな。


「いいよ、話してやるよ。最低条件は……女の子が4人いて僕の事を取り合う関係になって欲しいな。別名ハーレムともいう」


僕はハーレムというものに憧れている。1人の男に対して女の子達が全員で取り合う。なんて、幸せな日々なのだろう。


「なるほど、ハーレムですか。ちなみに、ポイントが溜まったらどんな感じに使う予定なんですか?」


「ポイントが溜まったらか……。前は水島とか北条の性格変えてもらおうと思ってたが、それはやめだ」


もし、ポイントを使って水島と北条、2人の性格を変えてハーレムが出来たとしても、僕には罪悪感が残る気がするからだ。


「今は、このポイントが溜まったら、ラブコメっぽい事をしようと思ってる」


「ラブコメっぽい事ですか……例えばどんな?」


そう言って、タピオカミルクティーをジュルジュル啜り、三本目を飲み始める。


「例えばだが、修学旅行で同じ班になったり、バイト先が同じだったり部活が同じだったり!」


「ひとつ疑問に思った事を言っていいですか?」


タピオカミルクティーを飲むのをやめ、話し始める。


「ああ、いいけど」


「前に、水島さん達は恋愛対象外みたいな事を言ってましたよね?」


「まあ、言ったな」


確か、僕が初めてあった日に言ったな。「よく分からない不審者や暴力的な残念や変態少女との生活じゃない!」って。あれの事をいっているのだろう。


「だとしたらですよ。さっき言ってた修学旅行先で同じ班になったりっていうのは、一体誰のことなんですか?」


「新しい人を見つける……」


「新しい人ですか? 男子のはずれ枠といわれた松山さんが見つけれますか?」


「じゃあ、ポイントで転校生を」


「転校生が松山さんのことを好きになるとは限りませんよ」


「それもポイントで好きにさせる……」


「さっき、性格を変えるのはやめると言ってましたよね。それとほとんど変わらないんじゃないですか?」


「さっきから、なんだよ! なんで、そんなに否定的なんだ。僕はただ、理想の話をしているだけで、本当にやるかは別問題だろ!」


全てに対して否定的な意見を取ったエルイに対して、声をあげて怒ってしまった。


「私はただ、松山さんの理想のラブコメを手助けしようとしてるだけです。だから、矛盾に対して聞いたまでです。それに新しい女の子じゃなくても別にいるじゃないですか」


「つまり何が言いたいの?」


「私は、何故水島さんと北条さん、それに私がラブコメの対象外なのかを聞きたいだけです」


そう言い放った、エルイは真っ直ぐな瞳をこちらにも向けてくる。


「それこそ、前にも言っただろ。よく分からない不審者や暴力的な残念や変態少女との生活が僕の目指してるラブコメじゃないって」


「そこですよ、松山さん。私が言いたいのは。ラブコメって少し変わったヒロイン達とイチャイチャするものだと私は思っています。なのに、何故松山さんは北条さんや水島さんを対象外にするんですか?」


「……」


確かに、よくよく考えてみたら、何故僕は水島と北条、エルイを対象外にしてたんだ? ラブコメって、エルイの言う通り、変わった女の子とイチャイチャするのが鉄板だ。なのに、何故僕は……。


「確かに、最初に出会った日から、あいつらの事を異性として見れず、恋愛対象外となっていた……何故だろう」


「最初に出会った日ですか……」


エルイに言われるまで忘れていたが、あの二人を最初に見た時、速攻で恋愛対象外となった……。


確かに、水島は下ネタ言いまくるし北条は暴力を振るう。普通でも、速攻恋愛対象外になりそうだが、何か違う気がする。下ネタ大好きでM属性を持っている僕が、普通に考えてあいつらの事を恋愛対象外になるか? 何かがおかしい気がする……。


「まさかとは思いますが。松山さ……」


エルイの言葉と被さるように、店内放送が流れる。


『白いワンピースを着用した、6歳ぐらいの女の子が迷子になっております。見かけましたら、2階サービスカウンターまでお連れください』


「被っちゃったな、それで何を言いたかったんだ?」


「いや、なんでもありません。それより、早く迷子の子供を探しましょう」


「それもそうだな。じゃあ行くか」


「はい……」


僕とエルイは立ち上がり、フードコートから出た。


「それでどうやって探せばいいと思う?」


「さっき言ってた、白いワンピースを着ている6歳ぐらいの女の子って言うのを頼りに、手当り次第探すしかないんじゃないですか?」


めんどくさいけど、それしかないか……。


「んじゃあ、二手に別れるか?」


「私が見つけて、サービスカウンターに連れて行っても、ポイントは貰えませんけどいいんですか?」


「そうなのか? じゃあ、2人で頑張って探すか」


そう意気込み、歩き出そうとするとエルイが服の裾を引っ張る。


「松山さん。あれが例の迷子の子供じゃないですか?」


エルイがそう言いながら指を指した先には、話の通りの小さな女の子がそこにいた。なんか、見たことある気がする。


「多分ですけど、あの子ですよね?

白いワンピース来てますし、見たところ1人ですし 」


「でも、なんか……肝が座ってるっていうか、堂々としてないか?」


普通の子供だったら親とはぐれた瞬間に泣き出す気がするが、この女の子は真顔で1人立たずんでいる。


「話しかけてみますか」


「そうだな。話しかけてみないことには、何も始まらないしな」


女の子の近くに歩み寄り、喋りかける。


「君、さっき店内放送で流れていた迷子の子かな」


僕の言葉に反応し、こちらに顔を向ける。


「店内放送で流れていたのは私ですが、迷子ではありません。むしろ、どうせなら一緒に行こうと言った姉さん達が迷子なんです」


「そっか、でもそのお姉さん達が2階のサービスカウンターで待ってるし、一緒に行こ」


「なんで、一緒に行かないと行けないのでしょうか? 場所さえ教えてくれれば、私一人でも行けますし」


6歳とは思えないほど逞しいなこの子。


「でも、悪い男の人とかに連れてかれたりするかもしれないじゃないか」


「だとしたら、今この現状がそうなんですが」


「……。そっか、確かに君から見たら知らない男の人が誘拐しようとしてるようにも見えるのか」


しっかりしてらっしゃる。この子一人で本当にサービスカウンターまで行けちゃいそうだな……。でも、僕が連れてかないとポイント貰えなさそうだし、頑張らないと。


「分かった。じゃあ、どうしたらお兄さんの事を信用してくれる?」


「お兄さんが、床に頭を擦りつけながら、『僕は悪いことしません』って、10回唱えてくれれば信じます」


「そんなことでいいのか!」


僕は言われた通り、床に頭を擦り付けて10回唱えた。


「僕は悪いことしません。僕は悪いことしません。僕は悪いことしま……」


「松山さん、なんで恥じらいもなしにそんなこと出来るんですか」


「ふふふ、僕は何度番人に怒られたと思っている。その度に、毎回毎回やっていたからもう慣れっこなんだ」


プライドで自分の目的が果たせるのなら、安いものだ。


「堂々とそんな事をやられると逆に恐怖を感じます」


「やったら、信じてくれるって言ったからやったのに……。まあいいやとにかく、僕の勇姿を無駄にしないように行くよ」


僕は嫌がっている女の子を持ち上げて、走る。


「お巡りさん、この人です」


腕の中では、先程よりかは抵抗しないものの、軽く殴ってくる。


「なんで!? だから、僕はただサービスカウンターに連れて行こうとしてるだけだって!」


「だったら、別に持ち上げる必要ないじゃないですか」


「君が抵抗するからでしょ!」


「松山さん。なんか、私も誘拐している気分になってきました」


「本当に違うからね! それに、もってなんだもって! 僕は別に誘拐してる気分になってないからな」


「つまり、自覚がないってことですか!?」


「もう、お前ら黙れよ!」


そうこうしているうちに、僕達はサービスカウンターに到着した。


「ほら、ここだろ? 本当に、僕はただ君をサービスカウンターに連れて来ただけだっただろ?」


「本当だったんですね……。なんというか、あなたの目が変態のそれだったので、完全に疑ってました」


「ここに来て、僕がロリコンなのが裏目に出たか……」


「みさ! 心配したよ」


そう言って、女の子を抱きしめたのは……何を隠そう、北条だった。


「おい、北条。なんでこんな所にいるんだ? 家にいるんじゃなかったか?」


「えっと……、夕飯をみんなで闇鍋しようってことになったからその買出しに……」


「それでなんでお前の妹もいきなり参加してるんだ?」


「いやーそれは……」


▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽


数時間前……。


「皆さん! お兄ちゃんを尾行するのですよ!」


りろがそう言い放ち、俺たちはりろの話に耳を傾ける。


「エルイさんは、お兄ちゃんの事を別に好きでもなんでもないって言ってたのです。ですが、そんな相手と普通、二人っきりで出かけますか? これは、本当はお兄ちゃんの事が好きなエルイさんのデート作戦だ思うのです。このために、昨日お兄ちゃんに対して命令でいい事をするって言ったのですよ!」


「なるほど、確かに一理はある。良くは知らないけどエルイって、そんなに嘘をついて抜け駆けするようなやつなのか?」


エルイに対しての疑問も、水島と北条を見たら、さっきまでの疑問などどうでも良くなった。


「エルイさん、殺す。抜け駆け許さない」


「いきなり、入ってきたと思ったら松山も奪うのかな? 私に協力するって言ったはずなのにな、あはは」


と言っていって、俺の隣にいた水島と北条は鬼の形相になっていた。


「よし、じゃあみんなで着替えて尾行するのです!」


「「おお!」」


殺気に満ち溢れた、水島と北条、そんな二人に対して、俺は松山も意外と苦労してるなと思うのであった。


*****************************


4人は外に出て、松山のスマホのGPSを頼りに尾行を始める。


「もし、こういう事が会った時の為、あらかじめお兄ちゃんのスマホにアプリをいれといたのです」


「りろちゃん、それは普通に犯罪だからな」


川崎が遠い目で見ていると、水島がすっとりろの横に立つ。


「りろちゃん。私にも松山くんの位置が分かるようにしてくれないかな?」


「それは、例え水島お姉ちゃんの頼みでもダメなのです。これは、妹である私だけの特権なのです」


「水島、いくら好きだからって流石にそれはやめておこうな」


水島は少し悔しそうに、後ろに下がる。その時だった……


「大変です、 お兄ちゃんとエルイさんが、下松に入りました!」


りろのスマホの位置情報には、松下と書かれた場所に赤い印がある。


「まさか、アイツらが……」


「これは完全にデートなのです! 良い行いなど関係いのです!」


「デート……させる訳にはいかない。へへへ……」


「抜けがけしようったって、そうはいかないよ。ははは……」


先程から、水島と北条は変な笑い方をしやがら、ゆらゆら歩いてる。


「お前ら怖いぞ」


「何言ってるの川崎くん。私達はただ、エルイさんの幸せを願っているだけだよ」


「じゃあ、そのエアガンはなんなんだよ。てか、どっから持ってきたんだ!」


水島の右手にはかなりでかい本格的なエアガンを持っていた。そして、北条は……。


「それで、北条のそれはなんなんだ」


「もちろん、メリケンサックだけど?」


「もちろん、メリケンサックだけど?

じゃねえよ! それで何する気だ、エアガンならまだ死なないけどメリケンサックは死ぬかもだから、マジでやめろ!」


川崎がそう言うと、しぶしぶ北条は手についているメリケンサックを外し、鞄の中にしまう。


「よし、じゃあ行くか」


僕達は松山とエルイがいる下松に向かって走り始めた。


****************************


下松の中にて、松山とエルイを発見した俺たちは、当たり前かのように隠れながら尾行をし始める。


「あの二人、デートにしては同じところぐるぐるしているのです」


「あれって、本当にデートなのか?」


「私も違う気がしてきたんだけど……」


「なあ、今更だけどもし俺たちが見つかったら、松山になんて言い訳するんだ?」


りろは驚きの表情で俺の方を見る。


「全く考えてなかったのです! どうしましょう、川崎さん何か考えがありますか?」


まあ、考えがあるっちゃある。俺が個人的にやりたいだけなんだがな……。


「闇鍋をやることになったから、みんなで買い出しに来たとかはどうだ?」


「なるほど、川崎にしてはいいアイディアね! だとしたら、4人固まって行動しているのもどうかと思うけど」


「川崎にしては、は余計だ!まぁ、確かに4人で固まってるところを見つかったとして闇鍋の材料を買いに来たと言ってもかえって怪しまれる気がするな…。よし、ここは二手に別れるってのはどうだ?片方が尾行を続けて片方が買い物に行くなんてどう?」


「確かにそれだったら、見つかったとしても、買い物を待っているとか何とか言って誤魔化せる」


「んじゃあ、ジャンケンで先に勝った二人と負けた2人でいいよな」


ジャンケンした結果、俺と北条。水島とりろという結果になった。


「俺たちが先に買い物してくるから、尾行よろしく、なんかあったらスマホで連絡して」


「了解なのです。行ってらっしゃいなのです」


****************************


「それでだ、何買う?」


俺と北条はショッピングモールで、買い物をしようとしていた。何故か北条は笑顔で飛び跳ねながら歩いている。


「お前、なんでそんなにテンション高いんだ?」


「え? エルイさんが、抜け駆けじゃないって分かったし」


まだ、別にデートじゃないと決まった訳じゃないが、教えるとめんどくさくなりそうなので黙っておこう。


闇鍋と言ったものの、どうせ北条がやばい食材を買うと思うので、俺は普通のやつを買おう。


「じゃあ、まず野菜でも買うか」


「はーい!」


機嫌のいい北条を連れて、野菜コーナーに向かう。


「じゃあ、無難に白菜かな」


「何言ってるの? 闇鍋でしょ? ならこれしかないでしょ」


そう言って、北条が持ってきたのは野菜ではなく、マシュマロだった。


「でもさあ、野菜も少しくらい入れたいじゃん。だから、そのマシュマロも入れるとして野菜を考えようぜ」


「だったら、これなんてどうですか?」


そう言って渡してきたのはパクチーだっ……いやちょっと待て。


「え、君だれ?」


その子は白いワンピースを着て、当たり前のようにそこにいた。


「私ですか? 私はこの人の妹です。」


そう言って、女の子が指を刺したのは北条だった。


「北条って妹いたのか」


「うん、でもみさ。なんでこんな所にいるの?」


「おつかいです。たまたま、友達の家に泊まりに行った姉さんを見つけたので喋りかけたんですが、デート中お邪魔でしたか?」


「違うからね、こんな害虫みたいなやつとデートの訳ないじゃん。ただ、友達の家に泊まった仲間なだけでそれの買い出しだよ!」


北条は、これでもかというほどに否定する。流石に害虫扱いしなくてもいいじゃないか、傷つくぞ。


「へー、そうなんですか。じゃあ、私はこれで」


「ちょっと待って、どうせなら一緒に買い物しない? 」


「別にいいですよ、でもそっちの男の人はいいんですか?」


「いいよね?」


北条は、殺意に満ち溢れた笑顔をこちらに向けてくる。別にいいけど……、怖い。


「ああ、いいぞ」


「よし、じゃあ買い物にレッツゴー」


「「……。」」


北条の妹も、北条の謎のテンションにはついていけないようだ……。


闇鍋の材料を考えたりしていたら1時間も買い物をしていた。


「それで、この後どうするんですか?」


買い物が終わり、歩きながらみさがそんな事を言い始める。


「私達についてくるに決まってるでしょ? さあ行くよ!」


「ええ……」


みさが嫌がっているが、それを全くわかっていないらしく、手を握って連れていく。


なんというか、この妹も可哀想だな。


****************************


松山とエルイはフードコートにいるみたいなので僕達も、水島とりろがいる場所へとやってきた。


「交代の時間って事でいい?」


「もちろん。俺ら一時間も選んじゃったし、そっちもゆっくりでいいからな」


「了解したのです!」


そう言って、水島とりろは二人で食材売り場の奥の方へと歩いていった。


「なあ、今更なんだけど……。みさ何処行った?」


北条も気づいていなかったようで、右手を見る。


「え? どこ行ったの……。まさか、迷子? 迷子センター行かないきゃ!」


「尾行はどうするんだ?」


「それもしなきゃだけど……、今は迷子センターに行く!」


「一応言っとくけど、このお店の場合サービスカウンターだからな!」


尾行をやめ、走ってサービスカウンターに向かい現在に至る。


△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△


「たまたま、そこで会ったから一緒にと思ってね」


「まあいいけど……」


僕は1つ疑問が浮かんだので、エルイに耳打ちする。


「なあ、この女の子助けたけど身内だったじゃん。この場合もポイント貰えるのか?」


「確認してみればいいんじゃないですか?」


エルイに言われたとおり、ポイタメで確認する。すると所持ポイントが1000となっていた。今回はマッチポンプとかじゃ無かったから別にいい事をした事になるのか……。


てか、これでポイントがマイナスから脱却出来たから地獄に落とされなくなるのか……、普通に嬉しいな。ここまで頑張ったかいがあった。まあ、自業自得なんだが……。


サービスカウンターから出て数分後、買い物袋を持った水島とりろとも合流した。


「お兄ちゃんに見つか……お兄ちゃんもここにいたのですか?」


「闇鍋するんだろ? 僕とエルイも買ってくるから、4人とも先に帰っていいよ」


「みさも参加させていい?」


「ええ?」


みさは、確実に嫌がっているようだが……。


「もちろんOK! 幼女最こ……ゲフンゲフン」


僕の言葉に水島意外の全員の目が冷たくなった気がするが気のせいだろう。


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