第3話 ラブコメは既に完成している

「何とか逃げきれたな……」


あの後、女子に追いかけ回され何とか逃げ切ることに成功した。幸いにも、僕のことをあまり知らなかったようだ。


疲れたなと思いながら、とぼとぼ教室へと戻り眠りにつく……。


***********************


チャイムがなり、今日の授業が全て終わった。


「はぁ、終わった終わった。エルイ、さっさと帰ってポイントを貯めに行くぞ」


僕がそう言うと、後ろから女の子に声をかけられた。


「ちょっといいかしら」


その声に僕は振り返る、こいつは副室長ただのウザイ人だ。クラスの男子の半数を従え、学校女の子は残念を除き全員友達と、本物のリア充ってやつだ。


「なんだ、副室長。僕は今日、早く帰らないといけないんだ。邪魔をするな」


「何を言ってるの、どうせ幼稚園に行って園児を眺めるんでしょこの変態! そんなのいいから、さっさとクラスのことやりますわよ!」


「クラスのこと……何するの?」


クラスのことってなんだ? 僕はこれでも真面目に仕事はしている、サボったり、やれと言われたことも今まで忘れたことは無い。


「何って1ヶ月後、私達は修学旅行でしょ!? 来週からテストだし時間があまりないから、班決めを今日するってお昼の時間に言ったよね!」


 ちゃんと、やるという予告はしていたのか……まあ、僕は水島に連れられその場に居なかったしな、聞いてないのも納得だ。


 そんな事をいちいち説明するのも、なんか言われそうでめんどくさい。まあ、トイレに行ったとでも言えばいいか。


「ごめん、その時トイレいってたから聞いてなかった」


「そんな、大事な時にトイレなんて行くんじゃありません! 漏らしなさい」


 …………そんな無茶な。こいつ、自分で何言ってるのか分かってるのか?


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「という訳で、みんなにはバスの座席を決めてもらいたいと思う。どうやって選びたい? 自由がいい? くじがいい? 案のある人は手を挙げて」


 僕がそう言うと、三人ほど手を挙げた……北条と水島とエルイだ。既に嫌な予感しかしないんだが……。


「じゃあ、北条から順に案言ってけ」


「私、用事あるから帰っていい?」


「ダメ、次水島」


「イかせあって、先にイった方が負け。それをクラス全員で、勝った順から決めるのがいいと思う」


「却下、次」


「焼肉です!」


「エルイ、お前は一体何を言ってるんだ?」


 なんだ、このまともな奴が誰一人として居ないこの状況……。


「はぁ……、案も出ないしもうクジ引きでいいよな」


 僕がそう言うと「え〜」っと言う声が響き渡る。文句があるなら案を出せよ……。


「分かった、これならどうかしら? クジ引きをして場所を決めその後に、自分達で好きな場所の人と席を交換ってのは」


隣の副室長がそう言うと、皆「流石副室長!」「働かない室長とは違う!」「死ね変態!」という声が聞こえてくる。


やっぱこのクラス嫌いだわ。


とりあえず、全員にクジを引いてもらい、一旦は席が決まった。


「んじゃあ、席を交換したかったらその人に直談判な、終わった人から解散という事で」


僕はクラスの前でそう喋った後、エルイに再び話しかけようと近くによると、いきなり後ろから目を隠された。


「さあ、誰だか分かる?」


もちろん、その声には聞き覚えがある。


「なんだ、北条。いつからそんな事をするキャラになった。僕は早く家に帰らなきゃいけないんだ、邪魔しないでくれ」


僕がそういうと、北条は目を隠すのをやめた。


「今日、私と一緒に帰らない? ちょっと話したい事があってね」


北条がそんな事を誘ってくるなんて珍しいな、でも今日は早く帰らないといけない……、ポイントとラブコメ、どっちを優先するかなんて決まってる。


「よし、今すぐ帰ろう。行くぞ北条」


僕は、廊下へと飛び出した。エルイを置いて……、


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「初めてだね、こうして二人っきりで帰るの」


「そうだな。前に一回帰った時は水島もいたからな」


勢いで来てしまったが、よくよく考えるとこれは一体どういう状況なんだ? ラブコメのあるあるな展開だけど……なんか気まずい。


いつもなら、何もしてないのに蹴ってきたり、殴ってきりして会話が始まるのだが……、今回はそれがないので会話が進まない。女の子と帰れると喜んだ、あとの時の僕を殴りたい。エルイ助けて……。


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一方そのころ…………


エルイと川崎は松山と北条の後をつけていた。


「あの二人、付き合ってるんですかね?」


「それを確かめるために、こうして二人で尾行してるんだろ?」


 この二人が尾行をしていたのは初めからであった。松山と北条が一緒に教室を出たのを目撃し、後をつけている。


「それで、エルイだっけ? お前はなんで尾行してるんだ? お前も松山の事が好きなのか?」


「そういう訳じゃないです。あの変態の松山さんが女の子と二人っきりで帰れるはずがありません。これには何か深い事情があるに違いありません。それを知りたいんです」


「やっぱ、そうだよな。あの変態が残念の一人とはいえ、女の子と二人っきりで帰れるはずないもんな」


そんな事を陰に隠れながらコソコソ会話をしている。


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「それで、話ってなんなんだ?」


「えっとね、聞きたいことがあるんだけど、松山って昨日パラダイス幼稚園の近くに居た?」


パラダイス幼稚園、昨日僕が園児を舐めますよう……観察していた場所だ。何故、その事を北条が知っている? 水島が言ったのかそれともその場にいたのか……。


「な……なんでそんな事を聞いてくるの?」


「昨日、妹を迎えに行った時に見かけてね、人違いかと思ってけど。水島さんに聞いたら、あれは松山だって言ってたから、何してたのかなと思ってね」


まじか……誰もいないと思ってたのに、水島に続き北条までいたとは。本当の事を言ったら……確実に殺される。ここは、何とか誤魔化さなくては。


「あ、あれはね……そう! 園児達が転ばないか心配して見てたんだよ! 僕心配性っていうか、そういうのなんかほっとけ無くてね」


「へー、そうなんだ。松山にも案外優しいところあるんだね。私誤解してたよ、ただの変態だと思ってた。幼稚園に居た理由も園児達を観察するためだったと思ってたよ」


「ももももし、そうだったらどうした?」


「え? あそこには妹いるし、私が覚えてる技フルコースかな」


危ねぇ……危うく本当に死ぬところだった。こいつ、やる時は容赦なくやるからな。


「そんなに心配なら、水島さんの所属してる部活に入れば? 確か、部活入ってなかったでしょ?」


「ボランティア同好会か……。まあ、考えとくよ」


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「何を話しているんでしょう、松山さん」


「もう少し、近づけたらいいんだがバレちゃうしな……」


松山と北条の移動に合わせ、歩き出すエルイと川崎。かなり大胆に後ろに居るが、まだバレてはいないようだ。


「あ、見てください。松山さんが冷や汗が出ています」


「よく、そんなの見えるな。俺は全然見えないぞ」


それも、そのはず。確かに大胆に移動してはいるが、後ろを向いてもみても誰だか分からない距離にいるのだ。普通の人間には見えるはずもない。


「あれ、あそこにいるのって……」


そう言いながら、エルイは走り始め、川崎もそれの後を追う。


「何やってるんだ、そんな一気に近づいたら……って、急に止まるなバカ!」


エルイに川崎が激突し、二人共倒れ込む。


「痛ってててて……」


「何やってるの、二人共」


そう言って、T字路の角から出てきたのは水島だった。


「やっぱり、水島さんじゃないですか!

こんな所で何してるんですか?」


「何って決まってるでしょ。松山くんと北条さんのことを尾行してるに決まってるでしょ。北条さんに先を越されたら嫌だしね」


北条は、堂々言い放った後すぐに松山達の方に顔を向けた。


「先ってなんの先ですか?」


「私と北条さんには色々あるのよ、ねぇ川崎くん」


「まあ、そうだな」


今ここで言おう、水島と北条は松山の事が前から好きなのだ。だが、残念二人組は人を好きになったのは初めてで、アプローチの方法など全然分からないし、しかも変態。そこで、恋愛マスター兼松山の親友の川崎に相談をしていた、なので川崎は大体の事を把握している。松山が理想のラブコメを完成させようしているが、本当は既に完成されているのだ。


この下校も川崎が考えたもので、用事(幼稚園の件)を話すという建前で一緒に帰るというものだ。


ちなみに、この尾行の本当の目的は次に生かすための調査だったりする……が、肝心の小型マイクを仕掛けるのを忘れてしまい状況が全く掴めていないのだ。


「はぁ……なんで、俺がこんな事に付き合わなきゃならないんだ」


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「そういや、なんだけど。松山って、好きな人とかいるの?」


「別にいないけど、どうしたんだ? まさか、僕の事を好きになったのか? すまんな、暴力を振るう女の子はちょっと……」


「なんで、何も言ってないのに私が振られた感じになってるのさぁ! 普通に気になっただけに決まってるじゃん!」


顔を真っ赤にしながら、北条は殴ってくる。


普通に考えたらそうだろうな、好きな人に暴力を振るうってなんだ、ツンデレでもそんな事はしないと思うしな。


「分かった分かった。じゃあ、僕からも聞くよ、北条って好きな人いるの?」


「い……居るわけないでしょ! 乙女になんて事聞いてるの!」


そう言いながら再び殴ってきた。僕は、北条が自分の事を乙女だと思ってる事に驚きだわ。


「まあいいけどさ……、そういや北条ってなんで部活入ってないんだ? お前の身体能力ならトップでやりあえるんじゃないのか?」


「まあ、体は動かしたいけど……昔色々あってね……運動部には入りたくないんだ」


北条は少し俯く。何か嫌な事を思い出しているようだ。


「まあ、深くは聞かないよ」


「そうしてくれるとありがたい」


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「てかさあ、エルイは松山の事好きなのか?」


川崎の突然の発言にエルイは驚きの表情を浮かべる。


「いいえ、別に好きじゃありません。ただ、命の恩人なので、その分はしっかり恩を返そうとしているだけです」


二人で、そんな事を喋っていると水島が割り込み始める。


「確か、松山くんと一緒に住んでるんだよね? いとこだっけ?」


「そうですね。松山さんとはいとこ関係です」


 一応、エルイは松山エルイと、松山のいとこという事でこの学校に転校してきたが、エルイが意味深な事を言い放ったせいで、既にほとんどの人関係というのを忘れている。


「今度、私達も泊まりにいっていい? もっと、エルイさんともお話したいし 」


「いいですよ、松山さんなら多分OKしてくれます」


「私達って…まさか、俺も行く感じか?」


「もちろんです」「もちろん」


「俺に拒否権は……」


「ないです」「ないわ」


そんな事を言っていると、奥で松山が北条に殴られた。


「今、松山さん殴られましたよ。何したんでしょうか」


「俺に聞くな、なんか松山がやらかしたんじゃないのか?」


水島は少しあの仲が良いなと思っていた。


北条は、暴力という形ではあるが感情の変化がよく分かる。……が水島の場合感情を表に出すことがほとんど出来ない、なので好きという気持ちが伝わりにくいのだ。


「絶対に負けないから……」


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「んじゃ、またな!」


「ちょっと待って!」


僕は家に着き、扉を開けようとすると、北条が止めた。


「今度松山の家に泊まりに行っていいかな?」


この暴力を振るうやつを果たして家に泊めていいのか……。女の子と自分の身……どちらを取るか。


「別にいいよ」


僕のバカ! 欲望が勝つんじゃねえよ!


「ありがとう! じゃあまた明日ね」


そう言い残し、北条は去って行った。まぁいいか……、流石に殺されることはないだろうしな。


そんな事を思いながら、家に入ろうとすると、丁度エルイが帰ってきた。


「松山さんの女たらし!」


「いきなり、何の話!?」


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「結局、今回は失敗なのか? 全く上記がつかめん」


「失敗じゃない?」


「じゃあ、私は帰りますね。早く帰ってこいって言われてますし」


「じゃあ、松山くんに言っといてね、泊まらせてって!」


「は〜い、分かっています」


エルイはそう言って、家の方に走って行く。


「じゃあ、今度は私の番だね。お願いね川崎くん」


「分かったよ。親友の為にも頑張らないとだしな」


そう言って、二人は家に帰って行った。


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「で、なんで僕はいきなり罵倒されたんだ?」


「ちょっと、色々ありましてね。あっ後、今度川崎さんと水島さんが泊まりたいそうですがいいですか?」


「別にいいぞ、北条も今度泊まりに来るしな」


こいつ、凄いな。初日だというのにあの残念と友達となるとは。まさか、僕よりコミ力あるのでは?


「まあ、さっさとポイント集めに行くぞ!」


「はいはい、分かってますって」


僕とエルイは荷物を置いて、ポイント集めのために出かけて行った。


***********************


 結果から言おう、今日は成功した。なんと5000ポイントも手に入れることに成功した。何をしたかというと、たまたま買い物で大量の商品を買って持ち運びが大変そうだったおばあちゃんの荷物を持ってあげたのだ。


 大変だったが、おばあちゃんの「ありがとう」という言葉とポイントの為なので、全然苦にならなかった。


「これを毎日続ければすぐプラスになるな」


 現在のポイントは-15000である。


「今日は偶々、大変そうなおばあさんが居ましたが、明日はいるとは限りませんよ」


「そんなことは分かってるよ、だから明日こそ早く学校に行ってポイントを貯めるんだ!」


「嫌な予感しかしないのは私だけでしょうか……」


****************************


「よっしゃー! 一番乗り」


 今日は昨日と違い朝一番で学校に来ることに成功した朝早く起きるという発想を捨て去り、オールをして朝まで起きるという考えにシフトさせた。


 僕は教室に着き、掃除を始めようとしたその時、番人が教室にやって来た。


「おい、松山……って何してるんだ?」


「見ての通り掃除ですが」


「なんかの罰か? そんなことよりちょっと来い」


 そう言って、番人は僕の腕を引っ張りどこかへ連れてこうとする。


「なんですか番に……鬼頭先生! 僕はまだ何もやらかしてないですよ」


「これば分かる」


 番人相手では力で勝てるはずもなく、そのまま引っ張られ生徒指導室まで連れられる。


「まずはそこに座れ」


僕は用意された椅子に座る。


「昨日の昼放課、お前どこに居た?」


昨日の昼放課というと、僕は水島と二人で女子更衣室に居た。やはりその場にいた女の子達に告げ口されたか。


「別に普通に……帰ってましたけど」


とはいえ、本当にそうとは限らない、まだ誤魔化せる余地はあるかもしれない。


「昨日、この写真が指導部の近くに落ちていてな……」


その写真は、例の水島の写真ともう1枚、僕が女子更衣室から出てくる写真だった。


「まさか、お前ら問題児二人が出来ていたとはな……。たからといって、この学校でこんな事するのは見過ごせないぞ、しっかりと指導してやるからな」


あらぬ誤解を受けてしまったが、これは良かったのか?


そこから、1時間コースの説教があり、そのせいで掃除はあまり出来なかった……。


所持ポイント−14500。


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「それで、番人に1時間こっぴどく怒られたと……なんていうか、お前も大変なんだ」


「ああ、そういやエルイから聞いたけど、川崎今度僕の家に泊まりたいんだってな、別にいいぞ。次の土曜日にでも泊まりに来いよ」


別に、僕としては親が居ないのでいつでもいいし、ポイントの件も……まあ何とかなるだろう。


「お、おう……みんなで行くよ……」


なんで、川崎は少し驚いた表情をしてるんだ?


二人でだべっているとエルイと水島と北条が三人でこちらにやってきた。


「じゃあ、今度の土曜日にみんな来てくださいね!」


「なんで、水島さん達も行くことになってるの? 私聞いてない」


そう言って、何故か北条は川崎の方を睨む。怒るなら僕の方じゃないのか?


「いいじゃないですか、北条さん! みんなでお泊まり会した方が楽しいですよ!」


「まあ、そうだけど……」


北条は方を落とし、「はぁ……」とため息をつく。てか、なんで居候のエルイが仕切ってんだ。


この時、川崎以外忘れていた……今はテスト期間中で、来週からテストがある事を……。


****************************


「「「お邪魔します!」」」


 そう言って、水島と北条と川崎は家に上がり込む。りろには友達の家に泊まらせてもらい、今はいない。水島に妹の事を聞かれたら何かと面倒だしなりろには川崎と男友達が来ると言っておいた、女の子が来ると知ったらどうするか分からないし。


 ちなみに金曜日は1000ポイントゲットしたので、今の所持ポイントは-13500だ。


 なんとか抜け出して、ポイントを集めに行かなくては……。なんとかなると思ってた、おとといの僕を殴りたい。


「さあ、あがってください」


 エルイがそんなことを言いながら居間へと先導していく。お前も居候の身なんだけど……。


荷物をそこら辺に置き、ひとまず皆、座布団の上に座る。


「泊まりに来たはいいけどまず何するんだ?」


「私、人生ゲームというのをやりたいです!」


そう言って、エルイは人生ゲームというボードゲームを何処からともなく出した。


「面白そうだね。みんなでやりますか」


「どうせなら、罰ゲームありでやろうぜ? 1位の人が最下位の人になんでも1つ命令を下せるってのはどうだ? 」


川崎がそう言うと、水島と北条が手を挙げて賛成した。


「そのルールで私は問題ない、北条さんも問題ないよね」


「もちろん、罰ゲームくらいないとつまらないしな」


そう言って、何故か二人共妙に燃えている……。


「僕は嫌なんだけど、僕が最下位になって、北条が1位になったら何されるか分からないし」


本当に北条が怖すぎる……もしそんな事になったら、サンドバッグ!?


「松山くん。逆を考えてみなよ、もし松山くんが勝って、川崎くん以外の誰かが最下位になった時の事を」


川崎以外は全員女の子……なるほど、なんでも一つ命令できるわけか、上手く使えば僕の理想のラブコメに一歩近づけれるかもな。


「よし、罰ゲームありでやるか。絶対勝つ! って、準備早や!」


僕が悩んでいる間に、既に準備が終わっていた。


「よし、やるぞ!」


****************************


簡潔に言おう、負けた……最下位だ。


「松山さん、弱すぎじゃないですか?」


「全員が僕に集中攻撃してたら、勝てるはずないだろ!」


幸い、1位が川崎だったのは良かったことだ。


「てか、一人選んでその家を放火できるとか、暗殺できるとか、なんでそんなマスがあるんだよ!」


「俺が命令していいんだよな?」


北条とエルイと水島は三人はお互いを潰しあったお陰で、川崎は1位になる事が出来たのだ。


だが、川崎はほんの少し悔しがってるようだ。やっぱり、女の子相手じゃないと面白くないしな。


「じゃあ、松山は今日の夕飯を作るという事で」


「なんていうか、平凡だな。……って、なんでみんな喜んでる!?」


何故か北条と水島はガッツポーズをして喜んでいる。


「まあ、最初から僕が作ろうと思ってたから別にいいよ。じゃあ、さっさと作ってくるわ」


「はいはい!私も手伝うのです」


「お兄ちゃんが作るからりろはみんなと遊んでて……って、ええええ? なんでここにりろがいるの!? 友達の家に泊まりに行ったんじゃないの?」


「昨日、エルイお姉ちゃんに教えてもらったのです。今日、お兄ちゃんが女の人達が連れ込むって、教えてもらったのです。なので、家を出た後窓から入って隠れてました」


 僕の妹ながら、流石だな……。


「私も一緒にお泊まり会に参加していいですか?」


「もちろん、いいよ。その代わり、松山くんの色々の情報を頂戴」


なんか、色々な情報ってまさかとは思うが僕のコレクションのことか? 流石に妹にそんな事をいわせるようなやつじゃ……ダメだ、水島は変態だった。


「わーいなのです。今日はめいっぱい遊びましょう!」


「ねえ、この子って本当に松山の妹なの? 可愛すぎない? 私の妹より全然可愛いよ」


そう言いながら、北条はりろの頭を撫でる。


「正真正銘、僕の妹だぞ。流石の僕でも攫うみたいな犯罪はしないぞ」


「覗きはするのに?」


「それを言うなよ……」


僕達のお泊まり会はまだまだ始まったばかりだ。


現在の所持ポイント-13500

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