成仏
「やめろ!やめてくれ!頼むからやめてくれ!」モグは懇願するように膝をついた。
「どうしたの、さっきまであんなに反抗的だったのに、やっぱり猫は気まぐれね」不適な笑いを浮かべる。僕は気を失いそうになっている。
「頼むから、その親子は助けてやってくれ。」モグは両手を合わして拝むように言う。
「それは無理よ。私が成仏する為には後一つ魂が必要なの。それも霊感の強い魂……」敦子は
「ただでとは言わん……、代わりに俺の魂をやる。その
「モ、モグ……」僕の目から涙が
「それは面白い提案ね。確かにあなたの魂を喰らえば確実に成仏できそうね」言いながら敦子は僕の体を突き飛ばした。すでに僕への興味は失せてしまったようだ。
「雄太……、ありがとうな。お前ら親子のお陰で俺は人間への復讐なんちゅうアホな事をせんで済んだ。お前とお母はんに俺は身も心も救われたんや」モグは自分の額に人差し指と中指を当てる。
「猫又!早くお前の魂を頂戴!!!」敦子は口からヨダレを
「約束通り俺の魂はお前にやる!ただし人の魂を食らってきたお前が成仏して天国に行ける筈はない!お前の行き先は無限地獄行や!!でも心配すんな!俺も付き合ってやる!!!」モグの体から光が発せられるとその体は四散した。そして敦子の体に吸収されていく。
「い、いや!地獄はいや!!私は、私は、成仏して天国に!!!」彼女の言葉が言い終わる前にその足元に黒い穴が現れて、その中に彼女は悲鳴を上げながら落下していった。
ふと垣間見たその穴の中は赤く煮えたぎったマグマに覆われた地獄のような光景であった。
敦子の姿が消えたと同時にその穴も姿を消した。
「モグ!!!」僕は大声で叫んだが彼からの返事は無かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます