退院

「僕、退院する事になったんだ」最近体の具合が良くなってきた事もあり、先日の診断結果を見て、今日から自宅療養になることになった。もう少し様子をみて良くなれば学校にも行けるそうだ。


「そうなんだ。よかったね、ゆうちゃん。私はもうしばらく入院だわ」あっちゃんは少しだけ寂しそうな顔を見せながら自分の胸の辺りを押さえた。


「でも、病院には定期的に来ないといけないから、きっとあっちゃんに会いにくるから」本当をいうと、あっちゃんと別れるのは凄く嫌だった。しかし、いつまでも入院を続けることは無理であった。


「寂しいけど、退院しても私のお友達でいてくれる?」不安そうな表情で彼女は聞いてくる。


「もちろんだよ。僕とあっちゃんはずっとずっと友達だよ!」本当に別れたくないという気持ちで胸の中が一杯になっていく。


「きっと私に会いに来てね。きっとよ!」あっちゃんは少し涙を両目に溜めながら僕の両手を握ってきた。つられて僕も泣きそうになった。


「きっと遊びに来るよ!」僕は大きく手を振りながら屋上を後にした。


「きっとよ……」あっちゃんは聞こえるか聞こえない位の声で呟いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る