43 イミナの学園生活1
「あの、私やっぱり図書館にこもります、私には無理ですよ。」
「何言ってんだよ、オクタグラムに入るのに一番乗り気だったのはお前じゃないか。」
イミナは制服を着て講義を受けるために教室に向かっている。
「魔法…我は最近魔法を使っていないの。」
リヴァイアサンは相変わらずイミナの背中にしがみつき、イミナの頭をなでまくっている。
「人化は魔法じゃないのか?明らかに魔力が放出されてたが…。」
「あれは正真正銘スキルなのだ。体を小さくするときに我の魔力を圧縮したときに少し漏れただけのことよ。」
ふーん。いやまぁ別にさほど興味があるようなことでもなかったので特にこれといった返事もしなかった。そんなことよりも、だ。これをまず何とかしないと。
「あわわ、やっぱり私なんかが不釣り合いなんです。周りの子はみんな魔力がすごいです。」
イミナは激しく動揺しているようだった。心拍が上昇するのがこちらまで伝わってくる。オクタグラムに入るのをこころよくOKしたのはイミナじゃないか。それを、何をいまさらビビっているのだが。
オクタグラムは大学のように、生徒たちがそれぞれ自分で時間割を作る。教える魔法の属性や教える教師、魔方陣の作り方や実践形式のもの、様々な分野で分かれている。そしてもちろんだがそれはある程度のレベルに分けられていて、受けることのできる授業のレベルが入学したときに決められるというのだ。そのレベルは入学の時に決められ、魔力量、魔術、筆記試験などで測られるそうだ。その階級は上からアイン、ツヴァイ、ドライ、フィーアとなっている。アインになるほどその講義は専門的かつ難解なものになってくるのだ。さて、それではイミナはどのランクに位置しているのか。
「私がアイン級って、おかしいじゃないですか!何かの間違いです…。」
そう、イミナはアイン級。しかし、その理由は意外とわかりやすいものである。イミナはもともと高い魔力、そして魔法適正を持っていて魔術の才能はあった。それに加えて俺との冒険を得てレベルが上がり、その魔力はとてつもない量だ。それに加えてリヴァイアサンの眷族となり、その加護を受けて魔力は増大している。さらに、イミナは幼いころから本を読みふけっている上に、実は俺と行動す量になってからも魔術の勉強は怠っていなかったのだ。そんな努力家で、有り余るほどの魔力の持ち主である、別にアイン級でも不思議ではない。あぁ、早くイミナの呪いを解いてあげたい。今の俺はそのことでいっぱいである。
受ける予定の講座がおこなわれる教室の前にたつ。イミナはドアに手をかけるもその手を引っ込め、おろおろしだす。
「あぁ、やっぱり図書館に行きましょう。今日いきなり講義を受けるのはやっぱりやめにして」
「えい。」
イミナがおろおろしている間に、リヴァイアサンはそれを無視してドアを開ける。
「ほれ、さっさと入るぞ。」
リヴァイアサンはイミナの手を引いて教室の中へずかずかと入っていく。
アイン級は相当の実力者しかいないため、通常の講義は4~50人ほどの人数で行うのだが、アイン級は数が少ないため十数人しかいない。そして、教室にいた全員が俺らに視線を向ける。
「あら?見ない顔じゃない。」
「…ん?ここはアイン級の講義だぞ。どうした間違えたか。」
アイン級は数が少ないため、全員が顔見知りなのだろう。初めて講義を受ける俺たちはどうやら教室を間違えた下位のランクの生徒に見えたらしい。
「あ、いえ。一応、私もアイン級です…。」
「お前みたいなのは見たことないぞ?」
イミナは制服袖を見せる。制服袖には模様が刻まれており、それはアイン級を意味するものだ。そういえば久々にイミナは俺以外の服を着ている。いやまぁ、下着は俺なんだけどね。もうずいぶんと慣れましたよ。
「アイン級…。編入生か?」
「は、はい。そんなところです。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。」
「そちらの幼女は?」
アイン級の生徒の1人がリヴァイアサンのことを聞いてきた。
リヴァイアサンは制服の袖を堂々と見せる。
「我が生徒とな!?片腹痛いわ。我は誰かの下になどつかぬわ!我は教師なのだ!」
リヴァイアサンの袖にはアイン級の模様よりも豪華な模様が刻まれている。それはこの学園の教師のみがつけることを許された模様であり、当人が魔術において極めて優れた存在であるという証でもある。実際、リヴァイアサンが生徒というのはおかしいだろうというマルエの発言から始まり、ならいっそ教師の立場にするかということになった。かといって別に何かをイミナ以外に教える気はないそうだ。というか教師の立場になってる時点で学園長の下についているのは…黙っておこう。
「ははは!生徒よ跪け!!!ははは…。ふぅ、笑いつかれた。ほれイミナ座るぞ。」
リヴァイアサンは再びイミナの背中にしがみつく。
イミナは周りの生徒に頭を下げながら教室に入っていき、開いている席に座った。
周りの目は異様なものを見るような目だった。まぁ、それが主にリヴァイアサンに向けられたものだったから、俺は無視した。
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