38 眷族
「おぉ!さすがSランク、あのシルヴァさんと新人Bランク冒険者白の悪魔イミナを相手に、倒しやがった!」
「しかもあの格好見て、あの装備、たぶん本気じゃないのよ!」
「全然動き見えなかった。」
戦闘が終わると、一気に周りが盛り上がった。
「あぁあぁ、イミナが負けてしまったのだ!」
「シルヴァさん、惜しかったです。」
俺はシルヴァの槍を回収し、シルヴァのガントレットを吸収し、最終的にイミナの中に戻った。
「おーい起きろイミナ。」
「おい起きろ馬鹿弟子。」
「…。」
「…。」
イミナとシルヴァが起き上がる。
「ははは!いやぁ、まさかゲイボルグが二回も出されるとは思ってもいなかった。ははは!」
「おいクソ師匠、さっきのスキルはなんだ。見たこともない。」
「あれは『幻影』ってスキルでな。この前倒した魔族のやつが使ってて、俺も欲しいと思って修行したんだよ。その名の通り幻を作り出すスキルでな。つまりお前らは途中から俺の幻を殴っていたというわけだ。ははは!いやぁでも強かったぞ。幻影といえどアッパーまで決められたんだ。」
「リミドさん負けちゃいましたね。」
「…ハンデありでこれだ。確かに化け物だな。」
「いやぁ褒めてくれてありがとう。観客の皆さんも見守ってくれてありがとうね。ははは。」
「ファンサまでやんのか。」
「ちっ。なんだよ最初から負けてたじゃねぇか。」
「そりゃあ負ける勝負なんて挑みたくないからね。俺にもSランクなりのプライドってのがあるんでね。」
「…。帰る。師匠のせいでストレスがたまったうえに仕事まで遅れてしまった。おいソーマ戻るぞ。」
そういうとシルヴァはさっさと帰ってしまった。いやぁ、相変わらずシルヴァは余韻とかそういうものがなくてさっぱりしているというか。
「…リミドさんと出会ってから二回目の敗北です。」
一度目が悪魔帝トゥルモティアス、結果だけ見れば勝利なのだが過程を見れば敗北といっていいだろう。
「Sランクに手も足も出ませんでした。」
「そうだな、もっとレベルを上げよう。」
「大丈夫かイミナぁ!怪我は無いかの、怪我は無いかの!」
リヴァイアサンがイミナのもとへ駆け寄ってくる。
そのままイミナに飛びつき頬ずりする。
「おぉよしよし。」
「今日は休みにして街をぶらつくか。おいリヴァイアサン、まだ美味いもの食いたいだろ。」
「そりゃあもちろんなのだ。ほれ、イミナ。我を案内するのだ。」
「あれれ、おじさん置いてけぼり?」
剣聖が俺らに近づいてくる。
「いやあんたは今すぐに剣と装備取り戻さないといけないだろ。」
「…。あー。忘れてた。」
そういうと剣聖は猛ダッシュで街へと消えていった。
「あわただしいやつめ。ほれ、イミナいくぞ。」
イミナの顔はどこか暗い様子だった。
夜になり、宿に戻る。
するとイミナが神妙な面持ちで話し始めた。
「ねぇリミドさん…私強くなりたいんです。なんだか、私手も足も出なかったような気がして…。それに結局リミドさんに頼ってばかりだと思うんです。」
「イミナがいるからこその俺だぞ?」
「いいえ、私自身ももっと強くならないといけないと思います。ですから、トゥルガーさんの眷族になるのはどうでしょうか。」
「おぉ本当か!我はうれしいぞ!」
衝撃の発言、リヴァイアサンの眷族になる。
リヴァイアサンの眷族になると今言ったのか。
「おいイミナ、それが何を意味するか分かっているか。」
「はい。どんな時でもずっとトゥルガーさんに付きまとわれるということです。」
「なんかイミナ言い方悪くない?」
「あぁその通りだ。このロリコンにずっと抱き着かれているんだぞ。」
「お前も言い方悪くない?」
「それでもです。」
イミナの目には、強い覚悟を感じることができた。
「よし、じゃあいいんじゃないか。」
「トゥルガーさん、私を眷族にしてください。」
「な、なんか話の展開早くないか。い、いやまぁ我は別に良いのだぞ。ふふふ、2人目の眷族が幼子とは嬉しいものなのだ。」
リヴァイアサンはうれしそうな表情を浮かべていた。
ちょっと、気持ち悪かった。
「よし、じゃあ今からおぬしと魔力回路を結ぶぞ。ふむふむ、おぬしは相当魔力量があるようじゃの。それに加えてリミッドパーツに補助が入るから、我の魔力が入っても問題はないだろう。」
「どういうことだ?」
「いやなに、魔力をあまり持っていないものが高い魔力の持ち主と契約を結ぶと与えられる魔力に耐え切れずにはじけて死ぬのだ。」
はじけて…死ぬ。やけに物騒だな。
「イミナは相当の魔力量があるようだが、どうして魔法を使えないのだ?」
イミナは少し言いづらそうに答える。
「私、魔法が使えない呪いを受けているんです。」
「ほう、どこのどいつがこんなかわいい幼子にそんなひどい仕打ちをしたのだ!我がぎったんぎったんのめっためたにしてやる!」
「いえ大丈夫です。きっといつかこの呪いも解けますし。」
「…まぁイミナがそういうのなら。こほん。それでは契約に入るぞ。我が今からおぬしと魔力回路をつなげる。少し魔力酔いするかもしれないが意識を保ったままにするのだ。我とおぬしとで契約をするが、その契約の文言は頭に勝手に思い浮かんでくるからそれをそのまま口に出して言うのだ。」
「ではいくぞ。」
大量の魔力が流れ込んでくる。その感覚が俺にも伝わってくる。
肝心のイミナはどうだ。なんとか意識は保っているが、結構ギリギリな感じだな。
「だ、大丈夫…です!」
「よし、では今から契約を始める。」
『汝、イミナは海龍帝王トゥルガー=リヴァイアサンが眷族となり、その血肉を捧げることを誓うか。』
『我、イミナは貴女の眷族となりその血肉を捧げることを誓います。』
イミナは青白い光に包まれる。
うわまぶし。俺はとっさに目を瞑る。
「わ、私強くなったんでしょうか?」
イミナの綺麗な白い髪に青色のメッシュが入っていた。
「よし!これでおぬしは我が眷族なのだ!ふふふ。かわいい眷族だのう。」
名前:イミナ
二つ名:白の悪魔
種族:人間(種族:亜種)
レベル:132
状態:通常
ステータス
HP:29023/29023
AT:26110
DF:8280
SP:89
MT:3009
MP:4230/4230
称号:運命の子・海龍帝王の眷族
スキル
・吸収解析
・呪い:魔法不可
・魔法適正
・武術(Lv45)
・神速
・影踏
・衝撃強化・緩和
・転翔
・耐・恐怖(Lv3)
・龍の加護(Lv5)
・水属性耐性(Lv5)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます