32 海龍帝王種3

「あれがリヴァイアサン…。」

「すげぇ…悪魔だけじゃなくて海龍帝王種まで従えるなんて…。」

「か、かわいいわぁ…二人とも…ふふふ。」

おいやっぱり誰か1人ロリコンがいただろ。

リヴァイアサンを連れているせいで周りの人たちが俺らのことをすごく見てくる。

リヴァイアサンはずっとイミナの頭をなでており、さっきからずっと「かわいいのう」とか「われの眷族にならぬか」とかそういうことを言ってる。

ちなみに俺は今分離体をシルヴァの肩の上にのせて意識を載せている。

リヴァイアサンが、「我がイミナに抱き着くときになんかお前がいると男も一緒に抱きついてるみたいで気持ち悪い。」とのころ。なんとわがままなのだろうか。まぁそれに逆らえるほどの力もないがな。

「おい、あれどうすんだよ。」

俺はリヴァイアサンを指さす。

「残念だがどうにもできん。俺じゃかなわない。早く帰ってもらうことを祈るしかない。」

「我の眷族になればわれとの魔術回路がリンクして、いつでも意思疎通ができるんじゃぞ、こんなにかわいい幼子を一人においてはおけぬぞ。」

「いえ、私にはリミドさんがいますから。」

「ほう?この生命体もどきで元男で変態が?」

「誰が変態だ。好きでこうなったわけじゃない。」

「え…リミドさん嫌だったんですか…。ごめんなさい私無理させちゃってたみたいで…。」

「そういうわけじゃない!」

「じゃあやっぱり変態じゃないか。」

「めんどくさい!」



「俺はリヴァイアサンの説明をしなくちゃなんねぇからギルドに戻る。」

「は、はい。あの、それで私はどうすれば。」

「海龍帝王種を連れてこの街の観光でもしてろ。そいつが暴れないようにしっかり監視しとけ。」

「我がそんな阿呆なことするわけなかろう。」

「あのーリヴァイアサン?そろそろ俺イミナに戻りたいんだけど…。」

「えぇ…。いやなのだ。」

「トゥルガーさん、お願いします。」

「…むぅ、分身体は作るなよ、気味が悪いから。」

俺はなくなくリヴァイアサンの承諾をうけてイミナの中に分離体ごと入る。

「むぅーイミナの髪は綺麗だのぉー亜種体の髪はやはり白くて美しいの。」

「この髪のこと綺麗だなんて言ってくれたのリミドさんとトゥルガーさんだけです。私、この髪のせいで疎まれていたから…。」

「ほう、イミナは東出身だったのか。それはまた難儀じゃのぉ。東は宗教でできとる国が多くてそういう迷信が強く信じられているから大変だったろうに。おいリミッドパーツ。」

「なんすか。」

俺はガントレットから話しかける。

「この子のこと、ちゃんと大切にするのだぞ。」

「あんたに言われなくてもそのつもりだよ。」



さて、俺たちは現在リヴァイアサン警報が解除された海に来ている。

イミナを水着にして、なぜかそれに同期してリヴァイアサンも水着を着ていた。

「トゥルガーさん、その水着どうしたんですか?」

「あそこの店の人間脅してきた。」

「…。リミドさん、あとで払っておきましょう。」

「ちょっとまってろ今から俺が払ってくるからお前はリヴァイアサンとたわむれてろ。」

ぽんっと分離体を出して俺は体をぴょんぴょんさせながら店へと向かう。

「あのぉすみません。」

「うわああぁぁ、海龍の次は悪魔かよぉ!!なんなんだよいったい!」

「あぁいや、すみません。さっきのリヴァイアサンがかっぱらってた水着の値段教えてくれますか?俺が払うので。」

「え、えっと。15金貨です。」

(高い…。あいつどんだけいいもの盗んでったんだ。)

「15…15…あのすいません、俺の口の中に手つっこんでもらえます?」

俺は俺自身で収納の中からものを取り出せない。

「は、はい…うわ、ねちょっとした。」

「そこ、そこです。それ掴んでください。」

「おっ、ちょうど15金貨…ありがとうございます。」

「いえこちらこそご迷惑をおかけしてすみません。」

ぴょんぴょんと体をはねさせてイミナのもとへ戻る。

「あ、よかった…リミドさん、はやく入ってください。」

「ん?どうした?」

「いえ…そのお手洗いに…行きたくて。私まだリミドさんの操作なれていなくてうまく脱げないんです。」

「そ…そうか。それはすまない。ほいっと。」

俺はイミナのもとへと戻る。

「すみません、トゥルガーさん、少しだけ待っていてもらえますか?」

「うむ?まぁよいが、できるだけ早く戻ってくるのだぞ。」

「はい!じゃあ行きましょうリミドさん。」





「むー!イミナがいないと暇だ!」

「お初にお目にかかります、リヴァイアサン様。」

「む、おぬしは誰だ。」

「いえ、私はここらを歩きまわっている売り子でございます。リヴァイアサン様もおひとついかがですか?大変美味ですよ。」

「んお?気が利くではないか。一つ貰おう。ふむ…酒?いや違うな。ごくごく…。ほぉ、これはうまいな。なんだこれは。」

「お酒の一種でございますよ。」

「酒?こんな酒は飲んだことないぞ。」

「それはもちろん、どんな精神耐性を持っていても酔わすことのできる、超危険麻薬を入れた…ものですからね。」

「…はれ?あ…、あ…頭がくらくらしてきたぞ?」


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