20 白の悪魔

「はっ!ここは。」

目を覚ます。そこは馬車の中だった。

何人もの冒険者が武器を構えながら俺のことを見ている。どうやら警戒しているようだった。その中にはパネラもいた。

俺のそばには見たことのない水色の髪をした女がいた。

この独特のオーラ、装飾が施された質の良い防具。きっと高ランクの冒険者に違いない。

「目が覚めたようね悪魔さん。さっそくで悪いんだけど事情を聞かせてくれないかしら?」

優しそうな声の裏には、どこか怒りや疑惑といった負の感情が隠れているようにも思えた。俺はいったい、何をしていたのだろうか。たしか…。


俺はありとあらゆることを話した。

クルルが魔物につれさられ、それを助けようとしたところオークロードが現れ、それを倒した後にクルルを追うと謎の祭壇と大量のオークがいて、それらが生贄として悪魔帝トゥルモティアスが現れたこと。必死の抵抗の末に、トゥルモティアスを倒したこと。そのあとのことは覚えていない。イミナとお前の関係はそれだけか、と水色の髪の女に問い詰められたので、俺がイミナと契約をしてイミナの心臓代わりでいること。そのおかげでトゥルモティアスの特権魔法(プリビレージスキル)なるものを防ぐことができたということ。

「つまり、君はこの少女の心臓の代わりとして契約したんだね?」

「あ、あぁ。」

転生とかのところは契約という言葉で濁しておいたが。

「なるほど、じゃあ君は先ほど我々に敵意を向けていたことを覚えているか。」

俺は困惑する。トゥルモティアスを倒したところまでは覚えているが、その後の記憶は全くない。たしか、イミナを守るために繭の形になって…。

「その表情を見ると覚えていないようだな。どうやら君は自動守護形態、この少女を守るために近づくものすべてを迎撃しようとしていたらしい。」

「そ、そんなことになっていたのか。」

「あぁ、何人も冒険者が君にやられたよ。幸い、全員たいした怪我ではなかったがね。1人だけ気絶したが…それはまぁ君のせいではなく事故だ。」

水色の髪の女はパネラの方をじっと見つめる。

何があったんだ?

「自己紹介がまだだったね、私はAランク冒険者のスキッタ=トワ―ル。君を助けるために集まった調査隊のリーダーを任せられている。」

やはり、高ランクの冒険者。最低レベルは100と聞くから、俺らよりも格上。

少し、警戒する。

「さてと、あらかたの情報はしゃべってくれたから、次はこの子に聞きたいんだが、どうやら悪魔くんの意識が戻ったとところでこの子の意識が戻るというわけではないようだね。回復したら、あとでじっくり聞かせてもらうよ。今はゆっくりと休むがいい。」





「皆さん短い間でしたがありがとうございました。」

イミナがギルドの職員、そしてお世話になった冒険者に向かって深いお辞儀をする。イミナと俺らは傷が癒えた後に事情徴収され、そのあとにオークロードの討伐、そして悪魔帝トゥルモティアスの討伐の報酬として大量の金貨を貰った。そしてその成果としてランクも無事上げてもらえたのだ。そして、悪魔帝トゥルモティアスを倒してから約10日、俺らはこの国を去り次の国へと向かうことへとしたのだ。

「そんな急がなくても、もっとゆっくりしていけばいいじゃないか。完全に傷が癒えてるってわけじゃないんだし。」

「いえ、もう十分です。本当にありがとうございました。」

なぜ、俺らがこの国を去ることにしたのか。それは実は周りの目である。

悪魔帝をソロで討伐した化け物、そしてその後の冒険者への敵対行為。

もちろん、敵対行為と言ってもイミナを守ろうとした結果なのだが、何人も冒険者を傷つけたことに変わりはない。もちろん、尊敬や感謝のまなざしを向けてくるものも何人かはいるのだが、それ以外のほとんどは恐怖だ。化け物を見る目。

それは仕方のないことだが、さすがにこんなところにいてはイミナにとっても周りの人間にとってもよくない。だから早々にこの国を出ることにしたのだ。

通常Dランクに上がるところを、並外れたステータスそしてソロでのオークロードと悪魔帝トゥルモティアスの討伐これらが重なり俺らはランクを飛び級したのだ。

Dを飛んでC Cを飛んでB

冒険者のプロと呼ばれるBランク冒険者に上がることができたのだ。

そして、Bランクになると二つ名というものがギルドから与えられるらしい。

恐怖と尊敬からつけられた二つ名。

「白の悪魔イミナ」



名前:イミナ

二つ名:白の悪魔

種族:人間(種族:亜種)

レベル:131

状態:通常

ステータス

HP:18023/18023

AT:13098

DF:4185

SP:65

MT:1401

MP:2960/2960

称号:運命の子


スキル

・吸収解析

・呪い:魔法不可

・魔法適正

・武術(Lv43)

・神速

・影踏

・衝撃強化・緩和

・転翔

・耐・恐怖(Lv3)


名前:リミド ("%&($#%)

種族:魔流性仮部位欠損補給型粘体(リミッドパーツ)(新種族:オリジナル)

レベル:131

状態:完全適合

ステータス

HP:0/0

AT:105000

DF:132000

SP:1430

MT:730

MP:3050/3050

称号:運命に託されたもの

スキル

・落下耐性

・自由補助粘体(アシストカスタム)

  :《極装(ガイルドベント)》(Lv2)

  :補助形態(補正:体)(自由伸縮:効果なし)(補正:服)(補正:鎧)(補正:武器)        (補正:浮遊)

  :素材変換

・脈動

・再生(Lv3)

・転翔(ステップ)

・ステータス補正(Lv5)

・暗視

・収納

・耐・恐怖(Lv3)



「白い髪に悪魔が宿る、これはあくまで人間の亜種には固有能力(オリジナルスキル)が宿ることでそう東の大陸では忌避されてきたが、まさか本当に悪魔が宿るだなんて、世の中面白いわね。」

水色の髪をなびかせて、不気味に笑うスキッタ=トワ―ルの姿があった。



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