四
この娘は、死を恐れている。
新たな女王はすべて、お
この特別な年、十三から十六の数が刻まれたくじを女王が引く。引かれた数と同じ年齢の娘全員が集められ、
その中からたった一人、次の女王となる者だけが死から甦り、新たな命を得て若竹となる。
――その場を見られる者は宮司たち何人かの神職のみであるが。
古老は穏やかにそう話した。
――朝日が射してまもなく、包んだ布ごと生えてきた姿はまるで
――すると新たな女王は光り輝き、その光は竹林の外までも届く。
他の娘は、と小さな子供が聞いた。
すると古老はその子に微笑み、答えた。
――そのまま竹林になるんだよ。
死ぬのだ。
竹林に植えられて、女王にならなければ死ぬ。
そして、女王になればこの国を出られない。
お
私はこの娘を守らなければならない。
「狭穂」
私は婚約者の震える身体をしっかり抱き直すと、心を決めた。
「狭穂、逃げよう」
そうこうしている間に、明日の夕方には神事が始まってしまう。
人目につかず逃げるなら今夜しかないのだ。
「家や故郷を捨てるのは辛いだろうが、」
「駄目です! 私が逃げれば
「だけど」
「私はきっと、こうなる宿命だったのです」
震えている。泣いて身体が熱を帯びている。この狭穂が、この命が明日の夜には失われてしまう。
何としてもこの娘を連れて逃げなければ。そう思った瞬間、狭穂は私を突き放すように押して後ずさった。
涙の
「……私はお
「やめろ。狭穂」
「いいえ。行きます。でも私はきっと女王ではない。そんな器じゃありませんもの。だから、」
――だから、どうか私を。
私は、
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