第2話 起動 ①
???「悪いが、そこまでだ。」
アークとレンの話を遮った男は、2mもあろうかと言うほどの背丈で、ガタイの良さと赤い髪が印象的で、その両腕は機械でできているが、レンの腕の2倍以上はあろうかという太さがあり、明らかに戦闘用だとすぐにわかるような作りになっている。
レン (あの服は…まさか!)
何回か見たことがある。トゥリスの治安維持と魔獣の討伐をするこの国の言わば要のようなエリート集団------
??? 「『バベル』のミツルギ シオンだ。」
アーク「ふむ…用があるのは私か?」
男はそう名乗ると、アークを睨む。
アークは少しニヤけてシオンを眺める。
シオン「その通りだ。ちょいとツラ貸してもらおうか。」
アーク「…そうか、君が『エデン』か。」
アークはシオンの全身を見て、眉をピクリとさせ小さく笑い、少し満足そうに口を開く。
シオン「てめぇ…なんでそれを知ってやがる!」
その言葉を聞いた瞬間シオンは拳を握りしめ右足を下げ戦闘態勢をとる。
それに反応し、嘲笑と共にアークは黒いモヤの中から杖を取り出し、
アーク「なに、簡単なことさ。」
ふわりと浮かび、少し距離を置いてから魔法陣をいくつか彼の背にいくつか展開する。
アーク「体感するのが1番早いだろう。」
杖を軽く振るうと魔法陣から先端に棘のついた鎖が飛び出しシオンに襲いかかる。
幾つものそれは周りを巻き込みながらシオンを吹き飛ばす。
レンはリリを突き飛ばして守ったが、自身は巻き込まれ、シオンと共に噴水を超えた向こうの建物まで飛ばされる。
アーク「ハハハ、そんなに強く放ったつもりは無かったが…」
人々は逃げ惑い、悲鳴を上げる。
リリは腰を抜かしたのかその場にヘタリと座り込んでしまう。
リリ「嘘…レン…レンが…」
絶望に満ちた顔をしたリリは恐る恐る飛ばされた方向を見る。
土煙が上がり、周りには瓦礫が散乱している。
ああなってしまえば、人が生き残ることは難しい。それが表面では認めていなくても、心の奥底で認めてしまったリリはそれ以上の言葉が出ない。
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