沙帆媛伝――竹野国の物語/鍋島小骨

作品名:沙帆媛伝――竹野国の物語

作者名:鍋島小骨

性癖:生贄、かなりやばい感じの神事、赦されぬ恋、逃避、逸脱した祖母、名前

作品URL:https://kakuyomu.jp/works/1177354054894765006


 かぐや姫の物語を根底に置きつつも全く違うオリジナルの物語として作成されたアジアンファンタジー。

 鍋島さんの書くファンタジーはいつも壮大で様々な仕掛けが施してあって圧倒されます。こんだけ丁寧に練られたファンタジーをこんな企画に投稿して頂いてもいいのだろうか。いいですよね?だって性癖小説選手権だもん。

 背筋がゾクゾクするする部分が何か所かあり、(なるほどこれが鍋島さんの性癖の伝え方か…)となりました。性癖として提示された部分全てが魅力的で、読み進めていくと同時に性癖提示の順番通りに心に響いてくる物があるというのは上手いやり方だと思います。

 ただ、これは凄く言いにくいんですが、鍋島さんのこの作品、上品すぎて困る。

 書かれている性癖ポイントは(ここの事か)と分かりますし、鍋島さんが本当にその部分の事を好きなんだという事が伝わってくるんですが、上品すぎて性癖という下卑た感情を曝け出して読む事が難しい……

 心や股間に性癖が響くのに、最後まで読むと物凄く良い話を読ませて貰ったという満足感で上書きされてしまって(良かった……)となってしまいます。

 まさか性癖力も高くて性癖小説としても完成度が高いのに、完成度が高すぎるからこそ性癖小説として読む事が難しくなるとは……中々難しい問題です。

 こんな発見は初めてでした。ありがとうございます。


 あ、それと、個人的にはこの作品から『登場人物だけに分かる伏線回収』という性癖も感じました。

 分かりやすく名付けるならば、『覚悟が決まる瞬間』や『腑に落ちて迷いが晴れる』という感じでしょうか。物語の主人公だけに許された特権。物凄く好きです。

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