2ー14




 

 アスタロトグループ本社 地下一階駐車場





 本社の地下駐車場には俺を先頭に数台の車が並んでおり、その両側にスーツを着た黒龍組組員が静かに待っていた。



「やっぱり『龍ノ衆』の精鋭はやる気に満ちてんなぁ」


「会長の親衛隊ですから、そこら辺にいるヤクザよりも役に立ちます」



 『龍ノ衆』は会長である俺の親衛隊である。


 アスタロトグループ社を建てる前から親父と一緒に裏の組織や敵対組と抗戦し、裏の世界では名の知れた軍隊的な存在だ。


 そんな『龍ノ衆』は親父が亡くなった後、会社と組と共に俺の下についたのだ。



「ま、親父みたいに自ら喧嘩を売りに行く気は無いがな」


「会長はやはり慎重派ですね」


「小心者と言ってくれ。わざわざ恨みを買うことをして後々面倒事になりたく無いからな」



 車の反対側にいる海堂と少し談話し、時間を潰していた。

 


「ご報告に参りました、会長」


「ご苦労、『狐』」



 隣に現れたのは狐の面をつけた黒装束がいた。アスタロトグループ社の諜報部所属【日ノ河】エース『狐』だ。



「瀧川邸には瀧川 響及び専属護衛が在宅しております」


「外で警備している警備員達は?」


「はい、それは以前に言っていた通り警備会社の社長に命じ、撤退させました」


「分かった。これから俺達もそっちに向かう、命令通り監視を続けろ」


「了解しました」



 そう言って闇へと消えた。


 報告を聞いた俺は顔を引き締め、目の前にいる『龍ノ衆』の組員達を見渡した。



「これから瀧川邸に突撃する」


『はい!』


「この糞爺の行いで俺の会社の邪魔をされた。それは俺にとって、組にとって許せない事だ」


『………』


「瀧川 響を………潰す!そのためにさっさと乗ってさっさと行くぞ!」


『オッス!』



 気合の一言も言った事だし、さっさと車に乗り進んで行くとその後ろに龍ノ衆の組員が乗った車が後ろについて来た。


 それを確認した俺は前を向き、まだ見えぬ瀧川邸を睨みつけた。

 


(瀧川 響……今日がオメェの命日だ)




 この時の俺は普通で平凡の学生では無く、黒龍組組長 黒崎 達也として1日を迎える事になった。






 

 その頃、瀧川邸ではーー




「くそ!どう言う事だ!」


『どーも、こーもありませんよ』


「何故、ワシの言う事を聞かんのだ!人質がどうなっても良いのか!」


『人質?はて?人質とは一体何の事でしょうか?』



 行政の有権力者 瀧川 響が、執務室で電話相手に怒鳴っていた。



「貴様ぁ、人質の娘がどうなっても良いのかと聞いてるのだ!」


『だ〜か〜ら!人質は一体何の事か俺には全く分かんねーって申し上げてるんですよ、分かりますかぁ?』



 一体何を言っているのだ!この男は、人質を奪われて従っていたのに急に反抗的になって……人質がどうなっても良いと言うのか?実の娘だぞ。



「お前は一体ーー!まさか……」


『やっと気づいたかよ、歳を取ると考える事も遅くなるんだな、カカカ!』


「どうやった…………どうやって人質を見つけた…」


『そりゃ〜、ねぇ?頑張れば案外出来るもんですよ』


「ふざけるな!お前の組にそんな力なんで無いはずだ!」


『……まぁ、確かにうちの組は今は廃れてますよ。だけどな、この世には手を出されても許してくれるお人好しな権力者もいたんだよ』


「まさか………あのアスタロトグループ社の小僧か……」



 怒りのあまり持っている電話機に歳関係なく力が入りミシミシと握り締めた。



『本当は俺と部下でお前を殴り込みに行こうかと思ったけど、それは任せる事にしたわ』


「くっ、ワシを誰と思う!行政の中ではーー」


『有権力者…だろ?だけどそれはただの職業に過ぎないんだよ。理不尽な暴力だとそれは無と一緒なんだよ』


「……」


『そんな事よりもさ、大丈夫なの?』


「何がだ!」


『あんたに怒ってるのは俺だけじゃ無いと思うけどな』


「もしかして……」


『小僧だと舐めていたら火傷するぜ?友好的な者にはそれなりの対応はするが、敵対した者は潰すまで追いかけてくるぞ』


「そんなバカな……ワシは有権力者、そんな事をしても意味は……無い」


『そうだと良いな、それじゃあ俺は失礼するぜ』



 そう言って隆介は電話を切った。


 ワシは岩倉組を失った事で、アスタロトグループ社の報復に不安と僅かな恐怖を感じた。



(会社を継いだからと言っても所詮は二十歳にも満たない小僧……考え過ぎか?)



 そんな事を考えていたら外が少し騒いでいる事に気づいた。車が止まる音が何回も聞こえ、二階にある執務室の窓から外を見ると車が何台も止まりスーツを着た男達が門のところにいた。


 先頭に立っていた男に気づくとワシは驚き勢いよく尻餅をついた。



「あ、あれは……アスタロトグループ社の小僧……まさか!ワシに報復しにきたのか!?」



 その時はもう手遅れ、二階にいた事に気づいた達也は不敵な笑みを浮かべながら瀧川邸へと入って行った。









「みーつけた。遊ぼうぜ?瀧川さんよぉ」







ーーー

誤字、脱字などが有ればコメントして下さい。



短くてすみません!次回終わらしてヒロインとイチャイチャさせますd( ̄  ̄)

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