2ー13






「……達也……凄い隈……」


「あ〜マジか」


「……寝不足?」


「ゲームでもやり過ぎたのかなぁ〜、あはは」



 本当は仕事をさっさと終わらすつもりだったけど、予想以上に多くて寝るのが遅くなっちゃったんだよね〜。


 結衣が作ってくれたお弁当の卵焼きを大事に!大事に、一口でパクッ!と食べた。



「……むむ……ゲームのやり過ぎは……め!」


「うーん、でもなぁ〜」


「……じゃないと……もう弁当……つくらない」


「大変申し訳ございません。今度から気を付けますのでお弁当だけはご勘弁を」


「……うむ……分かればよろしい」




 結衣の手づくり弁当と会長の仕事なら俺は結衣の弁当を取るね!……て言うぐらいなら仕事を効率的に終わらせって思いますよね。


 俺が美味しそうに食べているのを微笑みながら見ている結衣に気づきちょっと恥ずかしくなった。



「……ふふ……ほんと、美味しそうに……食べるね」


「そりゃ〜……結衣が作った弁当が美味しいから……かな?」


「…っ!……あ、ありがと…」


「ど、どういたしまして」




 う〜ん、なんとも言えない空気になってしまったな……どうしましょ。


 どうしてかお互い照れてしまって会話がしづらくなってしまった。

 その場の空気をどうにかしようと考えたけど何も浮かばん!どうしましょ!どうしましょ!


 頭をフル回転して考えていると結衣が先に話題を言った。




「……あ、そういえば……」


「ん?」


「……新しい……校長先生が……女性だったのが……少し驚いた」


「あ〜、確かに大抵は男の人だからな。でも最近は女性の校長先生は多くなってるとは聞いた事はあるけどな」


「……そうなの?……知らなかった」




 俺が驚いたのは女性だからでは無く、元婚約者だと言う事に驚いているとは結衣には言えないな。


 少し笑いながら肩をすくめるとブゥーとポケットに入れてあるスマホが振動した。



「んーと、メールか」


「……誰から?」


「友達、ほら俺のクラスにいた荒木って奴だよ」


「……………………………あ、運動が……出来る子」


「荒木、お前が敬愛する結衣はお前を思い出すのにだいぶかかったぞ、乙」



 心の中で荒木を慰めて、その本人からのメールを確認した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




荒『おーい、達也君やーい』


         『うーん?どうした?』達


荒『次の授業、体育でドッチボールになった   からな〜』


 『あいよ〜、飯食ったら教室に戻るわ』達


荒『どこで飯食ってんだ?』


   『屋上で結衣さんと弁当を……あ』達


荒『オマエ!オボエトケ!ドッチボールデボ

  コボコニシテヤル!』


      『地雷を踏んでしまったな』達


荒『コノヨノジゴクヲミセテヤル!』





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 ブチッ!



 さーてと、荒木から地獄を見せられる前に結衣の弁当で天国を見ましょうかね。


 これ以上は言葉では聞かないので、四限目の体育のドッチボールで語り合おうと決め、弁当の続きを再開した。



「……何話したの?」


「この後、ドッチボールだからそれで語り合おうぜって話」


「……???……よく分からないけど……仲良くしないと……め!」


「うっす、気を付けます」



 こうして結衣とお昼ご飯を食べているたびに結衣も俺の上下関係がはっきりしてきた。


 ま、俺がどれだけ結衣に反論しようが弁当を出されたらもう土下座でもなんだってしてやりますよ。多分。




 屋上で弁当を食べながら次の授業の体育で荒木にボコボコさらないようにしようと思ったのであった。








ーーー

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