2ー5







「だ、大丈夫か?達也…」


「……絶賛筋肉痛でございます」


 

 自分の机の上で伏せているのは、昨日の夜に『狐』とバトルをしたツケが筋肉痛になって今後悔しているのだ。


 あ〜、最近運動していなかったし、久しぶりに対人戦やったな……。いつ以来だっけなぁ?もう、疲れすぎて頭が回らねぇ〜。



 目の前には心配してくる荒木が座っていた。四限目の国語で『友とは何か?』を題材にした問題を出してきたので、荒木と組んで考えているところだが、今の俺は戦力外だと自負しよう。



「すまん……後は任せる」


「まぁ、適当に考えたのを紙に書いて提出するだけだからな」


「そうかぁ…」


「本当に昨日の帰りになにしたんだ?」


「黙秘権を行使します」


「ここは裁判所じゃねーよ」



 良いねぇ、良いツッコミしてくれるやん。最近ボケる暇なんて無いからなぁ…。


 ペン回しをしながら見てくる荒木から目線を外し、空に目を向けると小鳥たちが元気そうに飛んでいた。

 

 元気そうな小鳥達だなぁ〜。オスかな?メスかな?どっちでも良いやぁ〜。


 頭がおかしくなった俺は明日の用事の事を考えた。



(明日は五組会定。四人の組長の意見を聞いてどうするか決めるか……)



 明日はいよいよ建設問題を解決する為に、五人の組長の意見を聞き、今後どう対処するかを決める会だ。


 ここは、その上に立つ者として威厳を持って接したいんだが、なかなか上手くは行かないだろ。



「はぁ…めんどくさいな」


「うん?なっか言ったか?」


「いや、別に何も言ってないよ。よし!さっさと終わらそうぜ!」


「おうとも!」



 明日の事は明日で考えよう!と心の中で言い聞かせて今目の前にある国語の課題に専念した。



「あ、お前誤字ってるぞ」


「え?マジで」



 友とぐだぐだと作業する事が、少し良いなと思った。





ーーー








「……おいしい?」


「大変、美味しゅうございます」


 四限目の国語が終わった後、すぐに結衣が来てご飯を食べようと言ってきた。

 

 俺はすぐに承諾して行こうとしたら白崎親衛隊達が邪魔をして来たので、其奴らを蹴散らして後、屋上で結衣のご飯を食べているところだ。



「……ふふ……頬っぺたに米ついてる」


「え?どこだ?」


「……取ってあげる」



 頬っぺたに米がついていると指摘されたのでどこかと探っていると、結衣が近づいてきて頬っぺたについてる米を取って食べた。


 いきなり近づいて来た結衣にドキッ!として取ってくれた後も、ドキドキが止まらなかった。



「……ふふ……美味しい」


「っ!」


「……うん?……どうかしたの?」


「な、なんでもありません。なので早く離れてぇ!」


「……え?……うん」



 本当!心に悪いわよ!美少女の結衣がいきなり目の前に来たら心臓に悪い!だから、ある程度、適切な距離を保って下さい!


 心の中では、理性君が恥ずかしくて真っ赤になりながらいろんな訳の分からない事を言っていた。



「……どう?……ご希望通りの卵焼き。……美味しかった?」


「おう。結衣が作る弁当は美味しいよ」


「……うん……達也に喜んで貰えるように頑張ったから」


「そうか……あ、そう言えば、これ」


 

 結衣に渡す物を思い出した俺はポケットの中から封筒を出した。

 これは、前に言っていた弁当の食費代で今日渡そうと思って持って来たのだ。



「……ん!……こんなに受け取れない!」


「まぁまぁ、これから作ってくれるんだろ?」


「……うん」


「なら、一括払いで払わしてくれよ。俺って忘れっぽいからさ」


「……でも…」


「なんなら、それで良い物でも食ってくれよ。たまには贅沢してもバチは当たらんだろ」


「……」


「まだ、不納得か?」


「……うん」


 うーん、と頭をかきながらどうしようかと思っていたら、この前に新しく出来た寿司屋があると聞いた事があるのを思い出した。



「じゃあ、今度の休みに寿司食いに行こうぜ」


「……寿司?」


「そそ、納得出来ないのなら、贅沢して寿司食いに行こ」


「……分かった……楽しみにしてるね」


「おう、何食おうかなぁ?楽しみだな」


「……うん……私の大好物」


「え?そうなのか?」


「……特に甘海老、最高」


 昼休みの時間、結衣と一緒に今度行くお寿司の話で盛り上がった。







ーーー

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