1ー5









「あぁ、今日は昼から早退して帰るから迎えを頼む」


『分かりました。1時にそちらの学校へ迎えに行きます』


「そういえば、お祖母さんは何か言っていなかったか?」


『お付きの者からの聞いたのですが、特に伝言はありません』


「分かった。朝早くすまないな」


『いえ、秘書として当然の事をやったまでです』


「それじゃあ頼んだ」


『はい、それでは失礼します』




 そして朝早くの電話は終わりバックを持って結衣の家から出ようとした。




「……もう起きたの?」


「おう、ちょっとコンビニに行って朝飯でも買おうかと思ってな」


「……ちょっと待って、私も着替えて行くか待って」




 そう言って寝室から出てきた結衣はまた寝室に入り、制服に着替え始めた。


 俺だけでも行こうかと思ったけど、置いて行った後が怖いので大人しく待つ事にした。





「……よし、着替えた」


「朝ごはんはどうするんだ?」


「……達也もコンビニで買うでしょ?なら、私も買って学校で食べるよ」


「なるほど、じゃあ行くか」


「……うん」




 靴を履き、コンビニへと向かった。









「お前ってめっちゃ食うんだな…」


「……そう?普通だと思うけど…」


「いやいや、おにぎり3個にサンドイッチ一個、鮭弁当を朝飯として買うとか……野球部か」


「……むぅ、これは昼ご飯の分ですー」


「あ、そうなの?」


「……あーあー、傷付いたー。達也が私を傷付けたー」


「はは、これはめんどくさい奴だなぁ〜」


「……そこは謝罪するかなんかしないの?」


「どうもっ、すみませんでした!」


「……うーん、不納得だけど許す」




 他愛もない会話をしながら学校へと向かった。正門から入るとまだ先生が職員室におり、生徒達の気配は見えなかった。




「なんだか不思議だな」


「……何が?」


「学校っていつもうるさくてやかましいのに、こんなに静かだと不気味というか何というか、不思議な感覚になる」


「……確かに」




 そのまま本校に入り、二階にある各自の教室に入った。


 教室の扉を開ける前に結衣に向かって昨日泊まらせてくれたお礼を言った。




「昨日は泊めてくれてありがとな」


「……私の方こそ、助けてくれてありがとう」




 顔を見てお礼を言うと、結衣は微笑んでお礼を言ってきた。


 その微笑んだ結衣に俺は見惚れてしまった。


 綺麗に手入れをしてある真っ白な髪に、他の女性より整った顔にその微笑んだ笑顔は卑怯だと思う。



 そして見惚れていると自覚した俺は自分に対して苦笑をして自分の席へと座った。




「あの笑顔は卑怯だろ……本当に惚れちまうよ…」




 そして、自分自身の顔が赤くなって熱くなっていくのも分かった。





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