第3話 パートC

 私は、とある女子高に通っている。


 ある日の会話で、こんな話が出た。


「あ~、彼氏ほしー」


「また言ってる(笑)」


「だってほしいじゃんさー」


「まあ確かにそうだけどさ」


 二人はこっちを見て、ため息をつきつつ言った。






「「はぁ、あんなよさげな彼氏がいる人にはわからん悩みだろぉなあ」」


 彼女たちはそう言って笑った。


 こないだ、私の彼氏がうちの学校に迎えに来たときに、彼氏がいることがばれてしまったのだ。


 それ以来、よくこんなことを言われる。


 しかし私にも言い分はある。


「いえ、そうはいっても、ほんの三週間ほど前まで私も独り身でしたし、気持ちはだいぶわかりますよ」


 そう、私に彼氏ができたのは最近のことだ。


「そうは言ってもさ~、やっぱり、そろそろ彼氏の一人くらいほしいよね~」






「塾とかにはいい人はいないのですか?」


 確か、この人は塾にいっていた筈だ。


「全然ダメダメ! あいつら勉強の事しか頭にないし!」


「だとすると、もう文化祭とかしかないよ~?」


「って言っても、文化祭にいるやつとか超チャラいじゃん。いかにも女目当てです~って感じのやつとかしかいないじゃん!」


 チャラい人もダメ、がり勉もダメとなると……


「どんな人が良いのですか?」


 気になった私は聞いてみた。






「う~ん。私的には、ガチ陰キャでもガチ陽キャでもない感じの人が良いな! そう、あんたの彼氏みたいなさ!」


「確かに! ああいう、人畜無害そうな人、良いよね~」


 確かに、私の彼氏は、一人称こそ俺だが、結構大人しめだ。


「そうそう、あんな人どこで見つけたん?」


「え~、これ言って良いのでしょうか~」


 言ったところで、余り参考になったりもしないと思うが……。


「まあまあ」


「ほら、言ってみ」


「余り参考になるとは思えませんが」


 一応、そう前置きしておく。


「「いいからいいから」」










「模擬試験で、です」


 私がそういうと、二人はその手があったか、という顔をしていた。

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