死神はいつも僕の後ろに待機している

@kirishima_22

第1話  死神と僕



突然だが、僕は交通事故に遭った。

本当、突然だった。青信号を歩いていたら、急に右から車が来て吹っ飛ばされた。見た人によれば、5メートル程宙を飛んだらしい。


そんな時、人は走馬灯を見るとよく聞くが僕も走馬灯を見た。それは、5歳の頃に幼稚園でお漏らしをした記憶だ。こんな事なら、そんなもの見ない方がマシだと考える間もなく地面に衝突して意識がなくなった。


それから、その3日後に意識も取り戻したのだが、それかというもの僕の後ろには背後霊のように死神が着くようになった。


何を言ってるのかよく分からないと思うが、こればかりは僕にもわからない。

だから、僕は意を決して聞いてみる事にした死神に。


「君さ、僕の後ろをいつも着いて来ているけど何でなの」


僕の言葉を聞いた死神は、側から見て狼狽え始めた。


「なっ、何で貴方私の姿が見えるんですが。てか、いつから見えているんですか⁉︎」


何でと言われても、見えてるものは仕方がないし強いて言えば、


「事故ったら、なんか見えるようになった」


「そんな事あり得ないです。霊が見える人はたくさんいますが、死神が見える人なんて聞いたことないですよ!」


確かに、死神が見える人ってのはあまり聞いたことがないな。


「まぁ、見える人もいるって事だ。勉強なったな。それは置いておいて僕の質問に答えてくれ」


そう言った僕に対して、死神は申し訳なさそうな顔をして言い放った。


「そのですね。お手洗いに行ってたら殺し損ねました」


ん?何だって、トイレに行ってたら殺し損ねた。


「はい、そうですね。本当は、貴方はあの日事故に遭ってこの世にいない筈なんですが、私が前日に食べたアイスでお腹をくだしまして本来の時間に殺せなかったんです」


非常に、間抜けだこの死神。

全ての死神が、こんな感じなのだろうか。

だとしたら、あの世の世界は終わってるな。


「まぁ、死神がアイスを食べたりトイレに行ったりするのには突っ込まないで置くがそれと僕の後ろを着いて来ているのにどういう関係があるんだ」


「あのですね。私こういう、失敗するの5回目でして、なので上司から今回は罰としてその者がまた死ぬまで現世にいるようにと言いつけられましてなので着いていた次第です」


本当に、間抜けだこの死神。


「まぁ、事情は分かったよ。だからって僕に着いてなくていいだろう」


「それがですね。どうやら、貴方の側から離れなくなっているようでして離れようとしてこの通り引き戻されるんですよ」


確かに、8メートルほど後ろに移動してたら、僕の1メートル後ろに引き戻された。

てか、


「迷惑すぎる」


「ごもっともです」


「これじゃあ、プライベートダダ漏れだよ」


「んっ、ちょっと待ってください。貴方、さっき私の事が事故ったら見えようになったて言いましたよね」


「確かにそう言ったが何かあったのか?」


「じゃあ、貴方がお風呂に入っている時に私がお風呂場に居たのも見えていたんですか?」


「そうだが」


「なっ、なっ。何で、見えていたなら言ってくれなかったんですが!それじゃあ、私が男性の入浴シーンを見ている変態じゃないですか⁉︎」


確かに、あれはある意味で興奮するシュチュエーションではあった。お風呂で死神と言えど少女とお風呂で2人きりっというのは、なかなかない事だ。


「そんな事なら、待つ必要もないです。今殺します。殺して、あなたを地獄に送ってやりますよ」


なんだって、


「ちょっと待って!真面目に待ってお願いだから、僕つい2週間前に死にかけたんだけど。生死の境を彷徨ったんですが、早すぎません⁉︎」


「問答無用、乙女の敵は死になさい」


マジで、鎌振りかざしてるし。

あっ、これ死んだわ。






だが、どうだろう。

どれだけ待てど、痛みが来ない。

恐る恐る、目を開けてみると僕の目の前にアニメでよく見る何かバリアぽいものが死神の鎌を防いでる。


「何これ?このバリアぽいの何?」


そう言った僕に、対して死神は悔しくそうな顔をして口を開いた。


「やっぱり殺せませんか。それは、その人の本来死ぬ時間以外殺さないようにする、地獄のシステムです」


「ほう、という事は僕はしばらく死ないということか」


「不本意ながら、そうなりますね」


「じゃあ、しばらくよろしく死神さん」


「えぇ、しばらくは貴方の側にいる事になりそうですのでよろしくお願いします」



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