第一章~はじめまして魔王です~

第一話『1000回目の白い世界1』

「戻ってきたな……」


 ここは何度も見た白い世界。


 この呟きもこれで999回目だ。 つまり、最初に死んだのも加えて、1000回死んだ。


 こんなに来ると、誰も返事をくれないのも慣れたもんだ。


「さて、女神さん探すか。もうこっちに来てるだろ、出てきてくれ。ナビィ」


「了解しました」


 そう言って出てきたのは、ナビィ。

俺の魔王活動をサポートしてくれる相棒で、かなりの美人さんだ。

 さっき思ったことは嘘だ。

独りはめちゃめちゃ寂しい……。


「相変わらず間抜けな顔をしていますね、御主人様マスター


「出てきて一番最初の言葉がそれかよ!俺はさっき死んで来たんだからもっと優しくしてくれよ!」


「ふふ、片腹痛いですよ」


 転生300回目の頃から段々感情が豊かになっていったと思ったらこれだよ。反抗期ってやつだろ、これ。

 まぁ、最初の機械みたいだった頃よりは、良いけどさ……。


「あぁ、もういいよ……。それで、女神さんは見つかったか?」


「今さらですか?既に座標を特定しています」


「え、そうだったの!?いつの間に?」


御主人様マスターが私を呼んだ頃には既に女神様の座標を特定しています。それで、いつ転移しますか?」


「すぐだよ!今すぐ!そんなの聞くまでもないだろ!」


 まったく。本当に優秀だなナビィさん。

俺なんて、まだこの世界を半分しか把握出来てないのに、一瞬かよ………。

 しかし、こんなに速いならもっと楽に世界征服出来た気がするんだが…、もしかして俺が全然ナビィさんを活用出来てなかったのか?


「君、いきなり私の前に来て、一体何をボーと、考えているんだい?」


「ん?いや、ナビィ。俺は動いてないし、そっちが動いたんじゃ………、あれ?女神さん、何で居るの?」


「何でって、、君が来たんだろうが。ボクの至福を邪魔しに!」


 俺の目の前には、少し怒った顔の女の子。もとい、女神さんが立っていた。


 ――――え?これ、どういうこと?


 と、そう思って立ち尽くすしか、俺には出来なかった……。


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