42 グラビティ ゼロ

巨人の額へと手を当てるアリシャ。

さっきと変わって、大人しくなる巨人。


「何が起こるんだ?」

カムイは見ながら向かう。


するとアリシャの手から、緑色の光が輝く。そして


「私が、受け止めます」

と言うと、緑の光は巨人の額から伝わって、

血管のように、身体のあちこちに行き届く。


「あ・・」

カムイはこの間に、アリシャの隣へ着く。

一部始終見ていて、驚いている。


巨人は目を閉じて、項垂れる。


「アリシャ!」

歓喜しながら、近付くカムイ。


その時「グオオ!」と、巨人は目を覚ます。


「うわっ!?」

驚いて引くカムイ。


「心配ありません」

とアリシャは言う。すると、


(バリバリ・・)

と氷にヒビが入り、


(ガシャーン!)と割れる。


「うわ!」

足元が割れ、湖へと落ちそうになる。

が、急に地面が出来る。それは、巨人の手。

大きな手の平に、2人は乗っていた。

湖は元の水に戻り、

(ザブーン!)

と巨人は起き上がる。

そして、手の平に乗った2人を、そのまま、陸上へと運んでくれる。


「ありがとう」

と、アリシャは巨人に言う。

 

赤かった目は、青くなり、むき出しの牙は、引っ込んでいる。

何処か優しい表情になって、来た方向の森へと帰っていく。


「居るべきところへ帰ったんだね」

カムイは言う。


朝日が巨人を送ってくれてた。

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