22 悪魔達との穴へ

 アリシャの、魔法の風のバリアが、

囚人たちの、猛攻によって外れてしまう。


「!?」

 カムイはアリシャを庇う。今まで、ずっと守られてばっかり、

出逢った時から。1度くらい守らなきゃ。

一気に2人の頭上を襲う囚人たちの斧。


「・・!!」

カムイは剣で受け止める。


――予想していた、衝撃は無かった。


「?!」

目の前には囚人たちの、狂気の顔。

(走馬灯かな・・?)

カムイは思う。何故なら囚人たちが、

ゆっくり動いているから。


―――(ゴオオ!・・)

風の音が聞こえる。その時囚人1人の斧が、

(スッ)と、手から外側へ飛んでいく。


「え?!」

カムイは隙間から見ると、そこには、

風の壁が見える。2人と200人の囚人たちを中心とする、竜巻。

ここはその中心部。竜巻の中心の無風の空間。


 風の壁は円状に竜巻となり。囚人たちを、

外側へと吸い込もうとしている。さっき、

囚人の動きが止まったのも、このせい。


「うおお!!」

次々に竜巻へと、飲み込まれる囚人たち。


「す・・凄い」

カムイは感心してばかり。こんな竜巻だというのに、

ここには影響がない。


「中心だから?」

どんどん風の壁に吸い込まれ、減っていく、囚人たち。

 

アリシャは左手を、前に開いて、下に向け、斜下に構えている。

地面へと向ける手の平から、下へと向かう緩やかな風は、外に向かうほど強く、巨大な竜巻と化している。


囚人の斧の波状攻撃。そのエネルギーを、

アリシャは利用して、風の魔法を使い、この竜巻を創った。


(ゴオオ)

そして、囚人全てを飲み込んだ。

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