ＦＬＯWARS （フラウォーズ）

21 接近のプリズナー

「・・・」

　じりじりと、警戒しながら、距離を詰めて来る囚人たち。

その数は約50人。徐々に増えてきている。

茶色い服を着ている。血が混じって茶色に見えていた。

「命は貰ったあ！」

飛び掛かる囚人たち。

アリシャの、魔法の風のバリアへと、

なりふり構わず襲い掛かる囚人たち。

　この執念には理由がある。

カムイを殺せば国の半分がもらえるという、

ポルゾイとの契約になっていた。

　囚人は、殺人者、異常者、など。

ポルゾイが、刑務所生活していた時の、金で繋がる仲間。

「死ねええ！！」

欲望のまま襲い掛かる。

（ギィン！ギィン！）

と囚人の斧を弾く、風のバリア。

「よし！」

カムイは目の前で弾かれる斧に緊迫しながら、言う。

（ギィン！）

更に、囚人はなりふり構わず襲う。

いつの間にか、100人以上になっている。

弾かれては立ち上がり、弾かれては立つ。

この執念を、カムイは恐れた。

・・そして、風のバリアが、

「弱まってる？・・！」

カムイは気付く。

執念で、連続攻撃を風のバリアに喰らわせる、囚人たち。

カムイを殺し、国の半分を手に入れるため。

「オオ！」

数もどんどん集まり、斬撃を繰り返す。

その度に、風のバリアが薄まっていく。

「こ・・これは」

カムイがアリシャを見る。

左掌が、上を向いていたのに、

今、下を向いている。

「アリシャ！？」

心配そうに言うカムイ。

（ギィン！！）

目に見えて、薄くなる風のバリア。

「？！」

剣を抜いて構えるカムイ。

明らかに、戦況は押されている感じがする。

囚人は200人を超え、際限なく斬りかかる。

まるでチェ―ンソーのように、風のバリアを削り、薄くしていく。

目の前まで迫る斧。

囚人たちは殺しのプロで、一撃が致命的。

「！？」

そして、風のバリアが外れた。