浸入

 ズシーーーーン!!


 大きな空気の震えで門が破壊された事を知る。


「次から次へと、よくこんなに用意したもんだね」


 私は新種の魔物を切り捨てながら2人に話しかける。


「本当だよな、よしそろそろお前ら行けよ」


 舞の言葉に未だ納得してない顔のミカだが進むことを渋々承知した感じで答える。


「うん、もう少し引き付けたら行く」


 私達3人は魔物を倒しながら東側の塀に近づくが魔物の大群に阻まれる。

 新種と旧型の魔物が入り乱れて沸いてくる。

 これ元人間って聞いたから人間界では行方不明者が大量にいるんだろうなとか考えてしまう。


「葵、ミカを連れて先に行け。ここにいても切りがない早く行け」


 舞の鋭い声が響く。

 私はミカの手を取り塀に向かう。ミカは何か言おうとしたけど言葉を飲み込み塀に向かって走り出す。

 私は塀蹴り駆け上がり、ミカは飛んで上がる。

 塀の上には天使兵達がいたが無視して塀の内側に飛び降りる。

 降りた先には天使兵が待ち構えていた。


 イグニスをサッカーボールの大きさにして蹴る。地面に当たる瞬間に爆発を起こし皆、消し炭になる。

 上にいた天使兵が降りてくるが、先程の爆破で舞っている火の粉を回転させ火を流し込む。

 縦に回る火の渦を作り飛んでいる兵を蒸発させる。


「内側に魔物は配置されてないのかな? 見当たらないけど……ってどうしたのミカ?」


 ミカが目を丸くして見ていたので話を止めて聞いてしまう。


「いや、私が教えていた時の葵はもういないんだなあって思ったんだ」

「そう? あの頃と変わってないと思うけど、それよりこれなら舞を内側に呼んだ方が良いかも──」



「相変わらず、灰の魔女様は無慈悲で残酷だな」


 聞き覚えのある声で私の言葉が遮られる。


「アイネ……さん」


 左目に眼帯をし右手に手袋をしている。それらを投げ捨てると左目に赤い光を宿す。それに合わせるかのように右手も赤く光始める。


「なかなか良いだろう? 苦労して手に入れた力だ、全力で行かせてもらうよ」


「ミカ! 先に行って、この人は私が相手する」

「でも、1人よりも──」

「私が相手しないと意味ないから! ミカは先に行ってアリエルを倒す」


 ミカの言葉を遮る。


「あぁもう! 分かった先に行って倒しておくから!」


 不満たらたら飛んでいくミカ


「ミカを止めないんですね?」

「ああ、私は君がいれば良い」

「その顔で、そのセリフ言われるとドキドキしますね」

「バカにするか」


 振られる剣をイグニスの剣をで受け止めアイネとの戦いが始まる。


 ***


 外に残った舞は魔物を斬りながら魔物の発生源を探していた。


「にしてもこいつら、葵をすぐ追いかけて行くかと思ったけど、意外にあたしにも向かってくるな」


 発生源を求め走りながら考える。


「もしかしてあたしも対象なのか?

 研究とか実験とか言ってたから、そういう意味では葵もミカも、あたしも結構珍しい部類だろうからな」


 何か納得した感じで敵を斬り刻む。


「1500年以上も生きる魔物なんて珍しいからな、ようやくあたしの魅力に気付いたか♪ モテ期到来だな! ここまで長かったなぁ、よぉし来い!」


 そう言いながら力強く鎌を振り回し屍の山を築いていく。

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