魔女会議
私は今、4人の先輩魔女に囲まれています。
夜の発表の前に魔女だけで自己紹介を兼ねて話がしたいそうです。
そして私は早く帰りたい……
「さて、葵の為にわらわから紹介してやるのじゃ──」
雷の魔女……『メイ』 アニママスは『
金色の髪に狐の耳と尻尾、そして年より臭い言葉を使う。もはや狙ってるとしかいえないキャラっぽい。
一度戦ったけどめちゃくちゃ強かった。あれで全然本気だしてないって言うから嫌になる。
立場的に魔女達のまとめ役っぽい。
「次は私か──」
そう言って話し始めるのはアイレさん。
風の魔女……『アイレ』 アニママス『ブリッサ』
緑の長い髪を後ろで三つ編みにしている。自由奔放であちこち旅をしているらしい。さばさばした感じでリエンさんとは違った落ち着いた雰囲気を持ってる。
メイさんのサポート的役の人っぽい。
「ふふ、それじゃあ、わたしね──」
水の魔女……『リエン』 アニママス『
腰まである艶やかな青い髪に優しい笑顔が特徴。天使の門で助けてもらってから修行をしてもらった、言うなれば師匠だ。
柔らかい物腰に大人な女性、特に体が羨ましい……もう届かない夢だけど。
「次、ノームですねぇ──」
土の魔女……『ノーム』 アニママス『
茶髪のショートボブ。それでなんでだろう、黄色のギンガムチェックの服を着てアイドルの様な格好をしている。なぜ?
一番若い? のかな。
私にからんでくるが嫌な感じじゃなくて何て言うか気を引くのに必死みたいな? これは私の自意識過剰かな?
「えっと私は、灰の魔女です。日向 葵です。それでこっちが『イグニス』です」
4人に見られてガチガチの挨拶をする。
「ふーーん、ミーテの後釜ねえ。髪の毛黒いけど発現してたんだろ?」
アイレさんがペタペタ触って話かけてくる。舞と気が合うみたいだけどなんか2人とも似てる気がする。このボディータッチの多さとか。
イグニスの発現が出来ることを伝えるとお披露目するはめになった。
「なるほどねえ、これは『火』だけどなにか違うなあ。うーーんやっぱ『灰』で良いのかもね。メイとリエンはそれで良いんだろ?」
アイレさんに言われ、メイさんとリエンさんは頷く。
ノームさんが勢いよく手を挙げて発言する。
「ノームはなんでも良いですぅ! それより後輩! 森で面白いことしてるみたいですねぇ。さっき美味い飲み物があったですぅ! 寄越すですぅ! あいたっ!」
ノームさんがリエンさんに頭を
「ノームちゃん? それは後輩に対する接し方じゃないわよ」
優しく笑ってるけど凄まじい殺気を放つ。ノームさんはたじろぐ。
「さて、自己紹介も終わった訳じゃが、まず葵、お主を『魔女』として認めるのじゃ。強さ的には見習いどもを超えておるからの」
まだまだじゃがのと言いたそうな顔をしているけど一応認めてくれたらしい。と言うか私勝手に「灰の魔女だ!」とか言ってたけど順序みたいなのがあったんだね。
「それと二つ名、なんとかの魔女ってやつじゃが好きにせい。『火』を名乗りたいなら、あやつ……あのなよなよしたなんだ? よく泣く……」
「コッピオだ」
アイレさんが助け舟を出す。
「そう! そやつと話すのじゃ。あやつが1番火の中では強いはずじゃ。なよなよしとるがの」
「あぁ、あれがなければ『火』を名乗れるだろうにな」
誰かは知らないけど「なよなよ」を強調されると気になる。
私は『火』にこだわりはないのでそのまま『灰』で良いとお願いした。
メイさんがなにか話そうとしたが、リエンさんが遮り話始める。
「これはわたしから話した方が良いわ。葵ちゃん貴女の魂に混ざった火の魔女、ミーテはわたしの妹よ」
正直驚いたが、一緒に生活しててミーテさんの話をするリエンさんからどこか悲しそうな感じを受けていたので納得出来た。
「ミーテは天使の一部が、より強い力を得るために、実験を行い天使に魔女の魂を取り込める事を発見したようだと私達に訴えてきたわ。
わたしは森の浄化もあって動けないのもあったし、天使ごとき、いざとなればどうとでも出来る自信があった……いえ
だから話を聞かなかった。そして……葵ちゃんの元へミーテの魂が行ったから結果は分かるわね」
場が静まるのを嫌ってか間髪入れずにメイさんが話し始める。
「リエンが悪い訳ではない、わらわもミーテをあしらったし、些細なことと
「私なんてフラフラして違う大陸に渡っていて話しすら聞いてないからな。話しにもならないだろう」
結局すぐに場が静まる。私がなにか言わなきゃ……でも何を言おう。頭の中でぐるぐる言葉が回る。
「そうですぅ! 先輩達が悪いですぅ。まだ魔女見習いだったころからノームにも優しくしてくれたミーテ先輩。ノームには何も話してくれずに行ってしまったんですよぉ!
先輩達怖いんですよぉ! ノームも怖くて話しづらいですもん!」
そこまで言ってノームさんが立ち上がる。
「メイ先輩! いつも怒ってるですぅ! カルシウム取れですぅ!」
「アイレ先輩! いつもは素っ気ない感じなのに変なとこで絡んでくるですぅ! バシバシ叩くの痛いんですよぉ! 風読む前に空気読みやがれですぅ!」
「リエン先輩! ニコニコしてるのに殺気漏れてるんですよぉ、怖いんですよぉ! 紅茶嫌いなのにゴボゴボ飲ませるなですぅ!」
そこまで言うと満足したようにドカッと座ると目をつぶり鼻息荒く最後の一言を言う。
「反省しやがれですぅ」
3人の魔女が立つ。
あぁ、静寂は消え去った。寧ろ騒がしい。
目の前で繰り広げられているノームさんへの攻撃を私は眺める事しか出来ない。
でもこれはノームさんなりの気遣いなんだろうな。
一通りノームさんを攻め満足したのか話が戻る。
メイさんが着物の着付けを整えると咳払いをする。
「よいか、わらわ達にも今回の件は責任がある。森を守るのが目的である以上、後方支援にはなるがこの作戦に参加する。
そして葵、お主がこの作戦のカギであり、この戦いが終わった後の象徴になるべきじゃ。
今だけを考えてはならん、必ず人々の道しるべは必要じゃ。
葵なら、天使、魔物、魔女を繋げれるはずじゃ。
既に道は作っておるようじゃがの」
そう言われリエンさんに背中を押される。
「ふふ、まずは『灰の魔女』の森の支配者宣言をしないといけないわね。ちゃんと見てるから頑張ってね」
アイレさんから「いってこいよ」って頭を軽く叩かれる。
ちらっとノームさんと目が合う。「ほら、これですよぉ」って目が訴えてくるから「ですね!」と訴えてみたらウインクされたから通じたみたいだ。
4人の魔女に背中を押され、灰の魔女として最初の仕事へ向かう。
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