ミカの過去から葵の決意
「なんか最近、国の治安悪くない?」
「女王様の政策、対話できる魔物にはまず対話を試みるってのが悪いんじゃないかしら?」
「失策だよね」
「失策ね」
***
「最近軍団長になったアリエル様、格好良くない? それに副団長のトリス様、優しそう。慈愛に満ちてらっしゃる」
「アリエル様が魔物より私たち天使をまず守るべきだ! だって女王様に直訴したらしいわ」
「そうよ、そうよ、なんで魔物とお話をしなきゃいけないのよ」
「アリエル様の方が正しいわ」
「アリエル様が女王様になれば良いのよ!」
そうだ! そうだ! そうだ!……
* * *
「アオイ様、お逃げください!」
「お母様は? お母様のところへ連れて行って!」
「お母様は……今はアオイ様です。ここを無事に出て、お母様に会いましょう」
「でも……」
「!?」
「アオイ様、ひとまずここへ隠れてください」
「えっ!?」
「あら~、貴女は確かお嬢様の付き人レイチェルちゃんだったかしら~」
「トリス副団長、これはなんなんです! 説明してください!」
「説明? 見たままよ~。いちいち全部説明しないと理解出来ないのかしら? レイチェルちゃんってもしかして、おばかさ~~んなの~?」
「リング!」
「『斬殺ちゃん』と『殺ぎ落としちゃん』」
「ガッあーーー、ぐがぁぁ、あっつ」
「痛い? 痛い? ねぇ痛いでしょ! いい いいわ その表情が斬殺ちゃんの全てを表してる! 最高よ!!」
………………
静かになった?…………何があったの? レイチェル?
「レ、レイチェル?」
「ん? これは? 天使の輪? 真っ赤?…………」
「アオイお嬢さま~、み~つけた~~!!」
!!??
痛い? わかんない……あれ?
目が開かない…………目?
手は?
立たないと…………足無いのに?
首は……ある…………
「トリス。お嬢様は捕まえろと言っただろ」
「え~、だって可愛かったんですもん。刻みたくもなるでしょ」
「王族のトップは全員殺すか公開処刑だ。こう言う小さな子はとりあえず捕まえる。」
「そうすることで、腐敗した政権だが、小さな子供には罪はないから許すという心の広さを民へ見せる事も出来る」
「へぇ~政治って難しいのね~」
「この子どうしたらいいかしら~、引っ付けちゃう?」
「まあ良い、アオイお嬢様はこの混乱で行方不明だ」
「さっすが~、政治上手!」
* * *
「なんでも良い! 助けてやってくれよ!あんた凄いんだろ!」
「こいつ良いやつなんだ! あたしに家から持ってきたパンとかお菓子とかくれたんだ!」
「ちょっとさ、うざいけど……いいやつ……なんだよ……うっ、あたしの友達 1ごう…………」
「ねぇ? あなた、あなたはどうしたいかしら?」
「生きたい?」
だれー? わたしね、死んじゃうのよー?
優しい手。暖かい。ポカポカする。お日さまみたい。
手を伸ばしたい……立ちたい…………
生きたいよ…………死にたくないよ…………いやだよ…………
「貴女の魂は消えかけている。このお城の魂を使うわ」
「
「混ぜて1つの魂にして、この子に入れるわ」
「ゆっくり入れて、この子の魂が壊れないようにそーと」
「体はしばらくしたらくっつくわ。沢山魂があって良かった……のかしらね……」
「この子は今から辛い人生を生きることになるかもしれない……いえ案外そうじゃ無いかもしれないわね」
「いつか元気な姿を見せて。
私のことは分からないだろうけど、私は分かるから」
「おい起きろ!目開けれるか?」
「おい!」
「だっ、だれー?」
「あたしだ! あーーと、マッ、マイだ! お前の友達1号だ!」
「マイ? 1号?」
「あぁ、アオイ? 手動かせる? あ、いやまだ動かしちゃだめだ。じっとしてろ」
「マイ? 遊びにきたの?」
「あ、いや、ってなんだ! その髪と目の色!」
「色?」
「あーーと、ちょっと待ってろ、あったガラスだが確認出来るだろ」
「髪が銀いろ? 目が赤?」
「まあ、いいとりあえず出るぞ! 背中にのれ、いくぞ!」
「行くってどこ?」
「知るか! ここじゃないどっかだ!」
「マイと行く、冒険行く!」
「あぁ冒険さ! めちゃくちゃ楽しいやつだ! めちゃくちゃ楽しいんだからな!
家には帰らないぞ! 皆にも内緒だ! 途中で帰りたいとか無しだ!
あたしといくぞ!
隊長あたしだからな! 命令は絶対だからな!」
「おーー! マイ隊長行こう!」
「くっ、走るぞ! 捕まれるか? 痛かったら言えよ。なにせマイ隊長は優しいからな!」
「たよりにしてるよ、優しいマイ隊長!」
………………
…………
………
……
…
「で、そのあとマイと森をさ迷って私は今の名字テレーゼ様に拾われそこの子供ミカ テレーゼ として生きていくことになったんだ」
「ちなみにテレーゼ様、国の司法のトップなんだ! 私が司団長になれたのもその人のおかげ。コネってやつ」
「あとさー、森に入ったときなんだけど、優しいマイ隊長って嘘でさ! 酷いんだ! 道は迷うし、何回崖から落ちたことか。
そうそう、本当は知らない癖にこれは食べれるぞ! とか言ってさ、変な肉食べさせられて死にかけるし最悪だった…………でも楽しかったなあ」
「?」
「泣いてる……の? アオイ?」
「違う! 葵!」
「ごめん、なんか自分の名前みたいに呼んでしまうんだ」
「うんうん、いいの、私もごめん…………うっ」
うっ、うううわーーーーん
「ミカがアオイで、アオイがしんじゃってーー」
「いや死んでない、いるいる、ここいる!」
「うん、良かった……」
「ミカを助けたのは火の魔女?」
「多分としか言えない。マイは知ってるんだろうけど詳しくは話してくれないんだ。ただ、約束があるって」
「ねぇ、なんで火の魔女は魂になってたの?死んだってこと?」
「分からない、多分アリエル達が知っているはず」
夜風に涙を乾かしてもらいながら私はミカに聞く。
「ミカはどうしたいの?」
「どうしたいって?」
「復讐とかさ」
「正直その気持ちもあるのかな? 何年経っても消えないものだけど、今を失うのも怖いし正直分からないよ」
「私ね、決めたんだ」
「何を?」
「灰の魔女になる」
「?」
「前のは『日向 葵で灰の魔女』今の宣言は『灰の魔女 葵』私はもう人ではないよ、魔女だよ! そして天使の住む場所へ行く。ミカのこと、火の魔女のこと、光の魔女のこと全部知りたい!」
「知ってどうするの?」
「知ってから考えるよ」
「行き当たりばったりだね」
「いつものことですよ、ミカさん」
「だね、葵さん」
月明かりに照らされ2人は笑う。
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