必殺技名を叫ぶこと

 今、私のマンションの一室で今後を左右する重要な会議が行われている。


「にしても葵強くなったよな。イグニスだっけ? 魔女ってその場で臨機応変に対応出来るから便利だよな」


 舞に誉められて私もイグニスも嬉しい!

 イグニスは私の周りをいつもよりふよふよして喜びを表現してる。


「イグニスを見せられたときは魔女の魂の侵食が進むんじゃないかって心配したけど大丈夫そうだね。結果的に訓練して良かった舞の言う通りだね」


 胸を撫で下ろすミカ。


「あたしの言った通りだろ」


 自慢気に笑う舞。


「そうそう、舞の戦いかた初めて見たけど凄かったー、こうグパーってビシャーって」


 手を広げて表現してみる。


「ん? ガパーって感じでやってるつもりだけどな」

「君たちは何の話してるの……」


 呆れるミカ。


「そう言えばさ、葵なんか叫んだじゃん。えっと……爆なんとかとか」


 舞が爆発を表現したように両手を広げる。


「ああ、爆炎塵華ばくえんじんかね。あれは炎が爆発したあとの塵が花のように見えることから名付けた必殺技よ」


 イグニスに20回はダメ出しされたのは内緒だ。


「必殺技を声に出すことでこう力が入るの」

「へ~、カッコいいな、あたしもやろうかな」


 舞の目が輝く。


「そう言えばミカや舞も武器とか出すとき何か言ってるけどあれは?」

「あれ別に言わなくても出せるんだけどね」


 ミカが答えてくれる、


「イメージする事で魔方陣から取り出せるんだけど、口に出すことでイメージ明確に出来るんだ。盾を出そうとして剣が出てきても困るじゃん? マイも同じだよね?」

「だな、こう左手をワニにー」

「いや、やんなくて良いよ」


 私は慌てて止める。


「舞が最後に出した『骨の檻』だっけ? あれ必殺技名としていい感じじゃない? あともう一歩って感じ」

「おぉそうか! あれさ『あばらーー』とかでも良いんだけどなんか骨が檻ぽいからそう呼んでるんだけどな」


 そう言って嬉しそうに頷く舞。


「ミカはなんかない? 必殺技みたいなの?」

「いや、私は普通に剣振ったりしてるだけだから特に必殺! って呼べるのないと思うよ。」

「んーーあれ! 輪っか出してビーム出したじゃん! あれにしよう!」


 私の提案にミカがあからさまに嫌そうな顔をする。


「じゃあ、天使ビームね」

「やだ!」

「エンジェルビーム?」

「変わってないし!」

「んーーミカリュウム光線?」

「アオイ、ネーミングセンスないだろ!!」

「!?」


 ミカも私の古傷をえぐるのか……

(ご主人さま、認めてください)


 ここでイグニスが突っ込んでくる。

 世知辛いなーー。


「よし! 今日はみんなで必殺技名決めよう! 今日の女子会のお題は必殺技ね!」

「任せろ!」

「えーーーー」


 2人に私なりのアドバイスをする


「いい? 例えば……」

「閃光パンチ! これを英語にするとシャイニングパンチ! こんな感じで英語や他の国の言葉にするだけでカッコいい感じになります。お手軽なやり方ですね」

「おぉ! じゃあさ、あたしの狼の牙はウルフファングとか?」

「良いですよ、舞さん!」

「更に高度な方法として2つの国の言葉を混ぜると言うのがあります。

 今の ウルフファング! のウルフをルプスとするだけでルプスファング! となりまた違うかっこよさが出てきます」

「おぉ! すげー葵先生! 鎌はサイズとかにしたら強くなった気がするのも必殺技効果ですか?」

「そうです! 良い! 舞さん筋が良いですよ!」

「まあ、私ほどになると舞い散る火の粉を華に例えて塵の華、塵華じんかとか思い付くようになるから、舞さんも頑張りなさい!」


(えーーご主人さま、火爆弾ひのばくだんとか言ってましたよ)


 なんか聞こえた気がするが無視する。


「葵先生! あたしとりあえず全部英語にしてみる、そこから始めてみるよ!」

「お前達、楽しそうだな……」

「ミカも考える!」


 こうして、天使と魔物と魔女の夜が更けていく。

 ちなみにミカの技名は


「ルーチェグリット」に私が決めた。


 検索をフル活用してイタリア語とか繋げて作り出した、オリジナルだ!

 直訳したら「光閃光ひかりせんこう」になる。


 日本語だと正直微妙だが

 外国語にするとやっぱりカッコ良くなるよね!

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