裏切り者

 向き合う4人。互いが出方をみるために動かない。


 そんな状況を崩したのは空から降りてきたミカだった。羽を広げて降りてきたミカがニサを見て話しかける。


「ニサ、うすうす感じてたけど来てたんだね」

「お久しぶりですわ、ミカ様」


 ミカに対し華麗に挨拶するニサ。


「なぜアオイにちょっかいを出すんだ。火の魔女に関しては監視する事で決まってたはずだけど」


 苛立つ表情のミカに対しサキが鋭い視線を向ける。


「申し訳ありません、前も言いましたが、こちらの事は話せません。

 それよりもミカ様、この状況を説明してもらえますか? なぜ魔物と一緒にいるのです?

 しかも魔女も覚醒し始めている。そのような報告受けていませんが」

「……」

「答えられませんか? このことは報告させていただきます。退くぞ、ニサ」


 そう言うと忍者みたいに煙幕をはり2人は消えてしまった。


 消えた後を見つめるミカ、ちょと遠い目をしている。


「ミカ? 大丈夫? 今のってミカが天使を裏切ったみたいな展開だよね?」

「うん、まあそうなるかな」

「ごめん、私のせいで」

「遅かれ早かれこうなってたし、問題ないよ」


 優しく笑うミカ。


「でも今、遠い目してたよ。やっぱり……」

「あぁ……あれね、今日お金貰ったんだけど、サキが報告するのが貰った後で良かったなぁて思ってたんだ。次はもう貰えないだろうし」


 へへって笑うミカ。心配して損したか?


「ところで大丈夫? 2人とも?」

「うん」「おぉ」


 2人で声を合わせるが舞は最後に見せた「骨の檻?」で血が吹き出した為に全身血まみれだし、服ボロボロだし全然大丈夫そうに見えない。


「あの、舞? それって痛くないの?」

「ん? ちょっとチクってするけど大丈夫だぜ」

「へーー」


 私は自分に混ざったのが魔女の魂で良かったってこのとき本気で思ってしまった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る