ニサ ニーベルング
「なあ、これってさ。完全にはめられたよな?」
「見事にはまってしまったね……」
ミカと舞は結界の中でぼやく。
2人はそれぞれ別の場所で舞は帰りに見たこともない魔物と交戦し、ミカはサキと交戦、お互い逃げる相手を追いかけるうちに2人は出会い今結界の中にいる。魔物は5体。
「倒せない事はないけどめんどくさいな」
「文句言わない、やるよ!」
戦いは始まる。
* * *
月一のカウンセリングの帰り道、その子は立っていた。
「ごきげんよう、灰の魔女さん」
ニサが挨拶をしてくる。
「灰の魔女?」
「えぇ、この度わたくし達天使の方で、貴女の呼び名を正式に決めましたの。それが『灰の魔女』火の魔女の残り、いわゆる灰と言う意味ですわ」
「結構バカにされてる気がするね、それ……」
「ですわ」
今日のニサは前回の格好とは違い緑色のチェック柄をベースにした服にシルバーの鎧を身にまとい、お姫様騎士みたいな姿をしている。恐らく本気だ。
「では、参りますわ」
『スプレンディト』『ウイング』
「イグニス」
私はオイルライターに火をつけイグニスを呼び出す。
もの凄い速さで槍を突いてくる。全部は避けれないので、そこはイグニスに任せながら避けていく。
ここ最近の訓練でイグニスは私の命令に絶対だが、ある程度イグニス自身が判断して動ける事が分かった。
今まさに、ニサの槍から私が避けれそうにない攻撃をイグニスが判断して受けてくれている。
数ヶ月前よりスピードも力も上がった私とイグニス。イグニスの大きさは今、サッカーボール位。ここから私の力を取り込んで3倍程度まで大きくなれる。
「はっ!」
気合いを入れて槍を投てきしてくる。
「イグニス、盾」
それを受け止めるがおそらく牽制。
『ウンディ ピオッジャ』
次の槍から針のような雨を降らしてくる。
「イグニス、3つ、盾、盾、爆」
3つに別れたイグニスのうち2つが盾になり1つはそのままスプレディトを受けてもう1つは私の正面に構える。もう1つは小爆発を起こす。
ドーーーーーーン!
小さな爆発だが針の雨を吹き飛ばす。
『セレネ』
その爆風の間から水の刃が飛んでくるが1つの盾で受ける。
「イグニス、剣2つ」
盾2つを手元に戻し、剣の形を作り私の手に握られる。
再び槍が投てきされ『ピオッジャ』ニサが叫ぶと地面に刺さったウンディから下から上に向けて飛ぶ針の雨が飛んでくる。
その雨を後ろに跳ねて避けながら剣を1つニサに投げる。
「イグニス、跳ねる」
投げた剣をあっさり避けるニサ。避けられ本来なら地面に刺さるはずの剣はボール状になり地面に当たると跳ねてニサに襲いかかる。
「な!?」
『モルビド!』
槍をもう一本出しその槍でイグニスをフルスイングで弾く。
ニサは私と距離を取って、一旦地面に着地して睨んでくる。
「前より強くなってますわ。ならこちらも本気を出さないと失礼ですわね」
『リング』
ニサは両手を頭にかざすと頭の上に魔方陣が現れ、続いて天使の輪が現れる。
その天使の輪を左手で摘まむように取ると右手に通す。天使の輪はニサの右手首に合わせて縮みブレスレットのようになる。
「では改めて、いきますわ!」
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