黒田 舞先輩
「ヒィーーいやいや、ぷっ、久々にこんな、笑わせてもらったよ」
右手をパタパタさせて笑う黒田先輩。
黒田 舞先輩
私の1つ上の3年生だ。ミカと時々話してるし私も何度か話した事がある。
スポーツ万能で、出来ないスポーツは無い! と言われる人だ。
でもどこの部活にも所属してなくて気が向いたところへ助っ人をしてるらしい。
舞先輩は確かに運動神経抜群だろうけどあの牛おとこをどうにか出来るだろうか?
「あの~牛おとこは?」
私は訪ねる。
「牛おとこ? あの変な奴のこと? あれなら倒したよ」
「えっ、どうやってです?」
「えーと首スパーーンて」
舞先輩が右手首を横に振って切断を表現してるっぽい動きをする。
「え、先輩も剣とか出すんですか?」
「ん、いやちょっと待て」
私の顔の前に右手を広げ話を遮る。
「敬語、止めような」
「いやでも……」
「だってミカには普通に話してるだろ、あたしとミカそんなに歳変わらないぞ」
「いや、年齢のことは言うな!」
慌てふためくミカ。
「年齢何て今さらどうでも良いだろ。100年も200年も大して変わらないじゃん」
「いやいや、結構気になるし!40年と50年じゃ結構違うし!」
私の前で年齢の話にしては途方もない数字が飛び交ってる。
「えーと舞先輩は……」
「舞で良いよ」
ミカをヘッドロックしたまま舞先輩は答える。
「じゃあ、舞はどうやってあれを倒したの?」
若干ぎこちなく聞く。
「鎌で切った、ミカとは違った方法でな。えーとな、例えば左手なら……」
「いやいや! 待って、待って! あれはアオイには刺激が強いかも知れない、また落ち着いてからにしようよ」
慌てて止めに入るミカ。
「ん~そうか? まあ普通の人にはそうなのかな? て、ことで葵、また今度見せるよ」
「あーーはい、楽しみにしてる」
ちょっと見たかったなぁとか思いながらここは諦める。
「遅くなったけど助けてくれてありがとう、舞」
本当に遅くなってしまったお礼を言う私に
爽やかに舞が答えてくれる。
「ああ! どういたしまして」
* * *
「アオイお昼食べる?」
「さっぱり系とガッツリ系どっちが良い?」
ミカに進められた私は迷わずガッツリ系を選ぶ。
「あーそう言えば学校は? 今、何日?」
「それなら安心してくれ、私が電話したよ。日頃片言で話しているから普通にしゃべったら私ってばれなかった」
満面の笑みで答えるミカ。
「だから安心して今日は休みなよ」
「ありがとう」
そう言ってコンビニの牛丼を食べる。牛おとこへの憎しみを込めてよく噛んで。
コンビニ弁当久々に食べたけど結構美味しいなぁ。企業努力万歳。
そう言えばミカ、学校に電話したって言ってたけど嘘ついたことだよね。
いや助かったんだけど、天使が嘘ついて学校休むってなんか腑に落ちない……。
でも牛丼は美味しい。
モグモグ。
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