魔女へ向けて

「で、これからどうするよ?」


 牛丼を食べ終えた私を見て舞がミカに聞く。


「まずは傷を治す。そのあとに訓練再開しようかと思ってるけど?」


 そう答えるミカに対し舞はハッキリと答える。


「魔女の力を強くした方が良くないか?」

「なっ、力を強くしたことで魔女の魂が強くなりアオイの魂が無くなる恐れがあるかもしれない!」


 ミカが激しく反論する。


「それは分かるけど、結局今回怪我をしたのは葵自身に戦う力がなかった結果じゃないのか?

 今回はあたしが間に合ったけど、次はミカみたいに妨害受ける可能性もあるんだぞ」

「うん、そうだけど……でももう少し鍛えてからでも……」

「いや遅いな、次は天使が来る可能性もあるだろ。そうなったら瞬殺かもしれないだろ」

「あぁ……うん分かった。魔女に関しては私よりマイの方が近いから私と一緒にアオイを鍛えよう!」


「それで、私の今後は決まったでしょうか?」


 ヒートアップする2人に恐る恐る訪ねる。


「あっごめん。アオイ、今度どれ位火が動かせるか見せてよ。それで今後を考える」

「見せるだけなら今からでも良いよ。ライターとかある?」

「ほい、これで良い?」


 舞が渡してくれる。

 ライターに火をつけると


「火よ丸くなって」


 ライターの火は一瞬大きくなりテニスボール程度の大きさになる。

 ん? なんかスピードが上がってる気がする。


「へぇ、剣に宿った火を使うことはあっても武器の補助あってこそだしね。直接使えるとは本当に火の魔女かな」


 ミカが興味深そうに見てくる。


「で、他は何か出来る?」

「この火の玉を掴んで投げる!」

「あっ、今止めてねあたしの部屋燃えるから」


 真顔で舞が止めに入る。


「でも火そのものが出せないんだよね。ライターとか火元がないと使えないんだ」

「え~と確か魔女って体に寄生させてる魔物を使って戦うとかだった気がするんだよね」


 ミカが腕を組んでさらりと怖いことを言う。


「きっ、寄生!?」


 なんか想像した!! こう、うねうねってした奴やエイリアンみたいな奴を!?


「なにそれ、うねうねを出して戦うの私」


 私は想像……いや出来ない!! モザイク必須な状態になってまで戦いたくない。


「よし、私は完璧に逃げれるように頑張るよ!」


 強く決意する私。


「うねうねってなによ? アオイは火の魔女だから多分だけどこう火っぽい奴」

「火っぽい奴……」


 おぉ、私の横に人魂みたいなものがふよふよする姿を思い浮かべる。さっきより格段に良い!


「よし! 魔女になろう!」

「葵は忙しい奴だな」


 舞いが楽しそうに笑いながらアドバイスしてくれる。


「見た感じ寄生物が起きてないか、意思の疎通が出来てないんじゃないか。

 そう言う場合はひたすら呼び掛けるしかないな」

「呼び掛ける?」

「そっ、葵の場合そうやって火の玉を出した状態で呼び掛ければ早いかもな」

「へーそれなら座ったままでも出来るし頑張れそう」

「一応怪我してるんだから無理はしないでよ。後、なんかこうほら、魂が侵食されるよ言うか、自分じゃ無くなる感じとかしたらすぐ教えてよ」


 心配そうに私の手を握るミカ。


「うん、ありがとう。何かあればすぐ教えるよ」

「よし、とりあえず今は寝ようぜ、早く怪我直さないとな。後は明日考えよう」

「だね、今は休もうアオイ」

「うん、おやすみ」


 それからちょっと雑談したけど疲れていたのか私はすぐ眠りについていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る