満身創痍

「どうだ、傷ふさがったか?」

「うん、血は止まったよ。やっぱ傷の治り早い。私の力もそんなに使わなくても自然治癒出来そうだよ」

「中がそんなに傷ついてなくて良かったな」


 ……遠くで声が聞こえる……


「はあ~治癒難しいわ~こんなことならもっと練習しとくんだった~」

「使えるだけでも凄いんだろ、一命とりとめたのもその能力あってこそだろ」

「う~ん、そうかもしれないけどもっと上手に出来たら傷跡も残りにくくなるんだよ。やっぱり傷跡は残らない方が良いと思うんだよね」

「おまえ、本当に優しいな。もしかして天使なんじゃね?」

「いや、天使だし!」

「よし、今度あのゴスロリ天使に治癒の仕方習おう」

「なんだそれ? まあ、ちょと休めよ。お昼近いしなんか買ってくる、何食べたい?」

「えーとね」


 ……声が聞こえる……誰かいる……


 も……もう……ちょっ……と

 ごしゅ……あ………る……


 何か聞こえる?体が暖かい。

 そろそろ起きたい……

 意識がゆっくりと1つになるような感覚。

 目の前が少しずつ明るくなる。


「おい、目が覚めたみたいだぞ」

「本当!? アオイ?」


 ぼーーとする、目の前が明るくなり私を2人の影が覗きこんでいるのが分かる。


「ミカ? と……」


 記憶を呼び覚まそうと頭をフル回転させる


「黒田先輩?」

「そう、先輩だ!」


 そこでハッとする

 あれ? ここどこ? 牛おとこは??

 慌てて体を起こす!


「!!!!?」


「いっ、いたーーーーーーー!!」


 体全身に走る激痛!!


「いきなり腹筋運動するやつがあるかよ」


 黒田先輩があきれたように言う。


「あぁアオイ良かった。ほら、まだ寝てて傷が開くよ」


 涙目のミカが私をゆっくりと横にしてくれる。


「ここは?」

「ここはマイの部屋。マイが助けてくれてここまで運んでくれたんだ」

「マイ? あぁ黒田先輩……? 助けてくれたって先輩も天使?」

「ん? あたし? いや天使じゃないぞ」

「それより、悪かったな。急いで駆けつけたんだが結果、怪我させてしまって」


 黒田先輩は頭を下げてくる。


「マイがいなければ死んでたし20キロ離れた、隣町から走って来たこと考えればかなり早いよ。私なんて向かえてもないんだからさ。本当にごめんね、アオイ」


 深々と頭を下げるミカ。


「謝らないでよ、助かった訳だしミカとの訓練も役にたったよ。ありがとう」

「う……うん……」


 目にいっぱいの涙を溜めて私の手を握るミカ。


「そう言えばミカ」

「なに?」


 私の手をギュッと握るミカ。


「スカートの下にレギンス穿いた方が良いかな? 壁蹴って飛んだりしたとき見えてると思うんだよね」


「!?」


 固まるミカ


「なにそれ、面白しれーーーー」


 お腹抱えて笑う黒田先輩。


 いや本当に気になったんです。

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