初めてのお泊まり会
次の日も朝から避ける訓練と素振りを繰り返す。なんとなく昨日より動ける気がする。
コンビニで買ったサンドイッチを食べ軽く動いた後、早々に訓練切り上げると夜に向けて買い出しへ向かう。
「夜はハンバーグにしようと思うんだけど良い?」
「ハンバーグ作れるの? アオイ凄い!」
「焼くのが難しいけど作るのは割りと簡単だと思うよ。なんなら一緒に作る?」
「やる、やる!」
ミカは目を輝かせ激しく首を縦に振る。
さっきまで私に棒を振り回していた人と同一人物とは思えない。
そうこうしている内に目的地へたどり着く。
* * *
『イイモール』
色々なお店が集まり1つの店舗を作り上げている。とりあえずここへ来れば大体のものは揃うしブランドやファッションも最先端の物を手に入れやすいまさにイイところだ。
「ひとまず材料を買おう」
そう言ってカートにカゴを載せる。
「私が押す!」
ミカが勢いよく挙手するので任せることにする。材料を選んでる私の後ろを目をキラキラさせてカートを押しているミカ。
その容姿のせいもあって凄く目立つ。周りから「あの子可愛い」「ヤバい、天使みたい」とか聞こえてくる。
注目を浴びながら、なぜか自慢げな私は買い物を済ませていく。
なんとなくミカを見て気になったことがあるので聞いてみる。
「そう言えばお泊まり用の服とか持ってきた? 身軽だけど魔方陣に入れてるの?」
「うん、服とかなら魔方陣に収納してあるよ」
「へぇ~便利だね。私もそれ使えないかな?」
「魔女は使えるのかな? 普段どんな生活してるとか分からないしなあ。魔女を見たときは死を覚悟しろ! って言われてるぐらいだし」
「なんか聞けば聞くほど魔女が分からなくなるよ」
魔女の酷い言われように苦笑する私。
「そう言えばミカのパジャマってどんなの?」
「ん? パジャマ?」
「そう寝るときに着る服」
「ああ寝るとき、そのまま服で寝るか裸だね」
「えっ、そのまま? 裸?」
「床とか地面に寝るときは今着てる服とか制服で、ベットなら裸だよ」
「ミカ……今日はベットで寝る予定だけど裸になるの?」
「あーアオイの前だと恥ずかしいし、この服かな?」
私は決心した。
「ミカ、買い物もう何軒か行くよ」
「もう食材買ったけどまだ何かいるの?」
キョトンとするミカの手を取り私はモール内にパジャマ、ついでに下着を求めて走り回ることになる。
それから2時間以上、ミカに色々な服(もはやパジャマ関係なし)着せ1人で悶えることになる。
このときの私をミカは後に「悪魔みたいだった」と語る。
* * *
買い物を終えて私のマンションに着くと荷物を置いて、さっそく2人でハンバーグを作りに取りかかる。
「おぉ~肉を捏ねて丸めてるだけじゃあないんだねハンバーグって!」
「パン粉に引っ付ける役割があるとはなぁ」
感心したように必死でハンバーグの種を作るミカはとても楽しそうだ。
「パン粉でハンバーグの食感も変わるから凄いやつだよね」
「へぇ~へぇ~」
ますます感心して捏ねるミカ。
「ミカってさ、天使の師団長だよね。なんか偉そうな感じなのに私の監視とかに来たの?」
「こう下っ端の仕事ぽいじゃん監視とか」
「あぁそれねぇ~、天使って一応軍隊みたいな組織があるんだけど、500年位戦いも無くて戦争経験者が少なくなってるんだよね」
ミカがハンバーグを必死で捏ねながら答えてくれる。
「で、アオイに魔女が混ざってる可能性があってもし暴れたら対処するのに戦争経験者で暇な私が選ばれたわけ」
「師団長とか偉そうに言ってもやってること町の開発の予算決めたり、最近はどうやって綺麗に判子押そうかとかにこだわってた位だし」
いたずらっ子の様にニシシと笑うミカ。
「へぇ~ミカは少なくとも500歳以上と……」
「はぅ!? しまった」
ショックを受けるミカ。いくつになっても年齢は気になるものらしい。
* * *
「はぁ~美味しかった、ミカ初めて作ったんだよね。焼き加減も完璧だし才能バリバリだね」
お皿を洗いながら感想を言う。
「いやいや、アオイ師匠のお陰ですよ」
嬉しそうに照れるミカ。
「後はお風呂入って寝るだけだね、一緒に入る?」
不適な笑みを浮かべる私にミカは後退りする。
「いえ1人で入ります」
「ざんねーーん、じゃあミカ先に入っておいでよ、片付け終わらせておくから」
「うん、ありがとう」
「今日買ったミカのパジャマ姿早く見たいなぁ」
そのセリフにミカはビクッ! っと体を震わせる。
「なんかアオイ怖い……」
そう言いながらお風呂へ向かうミカ。
* * *
「はぁ~~! やっぱり可愛い!」
これは可愛すぎる。ミカのパジャマ姿!
ヤバい天使だ! いや天使なんだけど。
「よーーし! 一緒に写真撮ろ! ミカほらほら」
「なんか最近アオイ怖い……」
抵抗することも諦めなすがままに写真を撮られるミカは呟く。
「いやーー楽しかった、こんなに楽しかったの久し振りだよ」
「私も楽しいよ。お泊まり会って夜営とは違って楽しいね」
「いや、夜営って……」
つくづく天使が分からない。
撮影も終わり2人でベットに入る。
「私さ夜に目を瞑るの結構怖いんだ。バスの事故思い出しそうで嫌なんだよね。
でもねそんなとき私の体が暖かくなって、ちょっと安心して気が付いたら寝てるんだ」
話してるうちに眠くなってきた私はゆっくり目を閉じる。
「でも今日は楽しく寝れそう」
「アオイ……ゆっくり寝てね」
そう言って頭をポンポンしてくれるミカに安心し、朝の訓練の疲れもあったのかすぐに寝てしまった。
「おやすみ、アオイ」
葵が寝るのを最後まで見届けた後、ミカも眠りに入る。
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