ミカの謝罪
あの事件から3日たった。犬ゾンビに襲われたのは金曜日だったので土日を利用してゆっくり休み傷を癒す事が出来た。
そして今、月曜日の学校が終わって私とミカはコメドコーヒーに行きコーヒーとミルクセーキを飲んでいる。
「ミカ、そろそろ話してもらいましょうか」
私はテーブルに手を置いてグッと近寄る。
「いや、えぇとその~」
目が泳いでるミカに追い討ちをかけるべく私は更にグッと近づくと軽くテーブルを叩く。
思ったより強くなってしまったのか、テーブルの上のカップがピョンと跳ねて踊ってしまう。
「ミカ テレーゼさん私は怒っています!」
「本当にごめんなさい」
しょんぼりとミカは謝る。
その姿に逆に申し訳なくなった私が逆にあたふたしてしまう。ちょっとやり過ぎたかもしれない。
フォロー、フォローと心の中で盛大に焦っているとミカが小さな声で再び謝罪を口にする。
「本当にごめん。説明すると長くなるんだけど……」
そう言ってミカは自分が天使であること、仕事で私に近付いたこと。あの事件のとき助けに来たことなんかを必死に説明してくれた。
「……つまりミカは天使の師団長で私の魂に何かが混ざってる可能性を見極める為に近付き監視をしていた。あの時は結界とやらに阻まれて助けに来るのが遅れたと」
「いやまあ、近付いたのはそうなんだけど、騙すとかそう言うつもりはなかったんだ。
いや騙してるけど……。
だってアオイのことその仕事じゃなくて、気になるって言うか大事って言うか……」
シドロモドロでミカは必死に訴える。
「ふーーん」
ジーとミカを見ると、若干涙目になりうつ向く。
「信じられないだろうけど、本当に……えっと」
消えそうな声とまだ小さくなれるのかって位小さくなるミカに私はハッキリ聞こえるように伝える。
「信じるよ」
「だよね……って、え?」
「だから信じるよ。助けに来てくれたとき本気なのは伝わってたし、今も本気なのは分かるよ。嘘をついてた件は助けに来てくれた事でチャラ!
私的にはまだ感謝し足りないからこの間のクレープとカフェラテの代金を付けちゃう!」
「えっ!? いやだってここは騙した私を責めるところじゃん」
「なに、信じて欲しいの? 嫌なの?」
意地悪な笑顔でミカを見ると、ミカは恥ずかしそうにする。
「ありがとう……」
そう言って涙目ながらも少し明るさを取り戻したミカがゆっくり話始める。
「部下は沢山いるんだけど、友達は1人位しかいないしどう伝えて良いか分からなくて……本当にありがとう」
「お礼を言うのは私、助けてくれてありがとう」
話題を例の事件に変える。
「でさ、結局あの犬ゾンビってなんだったの?」
「犬ゾンビ? あぁあれ、魔物の類いだとは思うんだけど見たこともないし結局、分からないよ」
ミカは首を傾げる。
「じゃあさ、私の魂に混ざっているものって何?」
「おそらく『魔女』だと思う」
「魔女?」
私の脳裏に大きな三角帽子をかぶって怪しい液体を混ぜながらヒヒヒと笑うお婆さんが浮かぶ。それともねるねるか……
「多分今想像しているものは違うと思うよ」
ジーとミカに見られる。
「えーーじゃあどんなの?」
「めったに姿は見せないんだけど昔会った風の魔女は気さくな感じだったよ」
「想像つかないなあ、ところで昔っていつぐらい?」
「ん~300年前位?」
「ゴフッ、ゲホ、ゲホッ」
コーヒーが気管に入った私はむせながら涙目でミカを見る。
「ミカ今何歳?」
「ひ、秘密! いくつになっても歳は気になるんだよ!」
本当に恥ずかしそうに拳を上げ不満を表すミカ。
「分かったよ、じゃあもう1つ。ミカ、普通に話せるんだね。アメリカ人は設定?」
「はい、ノーアメリカ人です。あのしゃべり方は16歳位の女の子に囲まれてどもった結果です……ハイ」
頬を膨らませ顔を赤らめてミカは話を続ける。
「だってさなんか皆、キャピキャピしててどう話していいか分からないし歳の差考えたら恥ずかしくって、恥ずかしくって」
「なにそれ、可愛い!」
「いや可愛いとか言わないで!」
両手を千切れんばかりに振るミカはやっぱり可愛いかった。
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