48話

 僕の返答に心底うんざりした表情をするヴァルに、思ったことを伝えた。



「もしも、追いかけてきたら 僕が作る結界にアレとヴァルを閉じ込めるから決着つけてね」


『アオイ、我をアレと一緒の空間に閉じ込めるのは止めてほしいのだ』


「僕が間に挟まってると、余計に敵視するんだもん。それなら、ヴァルがコテンパンにしちゃえば済む話なんじゃない? 」


『我が、ラセイを心底嫌がるのは精霊王という立場に居ながら変態だからなのだ!! どこでどう間違えたのか、我に言い寄ってくる姿なぞ想像するだけで身の毛立つ』



 黙ってれば威厳たっぷりなのに、ヴァルが絡んだだけで変態になるんだ・・・。

 すごく残念な精霊王なんだね・・・。



『アオイ!頼むから、アレと同じ空間に閉じ込めるのだけは許してくれ!! 』


「じゃぁ、ヴァルの回りにも結界膜を張るね。それならいいでしょ」


『閉じ込めるのは決定事項なのか・・・』


「牽制してただけのヴァルの姿がカッコよかったから、ちゃんと戦った姿を見てみたかったんだよね。でも、そっかぁ・・・。ヴァルのそんな勇姿を見たいと思ったけど、やっぱりダメだよね・・・」



 あからさまにガッカリしていると、慌ててヴァルが「わかった。我の勇姿をアオイに見せよう。アレが追いかけてきた時には、結界を頼む」と、言ってきた。


 よし! 言質取った! やったねw



「うん! ヴァルの勇姿見れるの楽しみにしてるね」



 そんな話をしていると、花に囲まれるようにして建っている可愛い柄の門が目の前に現れた。

 よく見ると、門だけじゃなく壁にも街の象徴でもあるように花びらが彫られている。


 でも、ちょっと待って。

 僕、この花びら地球で見たことあるような・・・。



「ねぇ、ヴァル。この花びらは、何の花なの? 勘違いじゃなければ僕の知ってるのと同じような気がするんだけど・・・」


『ああ、これはチェリーという花だ。この花は我の知る限りマヤチェリー、シェダチェリー、メイシャチェリーの三種類ある』


「ねぇ・・・。ちょっと言ってもいいかなぁ? 」


『どうしたのだ? 』


「何で、どれも女の子の名前っぽいの?? おかしくない!? 」


『それは、我にも分からぬ』



 この三種類の花を検索したら、ちゃんと説明文載ってることを期待するしかないかな。



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「死にたがりの僕は異世界でのんびり旅をする」 鴻上 紫苑 @shion-kougami

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