40話
初対面で値踏みして、勝手な思い込みで敵意剥き出されるのも、然もヴァルを自分の物のように扱う発言にも僕は頭にきている。
僕がヴァルを癒し要員として見てるのは、ヴァルも僕を見て喜んでくれているから成り立つことで ラセイのように依存して駄々をこねる子供のようなのは全くの別物だ。何よりも、僕は短時間でヴァルの優しさを身を以って知ってる。みっともなく泣いたことは、この際ノーカンだ・・・。
『アオオォォォォォオオオン!! 』
変化した僕の透き通るような啼き声で森中に響き渡り、またそれに反すように木霊した音が僕に戻ってきた。
その時、僕とヴァル、ラセイの周囲を覆うように強固なバリアが囲う。ヴァルは僕を見て目を細め、ラセイは固まっていた。
そりゃそうだ。だって、僕は さっきまで人間の姿だったんだから。
僕自身、初めて真面にスキル扱って上手くいったことに驚いてるくらいなんだから ラセイの固まりようは納得いく結果だよね・・・。
『アオイ・・・か? 』
「『うん、そうだよ。ヴァルが暴走したら森が大変なことになりそうだったし、僕の旅の目的を果たすまで自分の身も護れないのは嫌だから隠れて確認してたの。そしたら、面白いスキルがあったから2つのスキルを融合してみたら こうなったんだよね』」
『他の物が聞いたら、アオイの声は啼き声にしか受け取れまいな』
『な、なな、なんでお前みたいな下賤で下等生物が上位魔術を使えるんだ!! 』
「『懲りない馬鹿に教育施す僕の身にもなってみなよ! ヴァルがキレたら、此処一体は焦土と化すんだよ! お前の身勝手な敵意で、何の無関係もない森も動植物も妖精も全部!! 自分の存在が、この場所でどんな役割を成してるのか考えろよ!! 』」
それに・・・と、一度言葉を区切って
「『ヴァルは物じゃない!! 僕とヴァルの間には対等に得るものがあるから成り立っているけど、ラセイ、君とヴァルの間には何一つ成り立っているものは存在していない。 そして、僕は人間でもあるけど神とやらに愛されている称号を持っているから下位だろうと上位だろうと神様の気紛れで僕はスキルを獲得していってるから君よりは格上なんだよ!! (こんなふうに神様の名を使うのは罪悪感が半端ないんだけど、神様だって僕の死ぬっていうのを邪魔したようなスキル送ってきたし今は非常事態だから仕方ないよね)』」
そう、自分で勝手に納得した。
というか、無理矢理納得しないと疑問だらけで具合悪くなりそうで諦めた。
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