39話

 水操作って何? 僕、魔法使った覚えないんだけど・・・

 もしかして、泉に入ったことで覚えたの?? まさか、そんなことないよね。魔法や攻撃スキルなんかも、基本的には何度も失敗して熟練度を積み重ねて成功率を上げることで覚えるものなのに 僕のスキルはいろいろとネタぶっ込み過ぎ。


 これでは、真面目に冒険してる人達が拗ねるレベルだよ・・・


 と、そんなこと考えてる場合じゃなかった!

 ぶっつけ本番だけど、これでヴァルと僕が旅できるなら問題ない。



『何故、庇いだてする!? 私と共にいた頃のほうが何万倍も楽しかったでしょう!? 』


『ラセイが問題ばかり起こすものだから仕方なく我が監視していたにすぎぬ。我を恐れず、我の目を見、我と共に旅をすることに喜ぶアオイと過ごすほうが我にとって有意義に過ごせるのだ。例え、無意識化の契約だとしても 我を要らぬと心から願わぬのなら離れることはない!! 』


『そんなに私との時間は苦痛なのか!! 私はアベリーだけを・・・!』


『其方の声など我は聞かぬ!! 』



 またしても、ヴァルが言葉を被せラセイの言葉を遮った。普通なら失礼な行為だけど、この場合 迷惑かけ通しだったって言ってるようなものだしいいのかな?


 そして僕の姿は、ヴァルの倍の大きさで水を纏っている状態。

 七変化と水の融合してみたんだけど、これって「何?」って聞かれたら答えられない自信ある。


 だって、姿形はヴァルっぽいんだけど耳と尻尾の形が別物なんだよね。客観的に見た僕の姿は犬型だと思うんだけど・・・


 さらに、七色に光る水膜が僕の周囲を覆ってて もしかしなくても属性バリアっていうのかな?

 でも、これなら水属性を持つラセイの攻撃は防げる。僕は心穏やかに朽ち果てる場所を探す為なら、今は生き抜くことに専念する。


 そうと分かればヴァルにも水膜をと纏わせるように脳裏で想いを紡いでみる。

 言葉にするのは簡単だけど、そうすると僕が標的になってヴァルを護れなくなる可能性がでるから もう少しだけ待っててとヴァルの体毛に前足僕の手を触れさせた。


 一瞬、ヴァルが気にした様子をみせるも すぐに戦闘という名の牽制に戻る。

 今の僕はか弱い人間の姿ではないから、思う存分 目の前の失礼な精霊を懲らしめることができる。


 どこの世界でも、迷惑行為をした存在ものにお灸を据えるのは間違いじゃないもんね。




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