35話
一人百面相をしながら居た僕をよそに治療は完了していた。ペタペタと指で触れてみると、結構な歯型は綺麗に消えていた。やっぱり、回復∞って凄いんだねぇ。僕も欲しいかも、そのスキル・・・
「綺麗に治ってる。ヴァル、ありがとう」
『やはり、アオイのコロコロと変わる表情を見ているのは興味深い』
「僕、そんなに表情豊かじゃないよ」
『元いた世界ではどうだったか分からぬが、今のアオイは よく表情が変わる』
僕の表情筋、死んでなかったんだ。何か複雑・・・
「それより、ここからどこに向かえばいいのかな? 人間ひとは嫌いだけど、いい加減お風呂入って着替えたい」
『オフロとは何なのだ?? 』
「えっ? お風呂を知らないの?? それとも、この世界でお風呂は無いとか?? 」
『我のように獣としてであれば水浴びで十分なのだが、人は井戸から水を汲み そこで体を拭いて過ごしている』
「暑い日なら水浴びは気持ちいいけど、井戸の水は冷たすぎて僕 風邪ひいて寝込むレベルだね。それ・・・」
というか、水浴びや井戸水汲んで拭くって何時代の話だろう。
僕がいた地球が進化しすぎて、転生した先が縄文時代レベルな気がするのは気のせいじゃないような・・・
主に、お風呂とか台所とか。石の包丁で調理とか言われたら、僕 最初の森に引き籠るからね!
『オフロとは、どういう仕組みなのだ? 』
「僕の住んでた地球という惑星ほしでは、2種類の蛇口から水とお湯が出るんだよ。さらに進化したものだと、ボタン一つで適温のお湯が湯船に勝手に溜まるのもある。それが僕の基準だから、ここでのお風呂がどんなのか知らないけど井戸水でっていうのは嫌すぎる・・・」
『小さな村や町では、それが普通なのだ。どうしても井戸の水を汲んで拭くのが嫌なのであれば、我が水浴びする泉に案内するゆえ心配するな』
「泉!? どんな泉なの? 僕、村や町に行く前に ヴァルのお気に入りの泉に立ち寄ってみたい! 」
僕が勢いよく紡ぐとヴァルは目を細め「では、移動するが 疲れたら我に言うのだぞ」と嬉しそうに案内を始めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます