33話
犬型だから、『お手』と『待て』くらいは出来なかったら 今後の旅が不安過ぎる。
『む、アオイよ。何やら我をそこらへんにいるような下等生物犬と同じ扱いにしようとしていまいな?』
「え、ヴァルは犬でしょ」
『我は犬ではない。我は神獣だと何度言えば理解するのだ?』
「僕から見たら、立派な犬だよ。ただ『待て』が出来ない駄犬だけどね」
『そこまで言うのならば、こうしてやる』
「ガブッ」という音と僕の「いったぁ~い!! 」という声が重なる。
「いっ!! 急に何するの!? 」
『我を犬扱いするからでろう? アオイの自業自得だ』
「痕付いちゃってる・・・」と手で首の辺りに触れ呟くと同時に、くるっとヴァルに向き合い涙目で僕は叫ぶ。
「ヴァル!! おすわり!! 」
その直後、ビッタ―――ンという音と共にヴァルが地面にめり込んだ。
ヴァルにとって痛くも痒くもないだろうけど、僕にとっては痛覚無効があるわけじゃないから すっっっごく!痛かった。そんなことを思っていると、またしても『スキル獲得したよ~。確認しといてね~』とアナウンスが流れた。
今度は、一体どんなスキルを得たのかな。
気になるけど、何度も見るのも疲れるから放置の方向でいいよね・・・
『アオイ、何をするのだ!? 我をこんな扱いするとは!? 』
「それこそ、ヴァルの自業自得でしょ!」
『我の何がいけないのだ!? 』
「何がだって・・・? 僕が生まれ育ったとこでは、犬が飼い主であっても そうでなくても噛み付いたら保健所に連れて行って処分される決まりだってあるんだから!! ヴァルは僕という飼い主に牙を見せたことになるからポイしても良いんだよね!? 」
『我は犬ではない!! 神獣は神に等しい存在なのだぞ!? それを、アオイが下等生物と同等の扱いをするのが間違っているのだ!! 』
「僕の見るものの中には、さっきのヴァルは大きくて もふもふしてて温かくて、それでいてカッコいいなって思ったのに・・・。どうして、獣人化したら問題児になってるの!! そんなふうにするならヴァルなんて知らない!!? 」
せっかく仲良くなれたと思ったのに・・・
―――どうして―――
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