31話

 背後から声がして振り返ろうとした瞬間、後ろから抱きしめられた。

 んんん?? これ、デジャヴ感が半端ないんだけど・・・



 ――――なんで、僕は銀髪金眼のイケメン美丈夫に抱きしめられてるのかな? ――――



『アオイ?』


「・・・・・・って、誰!? 」


『我はヴァル。アオイに名をもらった神獣だ』


「はい? ヴァル? 本当に?? 」


『うむ。証拠に耳と尻尾はそのままだ』



 そういうと指を差し『ほら、犬型の我と同じ手触りであろう?』と、僕の手をとり耳と尻尾に触れさせてくれた。



「・・・ほんとだ・・・。でも、どうして? 」


『森を出て移動するのであれば、獣人として動いた方が何かと面倒が減るのだ』


「どういうこと? 」


『我の大きさのまま森を出て移動してみよ。魔獣として討伐隊が組まれ、総攻撃してくるであろう』


「ヴァルを攻撃してくるってこと!? それは嫌だ!! 」


『まぁ、我が人間ひと如きに負けることはないが アオイを危険な目に合わせるのは本意ではない』


「じゃあ、僕の為に獣人化したってこと? 」


『そうだ。我は、アオイが見ているものも興味がある。もちろん、お主自身のこともな』



 ヴァルは僕の見てるものに興味を示してくれてる。それって、すごく嬉しい。

 でも、僕の目的は死に場所だ。


 確か、契約者が命を落としたら 如何に神獣といえども無事ではいられないはず・・・

 そんなことになっても、ヴァルは気にしないのかな。

 いつか聞いてみたいな。そんな日が来るか怪しいけど・・・



「ねぇ、ヴァルのステータスってどうなってるの? 」


『我のステータスか。アオイには特別に開示してやろう』


「いいの?」


『構わぬ。が、我が許し認めた相手のみにしか開示はされん』


「僕に見せてくれるのって、ヴァルが僕に興味があるからだよね」


『それだけではないが、今は興味があるとだけ認識しておればよい』


「そっか・・・。うん、わかった」



 それからヴァルが開示してくれたステータスは、どれも規格外すぎて正直 僕のキャパを大きく上回り数分は思考が停止した。


 僕、こんな凄い神獣ヴァルと一緒に旅して目立たずにって無理だよね・・・

 どうやっても目立つ。見た目もそうだけど、中身はもっと凄かった。




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