27話
「えっと、僕に何か御用ですか?」
そう言って振り返ってみると、そこには大きくて白い塊りがあった。
「えっ?何これ?すっごく白い・・・。それに何かとても触り心地良さそうな物体?毛玉?」
『人の子よ、毛玉とは失礼であろう。我は、この森に棲まう神獣と呼ばれている
「へぇ~、神獣なんて本当にいたんですね。初めて見ました。ところで、触ってもいいですか?」
『軽々しく触れることは罷りならん。が、お主は綺麗な魂を持っているのだな』
綺麗?僕の魂が?? そんなこと初めて言われたよ。しかも触ることをさり気無く回避してるのも抜け目ない。
そう言えば、神獣って神様の使いって何かで見たことあったけど本当なのかな。
僕が一人で首を捻りながら考えに耽っていると白いワンコ、もとい神獣様が僕の体に鼻を近づけ匂いを嗅いできた。
「へ?何してるんですか!? 僕のこと食べても全っ然!美味しくないですから!! 」
獣が匂いを嗅ぐ習性には何種類かあるが、
動物は好きだけれど何故かいつも遠巻きにいて観察される側なのだ。
だからなのか、この世界でも動物に出会えるとどんな手触りなのか気になってしまう。
軽くパニックを起こしてる僕に呆れを含む声音で『人は喰わぬ』と呟きながらも舌で一舐めして見つめてきた。
「(食べないと言っておきながら舐めるのはいいのかワンコ・・・。)」
『何を惚けているのだ。お主が何を思っているのかくらいは言葉を交わさずとも分かるぞ』
「ねぇ、この森に住んでる生き物は何でいつも僕の思ってることに返事するのかな」
『それは・・・(動物と見做した者全てに対して心の声がオーラとして駄々漏れなんだがな・・・)』
「それは、何? 教えてくれてもいいでしょ」
『ホイホイと教えてしまってはお主の意義が失われる。それ故に話すことは出来ない』
えぇ~・・・、『それは・・・』で止められたら気になって眠れなくなるよ。
妖精のおばあちゃんも白いもふもふワンコも、どうして中途半端に言葉発して聞き返すと濁すの。
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