22話

「・・・ねぇ。今の話を聞いて、どこに感謝するような内容あったか教えてくれないかなぁ・・・?」


『ほぉっほっほ。そういうのはおぬし自ら探して答えを得なんだ意味がないぞぃ。それよりも若いもんの声を戻してくれんかのぉ』



 いきなり本題に戻った・・・


 もうね、僕の周り土色化してきてる羽虫でい~~~~~っぱい!

 正直逃げ出したくなるレベルだし。



「えっと、お口チャックが話せなくなるんだから。えぇぇ~、何て例えたら話せるようになるの~?」


『おぬしは思ったことを言葉に紡ぐことで発動するようじゃの。それなら、本当に解除したいと思えばスキルが発動するんじゃないかのぉ』


「僕としは、羽虫が死んでも別に困らないよ。屍骸が増えるのは嫌だけど、先に煩くしたのはそっちだもん」


『そこを何とか許してほしいのじゃ・・・この通りじゃよ・・・』



 そう口にしたおばあちゃんは、群れの長らしく頭を下げた。


 意固地になって困らせてる自覚はある。だけど、僕の目的からどんどん離れていってる現状に納得いかないんだよ。

 しかも、目まぐるしく景色が変わり過ぎて僕自身気持ちに全然余裕がないから受け入れろって言われても無理・・・。


 でも、今解除しなかったら僕の周囲が所狭しと屍骸で埋め尽くされること間違いなし。

 それはそれで嫌だぁぁぁあああ!?



「初めての試みだから上手くいかなくても責めないでよ・・・」


『もちろんじゃよ。ありがとうのぉ』



「じゃぁ、やるよ?」と声を掛け気持ちを落ち着かせて、心から話せなくなった妖精達の声を息を解放したいと願った。

 すると、不思議なことに僕の想いに応え周囲に暖かい色に光り、そして忽ち大多数の話せなかった妖精達の顔色が戻り声を出せるようになっていた。


 ただ、一部の妖精は解除されなかったけれど・・・



「おばあちゃん、ごめん・・・。僕の力不足で・・・」



 解除されなかった妖精達は、僕が寝ている時に『つまみ食い』や『味見したい』と耳元で騒いでた羽虫だ。



 守護神に愛されてるであろう僕を餌にしようとするからいけないんだ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る