23話

 一部を除いて解除出来たことに嬉しい反面、何とも言えない複雑な気持ちもあって正直微妙である。


 全員解除出来なかったことにより、長でもあるおばあちゃんからは何も言われなかった。

 最初に伝えておいたこともあり被害が少なく済んでいるほうが群れを率いる者として多少の犠牲は仕方がないのだという。本当にそうなのかな?



『おい!人間!!』


「え?」


『俺たちの仲間を返せ!!』


『これ、お前達やめるんじゃ。守護神様がお決めになったことじゃて、この男(おのこ)を責めるものではないぞぃ』


『しかし、こんな得体の知れない人間が神聖なこの森に立ち寄らなければ、こんなことにならなかったじゃないか!コイツを責めて何が悪いんだよ!!』


「・・・さい・・・」


『何か文句でもあるのか!? 文句言う前に俺たちの仲間を返してから言え!!』



 話せるようになったらなったでまくしたてる様に責め事が増していく。

 そんな中、空気がピシッと割れるような音が鳴ったのと僕の怒りの一言が重なり聞こえなかったようだ。


 そして、もう一度。今度はハッキリと言い放つ。



「煩い!喧しい!黙れ!二度と発言するな!!」



 明確な意思を持って紡いだ言葉は強力で、かけた本人が心から許さない限り発言は二度と出来ない。

 それを知らずに両者、売り言葉に買い言葉で二度目の「お口チャック」である。


 一度目は寝ぼけと無意識でスキル発動してしまったが二度目は意識がハッキリしている。

 文句を言ったり同意して頷いてた者ら全てが声を失った。

 話せなくなるだけだと思っている者も少なくはないと思うけど、僕のスキルはネタをぶっ込んでくる神様が仕込んでくるみたいで自力で如何こう出来ないのが現状。


 そんなワケの分からない状態でも頑張ってスキルを発動し助けることだけを意識したのに、お礼を言われても文句を言われる謂れはない。


 あ、今度は呼吸は出来るみたいだから死にはしないよ。

 僕の目の入る場所で所狭しと屍骸の山作られたら、メ・イ・ワ・クだよ。


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