20話
確かに僕は離樹の森から移動してきたど、やっぱり改名するべきだと思う。
聞いていると無性に寂しい気持ちが沸き上がってきて、何とも言えない気分になる。
「ねぇ、雀さん。僕その森から移動してきたけど、その名前で聞かれるの嫌なんだよね」
『どうしてチュン?』
「確かに身勝手な人間が住んで好き勝手して飽きたからと離れて行ってしまった場所でも、そこに住む住人は人間だけじゃなかったと思うんだ。だから、僕は璃珠の杜と改名して呼び続けたいんだけどダメかな?」
『・・・アニさまは、ほんに変わったお人だチュン・・・』
「うん、そうかもね。でも、寂れたままの森にしてしまうより、実りが多くて色とりどりで神聖な杜って感じにしてるほうが其処に残された生き物全てにとっては明るい未来になるんじゃないかなと僕は思うんだよね」
『アニさま・・・。・・・ありがとう・・・チュン』
お礼を言ったと思ったら雀は、すぅ~っと透明になり消えていった。
へ???ええええ~~~~~!!!
今の雀も僕の嫌いなアレなわけなの!?!?
というか、成仏するような内容話してないよね!?
もういやだ・・・こんな森・・・。泣きたくなってきた・・・
『おぬし、無意識に浄化しおったのぅ』
「・・・・・・」
『その調子でドンドン浄化していくとよいぞ』
「ちょ~~っと待って!僕は浄化する為に旅してるんじゃないんだからね!!」
『じゃが、現にこうやってこの森に彷徨っていた魂を浄化したじゃろうて』
「というか!青白くなってきた虫・・・じゃなかった。妖精さん達のことは放っといていいの!?」
『おぬし、今「虫」とハッキリ言ってから言い直したな?お婆の耳は聞き逃さなかったぞぃ』
「だって虫だし・・・。サイズ的に・・・」
『ほんに、どこまでも失礼な男(おのこ)じゃの』
いや、失礼も何も僕みたいな人間からしたら妖精って虫と変わらない大きさだよね?
妖精王とかなら威厳あるから虫とは思わないけど・・・
それ以外は、ただの羽虫と変わりないよ。
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