17話

『おや、珍しい』


『こんなところに人間がいる』


『この世とも違うオーラが見える』


『食べたら力が増幅する?』


『・・・やめるのじゃ・・・』


『え~、ちょっとくらいつまみ食いしてもいいでしょ』


『・・・大樹様の御加護を受けし者を穢してはならん・・・』


『だからこそ味見したいんじゃない』


『・・・大樹様は森の守護神じゃ。神の庇護者を穢しては我らに安寧は訪れまいて・・・』


『御婆様は頭が固いよねぇ』


『・・・何と言われようと、神を怒らせてはならぬ・・・』



 何か話し声が聞こえる・・・。

 僕のこと話してるのかな。

 どうでもいいけど、静かにしてよ。僕眠いんだから・・・。



『『『む~~~!んむむむっ!! 』』』


「・・・もぅなにぃ?煩いんだけどぉ・・・」



 目まぐるしく風景がコロコロ変わって疲労が酷い。

 その上、自分のステータスのあり得なさに心の中で叫びまくったから余計に疲れた。

 だから、ゆっくり眠りたいのに小さな声が耳元に聞こえてくるんだもん。

 本当に煩いったらないよね・・・



『もし・・・』


「んん~・・・」


『もし、寝ているお人よ。話を聞いてくださらんか・・・?』


「・・・ふぇ・・・?」


『若いもんが煩くしてしもうて申し訳ないのじゃ』


「んぅ~・・・ん!?」


『こっちじゃ、こっちじゃよ』



 聞こえてくる声は、80歳くらいのお婆ちゃんのよう。

 でも、見当たらない。

 しかも、『こっち』と言ってるけど「どっち?」という感じで分からない。



『ここじゃよ~、ここじゃ』



 恐る恐る寝ていた枝葉に目を凝らして見てみると、びっしり埋め尽くされたマイクロミニな小人?

 妖精?いや、虫か・・・



『虫とは失礼じゃぞ』


「あ、心の中で呟いたことも聞こえるんだ」


『当り前じゃ。儂はこの森の住人じゃてな』


「それで、寝てる僕を起こして何をさせる気なの?」


『おぬしが呟いた言葉で若いもんが話せなくなってのぉ。何とか元に戻してやってくれんかのぉ』


「んんん??」


『んむ~~!むむむっむぅ~~!』


「なんで、お口チャックしてるの?」


『おぬし無意識かのぉ・・・』



 呆れ顔で呟かれたお婆ちゃん。

 僕にどうしろと言うんだろう・・・


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