第14話 黒幕はすぐ側に

「人間の子供は、まだまだ無知なのを良いことによォ! バレないような嘘を織り交ぜて契約させるのは、悪魔学校で習うような事だが、よく考えたものだぜ!」


 この小柄で細身な謎の存在が、光を言葉巧みに嘘までついて自信に有利な契約を交わさせたようだ。


「しかもテメェは、見た感じまだ百歳その歳じゃねぇよな!? 独学って所か?」


「これは、これは、ビルファ様。確かに私は、まだまだ誕生して30年ほどの未入学者子供でありますが、最近の私達子悪魔は、しっかりと入学前に準備している訳ですよ」


「え!? 子悪魔? まさか、貴方は……」


 ビルファと、ハスキーな声で割と上品な口調の謎の存在が何やら会話を始め、その内容を横で生きていたひかるは、驚愕する。


「あぁ、そうだぜ、光野郎ひかりやろう! こいつは、天使なんかじゃねぇ! お前を言葉巧みに嘘までついて、契約してきた悪い悪魔だ!」


「………………」


 謎の存在──輝の中に潜んでいた天使の振りをした悪魔は、「チッ」と舌打ちをし、「ハァ」とため息を吐き出した。


「しかも、お前の妹が眠りから覚めたくなる呪いをかけた張本人だ! 間違いなくな!」


 ビルファは、視覚を共有する魔法で光の眼に、その黒幕な悪魔と妹の間にある黒い魔力の繋がりを見えるようにする。


「この、黒いオーラみたいなのは……?」


「呪いを人にかけた場合、基本的には、魔力の繋がりが出来る訳だ! 人がそれを視認するんなら、それなりに修行を重ねないと見えない訳だが、裕福なお前ん家なら、多分、専門家に頼んでいると思うが、まぁ、解んねぇのは仕方がねぇと思うぜ?」


「はい、貴方の言う通りです……呪いの繋がりが見られなくて、別次元世界で暮らしている理に干渉した存在がやった可能性があると、専門家の方がおっしゃってました……」


 ビルファは、呪い魔法について説明し、光の家庭が、専門家を既に呼んでいた事も推理し、光は、その通りと伝える。


 呪い魔法は、かけた側とかけられた側に繋がりが出来る。また、かけた側が睡眠などで意識がなくなると、呪いが弱まるか、呪いの使用者が未熟ならそのまま呪いが消える場合もある。


 しかし、きらりの呪いは弱まる事はなく、繋がりすら見られなかった事から、別次元世界、その国なら、京都にあるとされている、鬼や妖狐などが暮らしている妖魔界などの謎の存在が、理に干渉していて、次元が違っていても、呪いが続くようにしている可能性が高いと、天心家の者達は、伝えられた。


「だが、お前を欺いた悪魔コイツは、理に何て干渉してねぇ! だが、呪いを弱まる事なく、繋がりも見えなくさせる方法があんだが、もう解るよな?」


「輝に取り憑いて、1つになることで、繋がりを見えなくさせ、呪いの対象の中にいる事で、睡眠を取ったとしても、呪いが弱まるのを限りなく少なくして、呪いを実質常時同じ強さで残し続けられるってことだね……!!」


「そう言うこった! 花丸、よく出来ました、って奴だ!」


 ビルファと光のやり取りで、黒幕が悪い悪魔ということが明らかになった。


「それで、なんで君は、天心くんの家族を巻き込んで、彼を唆したんだ? ちゃんと理由あるんだよね?」


 謎の細身悪魔が光を貶めたことを知り、それを黙って聞いていた虹夜は、黒幕に怒り混じりの声で問いただした。

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デビル・フレンズ 魔闇直樹 @naotyu

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