第13話 答え合わせの前に

「お前、朝、『今まで戦って来た悪魔』がどうの言ってたが、悪魔は、どいつも妖怪の鬼みたいなもんで、同族の中で弱い奴もその変の人間よりは普通に強ぇが、そんな悪魔をどうやって倒して来たんだ?」


 この世界には、鬼と呼ばれる種族が存在しており、下っ端1人でも、ただ世を生きているだけの大人の人間でもなぶり殺しにされてしまう。


 悪魔は、種族としての力関係なら鬼とほぼ同格であり、人間界で悪魔が人間を襲い出した場合は、勇者のような戦いの専門家や、エクソシストのような対悪魔に特化した人間では無い限り、命が惜しいのなら悪魔と戦ってはいけないのだ。


「天使さんが、力を授けてくれたんだ。僕のコレクションしている魔道具をいくつか代償にすることで、悪魔と戦う時だけ、物凄い力が出せるようになるんだ」


 勇者学校の編入を目指している光だが、今の所まだまだ中学1年生の子供が、悪魔と戦うとなると本来なら殺されてもおかしくない。


 だが、そんな悪魔にすら勝利出来る力を、その使に授かったのであればおかしくはないのかも知れない。


 だが──


「1つ良い事を教えてやる! 天使としての能力に、何かを消費することで力を与えるのは、無ぇんだよ! まぁ、ある種族と天使を両方やってんなら可能だがな!」


 ビルファは続ける。


「そして、天使は、神の命令以外では、人間に力を貸すどころか、下界に降りてこない奴らなんだぜ?」


「それは、僕が特別な人間だからって天使さんが──」


 天使が自身に伝えたことをビルファに話すが──


「神って奴らは、自分の気に入った存在を特別扱いすんだよ! 神が天使を寄越しているんなら、超常的な力を振るえる神が、テメェの妹の呪いぐらい、とっくに解呪してる筈だろ?」


 身内に神をよく知る者がいるビルファだからそこ、この神という存在について、嫌ってほど彼は理解している。


「でも、神様って人間に試練を与えるって──」


「人生の嫌な事が全部神のせいなら、を除いて、神は全員、人類処ろが全生命体の敵になっちまうだろ?」


 怒鳴りながらギロリと、ビルファは光を睨みつける。あまりの威圧感に、「ヒィッ」と光は声を漏らす。


「もしも、虹夜の今までの事が神の仕業なら、俺は、その原因になってる神を殺してやるぜ?」


「あ、す、すまない、亜使くん……無神経だった……」


「ううん、大丈夫、そう言う体質なだけだから」


 過去の悲惨な出来事の範囲が広めだった事もあり、虹夜の地雷は踏まずにすんだ。


「んじゃあ、話を戻すぜ! 悪魔を倒して来た訳だがどう言う理由があって、悪魔を倒してきたんだ?」


「悪魔に対する復讐って事なんじゃないの?」


 何故、ビルファがこの様な質問をしたのか、疑問なので、虹夜は自身が思っていた理由じゃないのかと割って入る。


「復讐って意味でもあるとは思うが、それだけじゃねぇ筈だぜ?なあ!?」


「うん、ビルファさんの言う通り、日本中を回って悪魔を倒し回ってたのは、復讐って意味合いもあるけど、1番の理由は、天使さんに悪魔を倒して、この貰った採魔力器で悪魔の魔力を貰うことで、それを元に、呪いを解けるって言われてて」


 謎の天使から借りた、小型魔道具を彼は2人に見せる。


「それも、おかしな話だぜ? 呪いの解呪ってのは、3つあんだが、その1つの呪いを分析して解くって言うなら、その呪いを掛けたであろう悪魔を倒して、その魔力から分析すれば良いだろう? 呪いからその悪魔を特定すればすぐに分かる筈だが?」


「え!? そんなことは出来ないんじゃ!?」


「ま、この後の説明は、張本人こいつにして貰えば良い……ぜ!!」


 ぜ!!のタイミングで、ビルファは、眠りに就いているきらりに、謎の光線で包む、すると小柄で邪悪そうな謎の存在が、彼女の中から引き摺り出されたのだった。

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