第11話 部屋へ乗り込む
「よぉ! 光野郎! テメェの信者共が、俺の友達に危害加えようとしやがってたからよぉ! 直接文句を言いにきてやったぜ!! 光栄に思えよ!!」
空間魔法で虹夜を連れ、現れたビルファは、後ろから部屋の主へ威圧感強めで声をかける。
「ん? わっあっあっ、何で家に居るんだい!? 一体、何処から入って──」
自宅の部屋で本を読んでいた光は、今朝自身を軽く破った少年を連れた、禍々しい凶悪そうな悪魔に、不意に声をかけられ、自宅の警備にも反応せず現れた事で、軽くパニックになり、あたふたする。
ビルファは、色々言ってくる光の言葉を遮り、続ける。
「テメェの都合なんでどうでも良いんだよ! テメェの愉快な信者共が、こいつの靴を燃やそうとしやがってたぞ!? 後、虹夜の帰宅ルートに、待ち構えていた奴らが結構居たんだが、どう言う了見だ!?」
彼は、光の身内が自身の友人に危害を加えようとした事に文句を言っている。
「まぁ、待ち伏せ野郎共には、遭遇しないように、俺が空間移動で、こいつん家に直で行かせたから問題なかったけどよ! いくら俺が虹夜を守れるからってなぁ! 流石にイラつくぜぇ!!?」
ビルファは、強い殺気を出し、光は「ヒィッ!!」と声を漏らす。
「ご、ごめんね、天心くん……勝手に部屋に入ってきちゃって……」
虹夜は、申し訳なさそうに両手を合わせる。
「こんな、卑怯者に謝る必要はねぇぜ、虹夜」
ビルファは、[相変わらずこいつは、人が良いな]と思いつつ、そんな気は、こんな人間に使う必要はないと彼は虹夜に声をかける。
「え、えと、その、彼らは僕を思ってそんな行動をしてしまったみたいだから、僕が軽率に今朝の出来事をみんなに伝えた事で、亜使くんに迷惑をかけてしまったようで、亜使くん、申し訳なかった!」
光は、とりあえず、この状況を一旦飲み込んで、自信を慕ってくれる学校のみんなが、虹夜に迷惑をかけてしまったことを、謝罪する。
「ただ、なんで、君もこんな凶悪そうな悪魔と契約をしているんだい? 悪魔は邪悪な存在という事は、常識だと思うけど?」
こちらに強い殺気を感じさせて睨みつけてくる悪魔に怯えながらも、伝えたいことを彼は、この悪魔の契約者の同級生に伝える。
「そっか、じゃあ俺とビルファの関係を天心くんに話すね」
虹夜は、ビルファとの出会い、何故悪魔である彼と友達になったのか、彼と特訓して魔法が使えるようになった事、ビルファと自身に関する一通りの事を光に話す。
「なるほど……このビルファ……さんは、物凄く怖いだけで、そこまで悪い悪魔じゃないのか……」
[確かに、この悪魔が悪い存在だったら、僕は今朝の段階で、間違いなく殺されている筈だし、亜使くんに危害を加えようとしていた、皆んなも、当然殺されて、学校から連絡が来てる筈だよね……]
虹夜からの説明を聞き、彼は確かにそうかもと、納得する。
「おい! 光野郎!!」
「は、はい! な、なんでしょうか!?」
「頭出せ」
光は、ビルファの言う通り彼に頭を向ける。
ビルファはその頭に右手を乗せ、彼が何故ここまで腹が立っていたのかについての事情を光に見せる。
「……す、すまない……亜使くん! 本当に申し訳ない事をした!! 君も僕と同じ、いや、僕の方がまだ救いがあるだけ、まだ恵まれている!!」
ビルファが脳内に直接送った、虹夜の、とある過去を知り、あまりの出来事の為、心の底から申し訳なくなり、涙を流しながら、光は謝罪をする。
「今すぐ、学校のみんなに、亜使くんに危害を加えるのをやめるよう、連絡するよ!」
光は、机に置いてあるスマートフォンを手に取り、連絡用のアプリの自分を慕っている、学校の人たちが加入しているグループチャットに、虹夜への攻撃活動を、止めるようにコメントした。
グループの人たちは、「何故?」「どうして?」と返ってくるが、「僕がちょっとした勘違いでそうなっただけで、亜使くんは何も悪くない」と投稿し、皆とりあえず了承してくれたようだ。
「んじゃ、これで明日から虹夜は、なんの問題がなく、学校行けるな! 帰るか? 虹夜!」
「それよりも、気になることがあるから、まだ帰らないでおくよ」
「そう言うと思ったぜ!」
ビルファは、ニヤリと腕を組む。
「天心くん、どうして君は、悪魔を恨んでいるのかな?」
虹夜は、気になっていたことを彼に問う。
「うん、説明するから、ちょっと付いてきて」
光は、その事を説明する為に、2人を連れ自室を後にした。
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