第7話 焼却に焼却を
「グハハハ! とりあえずこいつらの服をひっぺがしたし、後は燃やすだけだな!!」
全裸で気絶している4人を鎖で縛り、ビルファは右の掌から、炎の魔法を浮かばせている。
「流石に、彼らの服や筆箱とか燃やすのは、やり過ぎなような……」
虹夜は苦笑いをしながら、彼を静止する。
「お前は、本当にクソ甘ぇな! 人の私物を燃やそうとしていたんだから、これくらいしないとまたやられんぞ! こいつらにはトラウマでも与えとかねぇと、いつまでもつけあがるからな!」
「それは、確かに嫌だけど……うーん……」
虹夜は、ビルファをどう説得するか考える。
「そんじゃ! 燃やすぜ!」
彼は、炎の魔法で4人組の着ていたものと、教科書や筆記用具が入っているカバンを燃やす。
「ちょっと! ビルファ、俺が考え込んでいる隙になんで燃やしてるの……」
ビルファの悪い人間への罰を止められなく、燃えていく、4人組の衣類や教科書などが入ったカバンを見て、彼はため息を溢す。
「でも、ビルファありがとう。俺は君の言う通り、自分から進んで仕返しとか出来ない、君の言葉を借りるなら『クソ甘ぇ』から、いつも変わりにやってくれて……お陰で、小学生の時、いつも俺をいじめてた彼らから解放されたし」
「ふん! お前は、少し自分を大切にしろ! 自分に嫌な事をする奴らの気持ちなんて考えても損するだけだ! いつも言ってるが、何かあったら、ちゃんと俺に言え!」
「でも、それじゃ友達を利用しているみたいで……」
「友達ってのは、お互いに助け合うもんだろ!? 貸しを押し付け合う関係だぜ! まぁ、お前が頑固だからな……ちゃんと学んでいけばいいぜ」
2人が会話をしていると、ガタガタッと調理室のドアを開けようとする音がする。
ドンドンッと引き戸を叩く音がして、
「ドアを開けろ! なんか大きい音がしたり、叫び声がするって、職員室に生徒から報告があったぞ」
「あっ、生活指導の先生が来ちゃった……とりあえず、ビルファ魔法を解いて鍵を開けて」
生徒男女4人が全裸で鎖に縛られて、彼らの衣類や自分を魔法で燃やされているのを見られたら、学校中で問題になる。
虹夜は、先生達と話し合って、場を収めようと考えてる。
だが、ビルファは、
「こいつらは、光野郎の仲間だ。あいつは、教員たちから、気に入られてっから、お前の話なんて聞き入れて貰えると思ってんのか?」
「でも、この状況を解決するには、俺が先生に説明しないと……」
「だかな、俺はこの状況を解決出来るぜ! さぁどうする?」
ビルファはこの状況を利用して、頑固な友達に、自分に彼自ら頼るようにする。
「俺が先生に説明する」
虹夜は、相変わらず友達に自分から頼るのは嫌がる。
「本当に良いのか? 先公にこれを見られて、話し合っても、お前が悪いってなって、学校全体から迫害されるぞ?」
ビルファは、彼が自分を頼らなかった場合の、不幸を虹夜の
「確かに、そうなるのは嫌だけど、その時はその時だと思う」
「そうかよ……じゃあ、もしも……いや、やめておこう」
ビルファは、虹夜の過去に起きたある出来事の話をして、説得しようとしたが、やめておいた。下手したら、衣類や私物を燃やす以上の事を虹夜がやりかねない。
ビルファは、彼に危害を加える人達に、かなりキツい罰を与えているが、彼なりに限度を弁えている。
虹夜が、本気で誰かを罰するとなると、普段温厚な分、想像を絶するような事をやりかねない。
虹夜は、どんなに悪い人でも、命を奪う事を嫌う。死んでしまったらそれで、その人の人生は終わりで、反省する事も、自分の罪を悔やむ事も出来なくなるからだ。
彼自信が、憎しみや怒りを持った相手も、殺そうとは思わない。ただし、
「はぁ、仕方ねぇな……『ゲート』!!」
ビルファは、空間移動魔法を出現させた。
そして、魔法で靴や虹夜の鞄を手元へ運んで、左腕で鞄を抱え、左手で靴を持ち、右隣にいる虹夜を右腕で抱き抱え、ゲートへと入って行った。
「空いた! おい、何があった!」
生活指導の教師が中へ入ると、全裸で鎖に縛られている負傷した男女4人がいて、椅子が散乱している以外、特に変わっているものがなかった。
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