第2話 悪魔との出会い2

「おい! お前、今何つった?」


 悪魔は少年の方へ振り返り、笑みを浮かべ彼の発言を、2m近くある身長から見下ろしながら、もう一度聞く。


「え? あっごめんなさい……友達にやりませんか……って言いました……」


 今さっき強大な力を振るっていた悪魔の地雷を踏んでしまったかも知れないと、さらに笑みを浮かべているのがかえって怖さを助長し、冷や汗を頬に汗を垂らし、少年はビクビクしながら答えた。


「…………」


 悪魔は、ポカンと口を半開きになる。そして彼を見つめている。


「あっごめんなさい! 嫌ならいいんです。忘れて下さい……」


 口を軽く開き無言の悪魔に上から見つめられ、まさか怒らせてしまったのだろうかと彼は目線を下にして謝罪する。


「おい……何謝ってんだよ!」


 彼はしゃがみ、少年が視線を下ろしている状態を斜めから見上げるように目を合わせ、ニヤリと笑みを浮かべ悪魔は強い口調で大きな声を出す。


「ひぃっ!!」


 少年が怒らせてしまったと思い目線が合わせないように足元を見ていたら、悪魔がわざわざ目が合うようにしゃがんでくる上に怒鳴ったような声を聞き、彼はビクッ驚く。さらに笑みを浮かべていてそれが恐怖を助長し、[終わりだ! 終わってしまった!]と心であたふたする。


「良いに決まってるじゃねーかぁ!! まさか、みたいな人間と出会えるとはな!」


「え?」


 予想とは良い意味で違ったことに驚き少年は声を漏らす。


「俺は、ビルファ! お前の名前は?」


「僕は、亜使あつか 虹夜にじや……です……」


 悪魔はしゃがんだまま少年の正面に顔を向け名前を名乗る。そして彼の名前を聞く。虹夜もビルファの方をちゃんと向き、同じ目線でオドオドしながらも答える。


「そうか、虹夜か。よろしくな、俺の友達!」


「えっ? 友達?」


 自分から頼んだとはいえ、人間の間では敵対種族と言われている悪魔に友達と言われ虹夜は少し戸惑う。


「お前が頼んだんだろ! 何戸惑ってるんだ?」


「ご……ごめんなさい…………」


 ビルファの荒々しい見た目と強い圧に萎縮し、つい彼は謝ってしまう。


「そうじゃねーだろ! 謝ってんじゃねーよ!」


「ヒィッ」


 ビルファは虹夜の謝罪に対し強めの声圧で注意する。その大きな声を受け、彼は声が怯えたように漏れる。


「そういう時は、言うことがあるだろ? 敬語も、そう言う性格で誰に対してもそうなら構わねぇが、別にしなくても良いんだよ! 今なったばかりでも、俺たちはもう友達だ!」


 悪魔の彼は、腕を組み笑顔で友達になった人間の少年に話す。


「そう……だよね」


 虹夜は、深呼吸をして落ち着きを取り戻す。


「よろしくね! ビルファ」


 ビルファに手を差し出す。


「ああ、俺からもよろしくな! 虹夜!」


 2人は笑みを浮かべ互いの手を握り握手を交わす。


「折角、友達になったんだから、友好の儀式的なやつしようよ!」


「なんだそれ、やってみろ!」


「ビルファ、手を貸して」


「ん」


 ビルファは右手を差し出す。


 彼は、ビルファの右手を開いて自分と同じ方の手の平ではたき、2人は拳を握り、左右にたたく、最後に拳同士を合わせ上に上げて離す。


「こういうのも、良いもんだな!」


 ビルファは嬉しそうな顔をする。


「でしょ! 人にもよるけど、友達とこういうのもやったりするんだ! 友情の儀っていうの」


 ビルファにつられ虹夜も笑顔になる。


「友情の儀か、なら俺は、お前と友人としてを結びてぇんだが、良いか?」


「契約? どういうこと?」


 悪魔であるビルファの契約という言葉に、人間の虹夜は少し戸惑った。

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