デビル・フレンズ

第0章 出会い

第1話 悪魔との出会い1

　近所の公園に6人の小学生が集まっている。

　木が数本生えていて、滑り台やブランコなどの遊具が揃ってあり、夕方になると子供達が家に帰るように促す柱方のスピーカーが設置してある、ごく普通の公園だ。

　そんな場所で6人の子供達、正確には1人の少年と5人の集団である。

「おい雑魚！　食らえー『リーフ・ダンス・アタック』！！」

　5人組のリーダーの少年はテンション高く楽しそうに、魔法で周りの木から葉っぱを鋭く変化させ、それを操り150cmサイズの竜巻を4つ生み出しそれを1人の少年に浴びせる。

「うわーーー！！」

　彼が放つ木属性と風属性を混ぜた魔法により、渦の様に舞う葉の刃に切り刻まれその痛みで小柄の少年が強い悲鳴を上げる。

「ヒャーヒャッヒャ！！　悔しかったら俺たちに魔法を使ってみろよ！　まっ使えたらの話だけどなぁーー！」

　彼のグループのメンバーが気分になる良さそうに「林太郎くんさすがー」と髪が逆立っている少年「雑魚に生きる価値はなーい」とメガネで細く小柄な少年の2人が楽しく遊んでいる時のような声で掛け声を入れる。

「う……うぅ……」

［なんで僕は、魔法が使えないんだろう］

　周りが魔法を使えるのにも関わらず、自分からだけいつまで経っても魔法が使えず、毎日やりたい放題やられている自分の不甲斐なさと悔しさに涙が出てくる。

「何泣いてんだよ！　お前に決定権はないから！！　調子のんな！！！」

　背が低くメガネで痩せ型の少年が彼が泣いているごとに罵声を浴びせる。

「そうだぞ、細貝の言う通りだ！！」

　短髪で日焼け肌の堅いがいい少年が嬉しそうに半笑いでそう言うと、メガネの少年は氷の魔法を、そんな彼に賛同していた大きめな少年は火属性魔法を使ってボロボロの少年にそれを食らわせる。

「あーーーっ」

　口を大きく開けその痛みで叫び地面に倒れたこむ。

　そこをまた堅いの良く筋肉質な少年は足に身体力を強化する魔法を使いコンクリートに少しヒビが入るくらいの力で倒れている彼の腹に蹴りを入れられ、「ガハッ」と声を出し吹っ飛ばされる。

　普通の同級生なら内臓が損傷したりしていてもおかしくはない。

　そして彼はスピーカーが付いた柱に衝突する。

　背中に強い衝撃が走り、歯を食いしばり「うっ……うぅ…………」苦しそうな声が漏れる。

そんな彼を見て蹴り飛ばした少年は「ヒャハハハハ！！」と笑い声を上げ、語りだす。

「しっかしこいつは、しぶといなぁ。あざはできるのに、大怪我はしないからな～。下等な分際で魔力は、高いみたいだからな。まぁそのおかげで、俺たちは先生たちにはバレないしな！」

　いじめられている彼は、魔法が使えない。だが魔力は、普通の人よりも高い。普通に生きているだけの大人よりも遥かに魔力だけは高い。魔力が高ければ、体に受けるダメージは、減る。

　しかし、彼は魔法を今まで使ってきておらず、その為魔力の質がとても悪い。そのため痛みはあまり減らず、傷が強く残らない程度だ。

「おいおい！！　まだまだ休んでいる暇はねぇぞ！！　荻原の次はこの俺、荻様の番だ！！！」

　荻原と交代した髪の毛が逆立っている筋肉質の少年荻がうずくまっている少年の髪の毛を、左手で掴み右手でバチバチと電気を鳴らし手に纏う。

「やめて……！！　雷魔法だけは……うっ……オェッ！！」

　彼は過去のトラウマが原因で雷属性の魔法を見ると気持ちが悪くなり体が震えしまう。

「汚ねぇよ！！　ゴミやろう！！！」

　掴んでいる方の腕に瞬時に身体強化魔法を使いそのまま地面に彼の顔を叩きつけ『ガシッ」と強め音が出る。

「俺の手が汚れたらどうするんだよ！！」

　強い形相で怒鳴り何度も地面に叩きつける。

「………………」

　彼は鼻や口から少し血を流ししまいには声すら出なくなっていた。

「もうダンマリか？　ならこれだ！！」

　右手から電撃を纏い彼の顔を覆う。

「うわーーーー！！！　本当に！！　やだやだやだ！！」

　痛みと過去のフラッシュバックを同時に受け大声を上げる。

　電撃の魔法を顔を覆うように使ったら、本来なら眼がまぶた越しに焼けてしまい失明する恐れがある。

　5人組は、小柄で魔法が使えなく魔力がとてつもなく高く傷が付きにくいことを良いことに、人を人とも思わないようなことをほぼ毎日し続けているのだ。

「さすが荻だ！　こいつは雷魔法を使うともっと面白いな！！　わかってるぅーー！！！」

　リーダーの少年は楽しそうに髪の毛が逆立っている少年の肩に腕を回す。

「やめ……て…………かみな……り……まほ……うは………」

　意識が薄れていきながらも雷属性の魔法に対してやめるように掠れ声で頼み込む。

「お前馬鹿じゃねぇの！？　こんなに面白くなるのに何でやめなくちゃいけねぇんだよ？　冗談はお前だけにしろよぉ！！」

　髪の毛が逆立っている少年は、にこやかな笑顔で答える。

「うっ…………うぅ……」

［こんな毎日、もう嫌だ……］

　彼ら5人の魔法を試すと言って行われる暴力にまみれた日常と自分の情けなさに涙を流し絶望する。

　だがその時…………

「おい！！　何やってるんだ？　お前ら相当なクズじゃねーか！！」

　大人と比べても大きい身長の人型な謎の存在が彼らに声をかける。

　謎の人物は、人のような形態をしているが、人間にはまず付いてないはずのツノが生えており、体格も人間でプロの格闘家以上に筋肉質で堅いも良い。

　まさに、人間とは違うものだ。

「お前ら人間はよぉ！？　悪魔に悪い印象を持っているって聞いているが、その悪魔にクズって言われるいる気分はどうだぁ！！？」

　悪魔は彼らを馬鹿にしたような笑みを浮かべ罵倒する。

「あん？　俺たちは神の名の下に哀れな奴とサンドバックとして遊んでやって…………な……なんだその魔力……」

　リーダーの林太郎は、間違った正義感を語るのをやめ、とてつもない魔力と人間のような姿をしているが自分らとは違う姿からの存在感に、冷や汗を掻きビクビク震えている。

　他の4人も少しく恐怖で体が収まらない。無理もない、今まで感じたことのない禍々しい魔力。そして、圧倒的強者と見ただけで理解できる外見。謎の存在が悪魔以外のものでは無いと疑う余地もない。

「あ……悪魔、そっか悪魔かぁ。なぁあんた、一緒にこのゴミ人間いじめようぜ」

　荻は、起点をきかせてこの悪魔を仲間に誘う。

　悪魔は、邪悪な存在とされている。人間たちはそう語り継がれてきた。だから、悪いことをしている自分らに味方してくれるに違いない。しかしその考えは、古くからの偏見であり……

「なに言ってんだお前？　同族同士でなんで頭の悪いことをしてんだ？」

　悪魔はやれやれと手を開き首を横に振る。

「なんだと！？」

　自分のしていることを侮辱され、林太郎はプライドの為、苛立ち震えながらも悪魔に睨みつける。

「大体状況は把握した。そんなに魔法を人に使いたいなら、俺が相手になってやる！！」

　悪魔はニヤリと笑みを浮かべ、右手をパキパキと鳴らす。

「いいだろう、お前ら！！　このクソ悪魔を倒すぞ！　確かに強い魔力だが、こいつは悪魔だ、神が見ている。俺たちは勝てるぞ！！！」

　5人は一斉に放出して使える魔法を使用し、攻撃を出せるだけ繰り出す。

　彼らは小学校ではエリートの部類であり、同級生以上、年相応な上級生や中学生にも、勝つことはできるくらいは優秀である。

　そんな5人組が出せるだけ全力で魔法で攻撃した。いくら悪魔でもひとたまりもない。彼は、そう思っていた。だが……

　かなり大きな衝撃音が出るくらい魔法を浴びたのにも関わらず、悪魔には傷一つ付いていない。

「１つ……いいことを教えてやる。神は見ていると言ってもなぁ……神というのは選ばれた人間にのみ力を与える。お前らのような悪ガキどもが滅悪の加護を受けられるわけねぇだろうがぁ！！！」

　悪魔は、2メートルほど浮き、笑みを浮かべて魔力を鳴らす。

「や……やだ……やだやだやだやだ」

　突然現れた存在から感じる恐怖に彼らは、本能的に怯え先ほどよりも体をガタガタ震える挙句の果てに尿を漏らす仕末。

「今度は、こっちの番だ。この際にいいものを見せてやるよ、神の配下の天使が使う技を見せてやる」

　悪魔から神々しい光を放ち、天使のような羽が舞う。それが彼らを包む。

「エンジェル・フェザー・アタック」

　白い羽が、超連続の攻撃となり彼らの体を切り刻む。

「「「「「うわーー！」」」」」

　悪魔の攻撃魔法をうけ、5人は宙を舞い地面に倒れる。それにより全員洋服がボロボロになり、体中から血を流す。

「天使の魔法は便利だな。人間は殺せねぇからなぁ！」

　悪魔は、「グワッハッハーー！！！！」と大声で笑い出す。

「さてと、おい！」

　自分をいじめている彼らが蹂躙されているのを地面に座りながら見ている少年の方へ振り向き声を掛ける。

「はっはい……」

　怖がりながらも返事をする。

「お前も頑張れよ、じゃあな！」

　悪魔は、彼にニヒッと笑みを送る。そして、移動魔法のゲートを開き中に入ろうとする。

　この時助けられた少年は、突然現れた悪魔の目が悲しそうに見えた。

「あのっ待ってください！」

　謎の強大な悪魔がしていた悲しい瞳に彼は放っておけないと怖がりながらも声をかけた。

「ん？」

　悪魔は、後ろに顔を向ける。

　そして彼は禍々しい空気を巻き起こす存在に、勇気を振り絞り告げる。

「僕と……友達に……なりませんか……？」