第5話

翌朝、通学途中の女子高生が、ミーヤに近づいてきた。


「おはよう、にゃんこ」

『にゃー』


「にゃんこは、恋、したことある?』

『にゃー』


「そっかー、あたしね、今めっちゃ、恋、してんの」

『にゃー』


「相手?ふふっ、マネージャーしてる野球部の先輩……あっ、ナイショだよ」

そういうと女子高生は誰もいないのに周りを見渡した。


「あのね、次の大会が終わったら、先輩、引退しちゃうんだ。

だから、その時までは野球に専念してほしいから、あたしは黙って見守るの」

『にゃー』


「ありがと。健気けなげだなんて言ってくれるのは、にゃんこだけだよ」

『にゃー』


「うん、でもね、大会が終わったら、あたし勇気出してコクろうと思う」

『にゃー』


「うん、がんばる。

また、報告しにくるね」


そう言うと女子高生はミーヤをひとなですると、立ち上がり、足早にかけて行った。


残された猫は黙って、女子高生を見送った。

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